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自然被曝,職業被曝と医療被曝って何が違うん?(そもそも被曝とは?)


そもそも放射線とは?被曝とは?

簡単に言うと放射線とは飛んでくる目に見えないエネルギーだと思ってください.
目にみえるエネルギーである拳👊(笑)が顔面に当たれば血が出たり腫れたりするように,目に見えないエネルギーである放射線も私たちの体(組織)に吸収されてダメージを与えます(ただし,放射線のダメージは殴られた時のようにすぐに見えるものもあれば,時間が経ってから現れるものもあります).

被曝の種類その①:外部被曝と内部被曝

被曝の仕方には外部被曝と内部被曝があります.一般的なレントゲンやCT,カテーテル検査・治療における被曝は外からやってくる放射線を浴びるので,外部被曝です.

内部被曝とは放射性物質が食物やガス(ラドンなど)を通じて体内に入ることで生じます.

被曝の種類その②:公衆被曝,医療被曝,職業被曝

公衆被曝

放射線は宇宙からも降り注ぎ(地球規模で磁場や大気などにより守られています),弱いながらも今もそこかしこに飛び交っています.自然界の土壌にも微量ながら放射性物質が含まれており,それらによる被曝を自然放射線被曝と呼びます.
また,人為的な放射線源(大きなものでは原子力発電所,小さいものでは実験室や工場にある放射性物質)により,そういった職業に従事する者以外が受けてしまう被曝と合わせて公衆被曝と呼びます.

公衆被曝は原子力発電所の大きな事故がない限り,自然放射線被曝や公衆被曝のレベルは健康に影響を与えるものではありません

医療被曝

医療被曝とは「治療を受ける患者さんが受ける放射線被曝」のことです.通常のレントゲン検査やCT検査や,γ線など他の放射線を用いた治療などが含まれます.
後述する医療被曝との一番の違いは「線量限度」がないことです.線量限度とは,放射線からの悪影響をできるだけ防ぐことを目的に設定されている数値で,医療従事者だけでなく宇宙線の被曝を受ける宇宙飛行士にも設定されています(宇宙兄弟でも言及がありました!).

医療被曝は,放射線検査・治療により生じる被曝というデメリットを,それにより得られるメリットが上回るという前提があること,状態が異なる個々の患者において一律の線量限度を設けることが難しいという背景があることから線量限度の設定がありません.
ただし,特にカテーテル検査・治療の場合などは,治療部位以外(特に生殖器)の被曝を最小限に抑えるために、防護衣や他の防護手段を適切に使用する必要があります.

【参考資料】環境省 診断で受ける放射線量

環境省ホームページ

職業被曝

 職業被曝とは,私たち医療従事者をはじめ,様々な放射性物質を扱う人びとが受ける放射線被曝のことです.
 職務上最低限の被曝は避けられないため,年間(生殖年齢女子は3か月)で受けることが許容される最大の放射線量である「線量限度」が設けられています(具体的な線量などの詳細は別記事参照).
 患者さんは医療機器等から発せられる放射線を直接浴びますが,この放射線は放射線検知器に達するもの,患者の体組織に吸収されるもの,患者の体表面やその他の組織に当たってさまざまな方向に飛んでいくもの(散乱線)があります.医療従事者はこの散乱放射線の被曝を主に受けることになります

その被曝の程度をチェックするためにそれらの職業従事者は適切な部位に蛍光ガラス線量計(通称ガラスバッジ)をつけて仕事を行い,1ヶ月ごとに回収されて被曝線量のチェックを受けます.適切な防護具の使用と定期的なチェックがなされている限り,通常は線量限度を超えることはほとんどありません.

ガラスバッジの例


もっと知りたい人は・・🧐




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