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📘循環器系の異常③:肺血栓塞栓症・空気塞栓症 | 麻酔科専門医試験対策 青本online
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🔑 KeyWords
肺血栓塞栓症 空気塞栓 ガス塞栓症 経食道心エコー:TEE 呼気終末二酸化炭素分圧:ETCO₂ 卵円孔開存:PFO 心房中隔欠損
🔷 肺血栓塞栓症:APE
Q. 【🌟🌟☆】 麻酔中および周術期の肺血栓塞栓症の症状について説明してください.
麻酔中は,ETCO₂の突然の低下が最も鋭敏な指標となります.
肺血栓塞栓症を発症すると,血圧低下,低酸素血症,頸静脈怒張,頻脈などの右心不全徴候を伴います.
また,気道内圧上昇や肺動脈圧上昇もします.
術後など意識がある場合は,胸痛,呼吸困難,頻呼吸,咳嗽,冷汗などの自覚症状に加え,頻脈,血圧低下,右心不全徴候が出現します.重症例では,ショックや失神,突然の心停止を生じることもあります.
【補足・解説】
肺血栓塞栓症の診断において,ETCO₂の低下は非常に鋭敏な指標ですが,特異度は必ずしも高くありません.気管支痙攣や循環虚脱などでも低下します.複数の所見を組み合わせて総合的に判断することが重要です.
肺動脈圧をモニタリングしている場合,肺動脈圧波形で特徴的な尖鋭化を認めます.
D-dimerの上昇は参考になりますが,手術後は非特異的に上昇するので,これだけでは判断できません.
Q. 【🌟🌟🌟】 術中の肺血栓塞栓症の診断・対処法について説明してください.
肺血栓塞栓症を疑った場合,まずETCO₂とPaCO₂較差の確認,経胸壁または経食道心エコーによる評価を行います.
術者に報告し手術は一旦中止とします.同時に心臓外科や循環器科に連絡をいれます.
FIO₂は100%とし,出血リスクを評価した上でヘパリン投与を検討し,循環動態の維持には輸液とカテコラミン(ドパミン,ノルアドレナリン),肺血管拡張薬(ドブタミン,PGE₁など)を使用します.ただし,急速輸液による右心負荷には注意が必要です.左室を圧排して心拍出量が低下する可能性があります.
循環が保てない重症例ではVA-ECMO導入も考慮します.心停止に陥った場合はACLSプロトコルに従います.
術後は状態や適応に応じて,造影CTなど画像検査,カテーテル治療,外科的血栓除去術,線溶療法などの追加治療を検討します.
【補足・解説】
肺血栓塞栓症の重症例にはどの病院でも対応可能というわけではないと思います.近隣の心臓外科や循環器科的な治療ができる病院とも連携する必要があります.
まずはVA-ECMO等含めて自施設でどこまでできるのか,出来ない場合はどういった手段がとれるのかを話しあっておきましょう.
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