📘循環器系の異常⑤:危機的出血への対応 | 麻酔科専門医試験対策 青本online
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【🌟☆☆】:直接聞かれることはないが,基礎知識として必要
【🌟🌟☆】:問われる可能性があり,おさえておいたほうがよい.
【🌟🌟🌟】:問われる可能性が高く,重要です.
🔑 KeyWords
大量出血 危機的出血 死の三徴 トラネキサム酸 フィブリノゲン 大量輸血プロトコル:MTP 血小板 輸血合併症 ダメージコントロール
🔷 出血リスクに対する準備
Q. 【🌟🌟🌟】 大量出血が予想される患者ではどのような準備を行いますか.
出血する原因を把握しておきます(大血管手術,癒着や肝移植時のコラテからや,骨盤静脈叢からなど).患者家族へもリスクや対応の説明を行っておくことが重要です.
血液製剤の準備状況を確認し,院内輸血部(あれば)や血液センターへの連絡など連携体制を整えます.必要があれば手術開始前までに在庫補充を行っておきます.
手術開始前に太い静脈ライン(16G以上)やシース(内頸静脈や正肘静脈)を確保し,急速輸液・輸血装置を準備します.
動脈ラインやオキシメトリ付中心静脈カテーテル等のモニタリングの準備をし,循環動態管理を行います.
場合によってはFFPは解凍を開始しておきます.
【補足・解説】
特に地域の中小規模病院では,血小板やFFPの在庫が限られていることが多く,早めの準備と検査課・輸血部・血液センターとの連携が重要です.
Q. 【🌟☆☆】 大量出血時の最大死亡原因と呼ばれる徴候を挙げてください.
死亡原因となる三徴候として,代謝性アシドーシス(pH < 7.2,Base Excess < -6),凝固異常(体温低下による凝固因子活性低下,凝固因子の消費・希釈),低体温(36℃未満)があります.
これらは死の三徴(Lethal triad)と呼ばれ,互いに増悪し合う悪循環を形成します.
【補足・解説】
低体温は凝固因子活性を低下させ,それによる出血が代謝性アシドーシスを悪化させ,さらに体温が低下し・・・.
早期からの体温管理や凝固因子の補充が重要です.まぁそれを間に合わせるのが難しいからこそなんですけど.
Q. 【🌟☆☆】 大量輸血プロトコル(MTP)とは何ですか?
大量出血症例における初期治療戦略です.
FFP:PC:RBCの投与比を1:1:1を目標とし,少なくとも1:1:2以上を維持することを目指す治療戦略です.
これにより凝固障害を予防し,より効果的な止血管理を行うことを目的としています.
【補足・解説】
MTPは戦場や災害現場などの外傷診療から発展してきた概念です.現在では産科出血や手術中の大量出血など,様々な場面で活用されています.
多くの施設では,短時間での大量出血(例:30分で循環血液量の30%以上)や,大量輸血が予想される場合に発動されます.最近では早期からのフィブリノゲン製剤投与も推奨されています.
MTPの運用には輸血部門との密接な連携が重要で,クーラーボックスなどを用いたパック化された血液製剤の供給体制を整備している施設も増えています.
ただし,中小規模の病院ではこれ,なかなか大変ですよね・・.
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