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📘術中体位関連知識 | 麻酔科専門医試験対策 青本online
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【🌟☆☆】:直接聞かれることはないが,基礎知識として必要
【🌟🌟☆】:問われる可能性があり,おさえておいたほうがよい.
【🌟🌟🌟】:問われる可能性が高く,重要です.
🔑 KeyWords
腹臥位 側臥位 砕石位 頭低位 Trendelenberg位 パークベンチ位 末梢神経障害 POVL ビーチチェア位 頭高位 空気塞栓 坐位 半坐位
🔷 腹臥位
Q. 【🌟🌟🌟】 腹臥位手術の一般的な注意点を挙げてください.
まず体位変換時の気管チューブ管理(固定,深さ,屈曲防止)と頸椎への注意が重要です.特に頸椎症やリウマチ患者では慎重な操作が必要です.
口腔内分泌物対策としてガーゼを挿入し,頸部屈曲による上気道浮腫の観察も必要です.
体位変換後は必ず聴診を行います.
循環の問題点としては,大血管圧迫による心拍出量低下に注意し,特に肥満患者では慎重な管理が必要です.
呼吸の問題点としては,腹部圧迫による横隔膜運動制限と換気量低下にも注意が必要です.気道内圧上昇への対応として従圧式換気も考慮します.
四肢は適切な位置に固定し,特に上肢は90度以下の外転とします.
眼球,性器,神経などの圧迫による組織障害予防のため適切な保護が必要です.
【補足・解説】
頸椎手術や脳外科手術など,三点ピン固定をされている場合は,固定がしっかりとなされているかを確認します.ズレると裂創が生じることがあります.
また,唾液対策をしていないと,唾液で固定のテープがネロネロになり,固定力を失います.
Q. 【🌟🌟🌟】 腹臥位にはどのような合併症がありますか?
最も重要なものは視力障害や結膜浮腫などの眼合併症です.特に術後視力障害(POVL)は重篤な合併症で,長時間手術や大量出血症例でリスクが上昇します(おきたら悲劇です).腹臥位用スポンジ(Prone View®など)による眼球圧迫や結膜浮腫,顔面皮膚伸展にも注意が必要です(定期的に必ずチェック).
また,気道浮腫,外側大腿皮神経麻痺や腕神経叢麻痺などの神経障害,圧迫部位の褥瘡形成にも注意が必要です.稀な合併症として下肢のコンパートメント症候群や横紋筋融解症の報告もあります.
【補足・解説】
呼吸循環への影響は前問の通り.
腹臥位はやはり体位変換動作含めてストレスですね.頸椎手術や脳外科手術では眼球圧迫のリスクはありませんが,チューブ脱落のリスクがありますし,背部や腰椎手術の場合は眼球圧迫や皮膚障害のリスクがありますし.
側湾症手術など長時間でかつ出血のリスクのある脊椎手術ではPOVLのリスクの発生率は約0.03%とされています.主な原因は虚血性視神経症や中心網膜動脈閉塞症で,長時間手術,大量出血,低血圧,貧血,浮腫などが危険因子とされています.
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