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📘産婦人科手術③:妊娠高血圧症候群:HDP | 麻酔科専門医試験対策 青本online

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【🌟☆☆】:直接聞かれることはないが,基礎知識として必要
【🌟🌟☆】:問われる可能性があり,おさえておいたほうがよい.
【🌟🌟🌟】:問われる可能性が高く,重要です.


🔑 KeyWords


妊娠高血圧症候群 HDP 妊娠高血圧腎症 子癇 高血圧合併妊娠 HELLP症候群 マグネシウム



🔷 妊娠高血圧症候群の基礎知識


Q. 【🌟🌟☆】  妊娠高血圧症候群(HDP:Hypertensive disorder of Pregnancy)の診断規準について説明してください.


  • 妊娠20週以降から分娩後12週までに発症する高血圧(収縮期血圧 ≥140 mmHgまたは拡張期血圧 ≥90 mmHg)を特徴とする疾患群で,妊娠高血圧、妊娠高血圧腎症、加重型妊娠高血圧腎症、子癇、高血圧合併妊娠が含まれます.

  • 妊娠高血圧腎症では高血圧に加えタンパク尿やその他の臓器症状が診断基準に加えられます.


【補足・解説】

  • 発生頻度は全妊娠の5〜10%程度とされています.

  • 妊娠高血圧は高血圧のみ,高血圧合併妊娠は妊娠前,または妊娠20週未満から持続する高血圧を認める場合。

  • 妊娠高血圧腎症は高血圧に加え,以下のいずれかを伴う場合.

    • 24時間尿タンパク ≥300 mg.随時尿の尿タンパク/クレアチニン比(PCR) ≥0.3(2回以上確認).

    • タンパク尿を認めなくても,その他臓器障害(肝機能障害、血小板減少、腎機能障害,肺水腫,中枢神経症状など)。※詳細は下記の分類を参照.

  • 加重型妊娠高血圧腎症,既存の高血圧に新たなタンパク尿やその他の臓器障害を認める場合です.高血圧合併妊娠に妊娠高血圧腎症の病態が重なった状態です.

  • 子癇はけいれん発作を伴う場合をそれぞれ指します.

【参照】妊娠高血圧症候群 新定義・臨床分類(2018年5月)

日本妊娠高血圧学会ウェブサイト(https://www.jsshp.jp/journal/



Q. 【🌟☆☆】 妊娠高血圧症候群の病態について説明してください.


  • 子宮のらせん動脈のリモデリング障害(一次的な原因)と,それに続く血管作動性因子の異常産生(二次的な変化)です.

  • 正常な胎盤形成の過程では,栄養膜細胞(トロホブラスト)が子宮筋層内のらせん動脈に浸潤します.この浸潤により,らせん動脈が拡張し,低抵抗・高容量の血管に改変(リモデリング)されます.これにより胎盤への十分な血流が確保されます.

  • HDP患者では,トロホブラストの浸潤が不十分となり,らせん動脈のリモデリングが不完全になります.その結果,血管は狭く,抵抗が高いままとなります.

  • これにより胎盤の虚血が生じ,sFlt-1などの血管作動性因子が過剰に産生されます.これが血管内皮障害を引き起こし、全身の血管攣縮、凝固異常、血小板や好中球の活性化を介して末梢循環不全へと進展すると考えられています.


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