
📘心臓血管外科手術③:弁疾患の手術 | 麻酔科専門医試験対策 青本online
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【🌟☆☆】:直接聞かれることはないが,基礎知識として必要
【🌟🌟☆】:問われる可能性があり,おさえておいたほうがよい.
【🌟🌟🌟】:問われる可能性が高く,重要です.
🔑 KeyWords
大動脈弁閉鎖不全 大動脈弁狭窄 僧帽弁閉鎖不全 僧帽弁逆流 大動脈弁逆流 TAVI rapid pacing MitraClip SAM
🔷 心臓弁膜症の基礎知識
Q. 【🌟🌟🌟】 心臓弁膜症患者の術前評価について説明して下さい.
弁疾患の原因(加齢性,虚血性,先天性,炎症性など),症状の有無とその重症度(NYHA分類),心不全の既往,日常生活動作の制限を評価します.
画像診断では,心エコーによる弁機能評価(逆流や狭窄の程度,心機能),胸部レントゲンでの心拡大,肺うっ血,胸水の有無を確認します.高齢者や冠危険因子を有する患者では,冠動脈造影による評価も考慮されます.
Q. 【🌟🌟☆】 大動脈弁狭窄症・逆流,僧帽弁狭窄症・逆流それぞれの心雑音はどのように聞こえますか.
大動脈弁狭窄症(AS)では,狭窄部を通過する血流により第2肋間胸骨右縁で収縮中期駆出性雑音が聴取されます.
大動脈弁逆流症(AR)では,同部位で拡張早期から漸減する高調性の逆流性雑音を聴取します(拡張早期逆流性雑音).
僧帽弁狭窄症(MS)では,心尖部で聴取される低調性の拡張中期雑音が特徴で,左側臥位で増強します.
僧帽弁逆流症では,同じく心尖部で収縮期全体にわたる高調性の逆流性雑音を聴取し,左腋窩に放散します(収縮期逆流性雑音).
【補足・解説】
麻酔科医は術中以外で聴診器を当てることはあまりないと思うので,心臓外科手術などはっきりと診断がついている重症の患者でしっかりと聞いておくといいですね.
🔷 大動脈弁置換術(開心術)
🔹 大動脈弁狭窄症の基礎知識・重症度評価
Q. 【🌟☆☆】 有症状の大動脈弁狭窄症患者の平均余命はどの程度ですか?
症状出現後の自然予後は平均5年未満とされ,特に心不全症状出現後は2年,失神出現後は3年,狭心症出現後は5年と報告されています.
手術時期が遅れると,たとえ手術を行っても予後改善が限定的となることが知られています.
Q. 【🌟🌟🌟】 大動脈弁狭窄症の重症度評価をしてください.
大動脈弁口面積<1.0cm²,最高血流速度≧4.0m/s,平均圧較差≧40mmHgを満たすと重症度判断されます.
ただし,この数値は正常な左室機能と血流が前提となります.LVEF<50%の場合や求心性肥大により心腔が小さい場合には低流量低圧較差となり重症度を過小評価してしまうおそれがあります(低流量低圧較差大動脈弁狭窄症).
このような場合,正確に重症度を判定するためには,ドブタミン負荷心エコーを行い,1回拍出量を増加させた状態で評価を行います.
【補足・解説】
細かなフローチャートは,日本心臓血管外科学会の2020年改訂版の弁膜症治療のガイドラインを参照にしてください(覚えるのはしんどい).
頸動脈の高度狭窄があり,CEAとの優先順位を問われることがあります↓
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