放射線から身を守れ!☢️🛡️
手術室やカテーテル治療室,放射線科等で働く人たちは日常的に放射線被曝のリスクにさらされています.適切な防護具を身につけ,かつ適切に使用しないと本来避けられるはずの健康リスクを抱えてしまいます.
それでは一般的な放射線(多くの場合レントゲンやCT,透視装置からのX線)からの防護について見ていきましょう.まずは有名な放射線防護三原則です.
距離(離れろ!)🏃♀️💨⚡️☢️
基本ですね.まずは危ない場所からは離れることが大事です.離れれば離れるほど影響が弱くなります.
ホースの水でも初めは痛いほど勢いがあっても離れると弱いしぶきになるのと同様です.
程度としては「逆2乗の法則」に従います.線源からの距離が2倍になれば影響は1/(2×2)=1/4となります.
例えば,線源から2メートルのところにいる人(Aさん)は線源から1メートルのところにいる人(Bさん)に比べて被曝の程度は1/4で済みます.
遮蔽(隠れろ!)🙍♂️🛡️⚡️☢️
そして危ないものからは物陰に隠れてやり過ごしましょう.分厚いシールドや薄くても質の良い材質を用いれば銃弾でさえ防げるのと同じです.銃弾も放射線もエネルギーの塊ですから.遮蔽には検査室の部屋の壁や個人防護具が用いられます.後者については後述します.
放射線を使用する手術室やカテーテル検査室,CTやレントゲン検査室の壁や窓,遮蔽板には鉛が仕込まれています.
この壁や遮蔽板の実質的に100%です.ただし後述する防護具はそうではないので適切な使用がますます重要になります.
時間(ちょっとだけよ) ➡️🫸⏰🫷⬅️
危ないものに触れる時間はできるだけ短くしましょう.
普通のレントゲン写真撮影やCTでは時間はほとんどいじれませんが,カテーテル治療やその他の透視装置を使用した手術や検査・治療では,手技を行っている瞬間以外は必要ないので,無駄に照射スイッチを押したりしないように気をつける必要があります.
手技に必死な若手の医師が治療にあたっている場合,指導者から「無駄に透視出すな」と注意を受けたりすることがままあります.
放射線からの個人防護具について(鎧)
上述のように放射線から身を守るため,個人レベルでは適切な防護具を身につけることが必要です.具体的には以下のような防護具があります.
防護衣(エプロン型,コート型,甲状腺用)🧥
もっともポピュラーなものは防護衣です.
エプロン型とコート型があります.ごく簡単なレントゲン検査ではこれのみを用いられていることが多いです.
注意が必要なのはエプロン型で,コート型は体幹をしっかり防護できますが,エプロン型はびんぼっちゃま(古っ笑)のように背部が無防備で,線源に背中を向けるともろに被曝してしまいますので要注意です.
どちらも適切に使用していれば有効な放射線防護になりますが,折り曲げたり長期にわたって使用を繰り返すことで劣化していくため,定期的な点検や適切な時期に新しいものに買い換えるなどの対応が必要になります(病院によってはボロボロになっているものも見かけますが・・・😱)
意外と見過ごされがちなのが甲状腺防護のためのネックカラータイプの防護具です.CT撮影や通常のレントゲン撮影の際は,医療者は基本的に撮影室の外にいますが,カテーテル検査・治療などでは術者はもちろんのこと,看護師さんや技師さんも室内で作業することが多く,甲状腺防護具をつけるべきです.
中でももっとも被曝の程度が多くなりがちな施行医師は自前で購入して使用していることも多いですが,その他の職種の方では徹底されていないことも多いです.しっかりつけましょう.
ゴーグル🥽
目👀もしっかりと守りましょう!放射線被曝による放射線性白内障は「確定的影響(別記事参照)」を受けます.通常の放射線量では適切に防護を行えば十分に防ぐことができますので,問題がない限り装着するのが超おすすめです.
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