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📘代謝・電解質の異常②:電解質異常への対応 | 麻酔科専門医試験対策 青本online
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【🌟☆☆】:直接聞かれることはないが,基礎知識として必要
【🌟🌟☆】:問われる可能性があり,おさえておいたほうがよい.
【🌟🌟🌟】:問われる可能性が高く,重要です.
🔑 KeyWords
高カリウム血症 低カリウム血症 高マグネシウム血症 低ナトリウム血症 グルコースインスリン療法 イオン交換樹脂 TUR症候群 カルシウム製剤
🔷 高カリウム血症
Q. 【🌟☆☆】 高カリウム血症の原因を挙げてください.
細胞内カリウムの細胞外への移動(横紋筋融解症,悪性高熱症,スキサメトニウム投与,アシドーシス),
カリウムの排泄低下(急性・慢性腎不全,透析患者,利尿薬投与など),
カリウム過剰摂取(輸血,カリウム含有輸液の急速投与,透析患者がカリウムを多く含む食物を摂取した場合),
組織損傷による細胞外漏出(重症熱傷,挫滅症候群,虚血再灌流障害)などに分けられます.
【補足・解説】
現在塩化カリウム製剤は,異常事故防止のため,直接点滴ラインから投与することができない形状になっています.
また,採血手技による溶血でも見かけ上の高カリウム血症を呈することがあります.採決時に強く拳を握りすぎることでも溶血を起こすことがあるようです.
再灌流障害は肝移植でも問題になることがありますね.
Q. 【🌟☆☆】高カリウム血症の心電図変化について説明してください.
心電図変化は,典型的にはT波が高くなります.テント状Tと言われます(5.5〜6.5mEq/L程度).
さらにカリウム値が上昇すると,P波の平坦化や消失(6.5〜7.5mEq/L),wide QRS(7.5mEq/L〜)を呈し,STが上昇することもあります.
治療がなされない場合,最終的に重篤な心室性不整脈を生じ,死に至ることもあります.
【参照】高カリウム血症の心電図変化
このまま問われることはありませんが,高カリウム血症の心電図変化については心電図の読取りがありましたので,確認を!
Q. 【🌟🌟🌟】 高カリウム血症の治療について説明してください.
治療の要点は,伝導遅延などの心臓に対する影響を軽減させ,細胞外から細胞内へのカリウムの移行を促し,最終的に体内総カリウム量を減少させることです.
具体的にはグルコン酸カルシウムで心筋の膜を安定化させ,インスリンやフロセミド,重炭酸ナトリウムなどで細胞内へカリウムを取り込ませて一時しのぎをし,最終的には陽イオン交換樹脂や透析などで体内からカリウムを減少させます.
【補足・解説】
カルシウム製剤の作用は一時的なもの(30〜60分程度)なので,カリウム除去を開始するまでのあくまで”つなぎ”の治療です.
高カリウム血症により細胞膜の電位勾配が減少し(心筋細胞膜が脱分極側にシフトする),これによりナトリウムチャネルの不活性化が生じ,伝導障害の原因となります.
カルシウム製剤は細胞膜表面電位を修飾することで,一時的にナトリウムチャネルの活性化閾値を上昇させることで,伝導障害を改善することができます.
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