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📘移植医療・脳死判定関連②:脳死判定・臓器摘出術の呼吸循環管理 | 麻酔科専門医試験対策 青本online

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【🌟☆☆】:直接聞かれることはないが,基礎知識として必要
【🌟🌟☆】:問われる可能性があり,おさえておいたほうがよい.
【🌟🌟🌟】:問われる可能性が高く,重要です.


🔑 KeyWords


脳死判定 脳死判定除外項目 脳幹反射 無呼吸テスト 臓器摘出術 



🔵 脳死判定〜臓器摘出術までの管理


Q.  【🌟☆☆】 脳死後の主な生理学的変化について簡単に説明してください.


  • 脳では頭蓋内圧上昇とそれによる壊死,

  • 肺では肺炎・ARDS・神経原性肺水腫による酸素化悪化が起こります.

  • 心血管系では発症数時間以内に交感神経ストームによる異常高血圧が生じ,その後は血管運動中枢機能の消失により低血圧となります.

  • 肝臓では炎症性サイトカインによる障害,腎臓では灌流低下による乏尿や尿崩症による多尿が見られます.

  • 内分泌系では甲状腺ホルモンの低下,

  • 凝固系では凝固異常やDICを伴うことがあります.

  • その他,高血糖,低体温,電解質異常,全身性炎症反応の上昇や敗血症なども起こりえます.


【補足・解説】

  • 脳死後はこれらの生理的変化が進行していくため,臓器摘出術までに以下に状態を保つかが移植手術の鍵になります.



Q.  【🌟☆☆】 臓器摘出術を施行するまでのドナーの呼吸・循環管理はどのように行いますか.具体的に説明してください.


  • 臓器灌流の維持が最も重要になります.

  • 動脈ラインと中心静脈ラインを留置し,平均動脈圧70mmHg以上,心係数2.4L/m²以上,ScvO₂60%以上,SVR800〜1200dynes/s/cm⁵,Hb9〜10g/dLなどを目標とします.

  • カテコラミンは,ノルアドレナリン0.05μg/kg/分以上の使用は心移植後の予後に影響するため必要最小限とし,代替としてバソプレシンの使用を検討します.

  • 呼吸管理はARDSに準じ,肺保護換気を行います.管理中は頻回の吸痰とリクルートメントを行います.肺炎を発症すれば広域の抗生物質投与を行いますが,予防的投与は行いません.




Q.  【🌟☆☆】 臓器摘出術を施行するまでのドナーのその他の管理はどのように行いますか.具体的に説明してください.


  • 視床下部機能消失による体温低下に対して,加温ブランケットや輸液加温により中心体温を35〜37℃に維持します.

  • 内分泌系では,血糖値を140-180mg/dL程度にインスリンでコントロールし,電解質はNaを135〜145mEq/L,Kを3.5〜4.5mEq/Lの基準値内に維持します.

  • 脳死患者の約65%が尿崩症を発症するため,尿量が4mL/kg/hrを超える場合はADH 1〜2U/hrの投与を行います.また,末梢血管抵抗維持の目的でADHを予防的に投与することもあります.この治療が遅れると高Na血症を来し,155mEq/L以上になると肝移植,膵臓移植の成否に関わるとされています.

  • 甲状腺機能低下に対してはT3(2〜4µg/hr)を投与し,副腎皮質機能低下と全身性炎症反応に対してはメチルプレドニゾロン(15mg/kg)を投与します.


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