【あと28日】東京行きを決めるまでのこと|30日後に東京で初めて公演する劇団、の記録
こんにちは。シイナナの藤田サティです。28日後に東京ではじめて公演をするシイナナという劇団で、脚本・制作を担当しています。
このマガジンでは、関西の小さな劇団が東京に初上陸するまでの記録と、東京でお会いできるかもしれない、はじめましての皆さまに、シイナナのこと、公演のこと、などなどをお伝えしていければと思います。どうぞよろしくお願いします!
公演情報はこちらから!シイナナ 二人芝居企画 Vol.3 『ふたりごと』in TOKYO
今回は、時間を少しさかのぼり、シイナナが東京公演をしよう!と決めるまでのことを、書いてみようと思います。
なんで東京に行くの?っていうと…
マガジンでもすでに書いた通り、シイナナは旗揚げからそう時間もたっておらずの劇団です。東京在住メンバーがいるわけでもなく、関西での功績をひっさげて…!と言えるほどの目立った受賞歴なんかもありません。(い、一応WINGCUPっていう関西の若手登竜門コンテストでは優秀賞をもらってるんですよっ)
さらに言うと、密かに東京進出を狙っている、というわけでも現状なく。実際、「え、なんで東京なん?びっくり」っていう声も、身近なところで聞かれるほど。つまり、シイナナがこのタイミングでわざわざ公演を打つことは、どうやらソコソコ不思議らしいのです。
ほな、なんでやねーーーん!と思いますよね。理由は簡単で、楽しそうだったから。これにつきます。なんやそれ、ズコーってなりそうですが、いたって真面目で、「楽しそう」は劇団にとってとても大事なことだと私は思っています。
とまぁそんな話を、劇団運営だったり、制作関連の話も交えながら、していきますね。ちょっと長くなりますが、よろしければお付き合いください。
きっかけは、東京での客演
もともとのきっかけはあって、旗揚げ前の2020年にガトータケヒロ(俳優)と湊伊寿実(作・演出)が、東京の劇団さんに客演したところまでさかのぼります。
湊は過去に東京で演劇活動をしていた期間があるのですが、そのご縁もあって東京を拠点に活動するPRAY▶︎という劇団さんの公演に、ガトー&湊が2度参加させていただいています。
その時のご縁はさらにつながり、翌年2021年の旗揚げ公演では、今度はPRAY▶︎からドラマトゥルクに長紀榮さんをお迎えしました。(めちゃくちゃ世話になった)
そうして演劇仲間が増えるとですね、こんな会話も生まれたりするわけです。
「…また一緒にやりたいよね〜…」とか
「今度はシイナナ出たいな〜」「出てくれるの〜?」「出るよ出るよ〜…」とか
あぁ、魔法の言葉。ここでシイナナは思いました。そっか〜東京の人たちとも一緒にやりたいよな〜。そっか〜東京でやったらいいんじゃ〜ん。
ちょうど「ふたりごと」というコラボ上等、ゲストウェルカムの企画公演も持っておりましたので、シイナナが東京に行きたいと思うのは、とても自然な流れだったわけです。
お金の話
そんなわけで、ふたりごとVol.3で東京行こうか!?という案が飛び出したのが、今年2022年の春頃。最初は、ウェイウェーイと盛り上がりまくり、誰呼ぼうだの、どこでやろうだの、ムックムクに夢を膨らませていました。
ところがハタと気づきます。そう、お金がかかる、きっと。絶対。
どんだけ計画性ないねんと思われると辛いのですが、制作とか予算組のことも、ようやくちゃんと考えられるようになったかな?くらいのタイミングにいた私たち(旗揚げ後の劇団ってそんなもんと思ってたんですけど、違いますかね…)。いつも後から社会人パワーでなんとかしてきた予算だけども、今回ばかりはケタ違いそうな気がする。というか、怖すぎる。
はじきました。電卓を。予算をなんとなーく立ててみました。
小屋代
稽古場代(東京でも大阪でもいる、ていうか東京の稽古場探すの大変!)
美術・小道具・衣装といった作品にいつもかかるお金
出演料
東京⇄大阪 移動交通費(移動する人全員いるよね!)
宿泊費(滞在2週間!!!)
感染対策
少なくとも、絶対にこれだけはいる。そして「宿泊費」の破壊力。そらそうです、2週間も滞在して制作しようとしてるわけですからね。また、小屋見学にいくにも、いちいち往復交通費がズーンと肩にのしかかる。ほんとに、いちいち何かとお金お金お金になってしまうこの現実。目を背けてはいけない生々しい現実を、私(制作担当者)はみんなに相談しました。
現実の厳しさに、どんよ〜り
普段はだいたいプラスマイナスゼロくらいのお財布事情で、公演を行っていたシイナナは、正直これまでお金の話をそんなにガッツリしてませんでした。公演後の精算会で収支報告をするくらい。それで特に問題なかったのですが。
今回ばかりは違います。参加メンバーが、いわゆる「持ち出し」をしないとどうにもならない。しかもそこそこの金額を。
「ここ、2週間滞在するとするやんか、そしたらXXXXXX円で…」
「…お、おん」
「あーでも、それをしようとすると、XXXXXXX円だわなぁ…」
「…あ、あーうん…」
という、やりとりを数回ラリーした頃には、どんよ〜りとした空気が漂っていました。誰ともなく言います。「えっと、ほんとに、行く?東京?」
楽しい話<<<<<<<しんどい話
話し合いの結果、やっぱりそれでも行こう。という結論にはいたったのですが、ここで私の懺悔です。制作的立ち位置にいる私は、この時「東京ではじめて公演を打つ」というものスゴイ楽しい話を、「とにかくお金がスッゲーかかる公演を打つ」というなんかしんどそう〜な話に100%転換してしまったんですね。
補足すると、この話し合いが必要だったことに間違いはありません。お金のことってすごく大事なので、劇団をこれからもやっていく上で、できるだけ透明に開示しておくということ、その負担をみんなが理解しておくことは、継続に必要不可欠なことだと思います。やらないと、もたない。
ただ、当初やりたいと思った、純粋な気持ちを潰してしまっては元も子もないんじゃないかなと気づいたのです。
メンバー個別で話すと、みんな全然覚悟があったんですよ。ある程度お金がかかることは承知の上で、やりたいと思えるだけの気持ちがありました。
なのですが、「とにかく金がさースッゲーかかるわけでさー」というムードが、みんなにとっての「東京公演」を楽しいものから重たいものにしてしまっている期間が、予算会議からしばらくは続きました。それは、あやうく「やりたい気持ち」を塗り替えてしまいそうでした。
あるタイミングで、いやいや初心に帰ろう、と、当初東京でやりたいと思ったウェイウェーイな気持ちを取り戻すことに成功して今があるのですが、それはほんとにメンバーのおかげです。
劇団をつづけるために大切なこと
今回は特にお金の話でしたが、こういうことは劇団をやっていると、いろんな場面で発生すると思います。なんせ、公演をうつってメチャクチャ大変じゃないですか。追い込まれて追い詰められて、どうしようもなくしんどくなった時、簡単に忘れちゃうんですよね。スタートしようと思った時の、純粋な「やりたい」「楽しい」という気持ちを。
あ、やりたいって言ったから、何がなんでもやらねばならぬ、というブラックなことを言うつもりは、特にシイナナの中に限ってはありません。むしろ、しんどい、無理かも、と個人がちゃんと言える場所じゃないと続けられないと思います。
ちゃんと「楽しい・やりたい」を持ち続けていて、それでも「厳しい」「難しい」が上回った時には、やらない選択をとれる劇団でありたいと思います。が、メンバーの「楽しい・やりたい」を忘れさせてしまったり、塗りつぶしてしまったりはしたくない。
だってー、こんなにしんどいのに、それでもやろうとするのは「好きだから・やりたいから」意外ないわけで(少なくとも、シイナナにおいては)。それは最上位に大切にしたいじゃないですか。
なーんか、曖昧な話をしているような気もしますが、冒頭に戻ると、劇団を続けていく上で、「なんか楽しそうじゃない?」という純粋な気持ちは、一番強いんじゃないか?と言う話です。
そして、その一番強い気持ちをダダ洩らせながら、楽しそうにやってる人たちってサイコーじゃない?と、この東京行きを決める過程で再確認したのでした。
楽しい試行錯誤
一度大切なことに気づけば、そのあとは試行錯誤ができるようになります。みんなが「楽しい」を維持したまま「できない」を「できそう」に「できる」に変えていく方法を考えるのみ。以下は、今のところ私たちがやっている試行錯誤です。
東京の稽古場
稽古場?はて?どこ?となり、東京在住の演劇仲間に問い合わせ、情報を提供してもらいました。大阪でやるとなると、いくつもあがる候補や公民館的なところも、東京でゼロから探すのは一苦労です。これは圧倒的に、東京在住の方に頼るのが吉!ちなみに、公演する小屋も、ご紹介をたどってようやく知ることができた場所です。折々にお世話になった方のおかげで、なんとか歩みをとめずにおります。
共同生活
宿泊を個々でやり出すと、そらもうエライことになるので。今回の滞在は共同生活にしよう!となりました。早割のシェアルームという選択肢で、ネット検索しまくり、ずいぶん安くおさえることができたと思います。(それでもでかいけど)
東京&大阪同時並行制作
ALL 東京ゲストの方と全員関西住みのシイナナが作品を作ろうとすると、滞在期間が長期&ギューギューになり(ふたりごとでは、大体短編1作品につき8回程度の稽古を組みます。少なくとも5作品×8回で40回の稽古がいる。)、メンバーによって仕事との折り合いがつけられなくなることもあり、大阪からもゲストをお迎えすることにしました。
東京に早めに入れるメンバーは、先に東京へinして滞在制作に取り掛かり、その間大阪では大阪ゲストの方々と別作品の制作を並行させます。さらにそこにオンライン稽古もかませながら。いつも以上に複雑で大変だけど、これも試行錯誤な新しい挑戦だと思ってます。
まとめ
長くなりましたが、そんなこんなでシイナナにとっても初めてなことばかりの東京公演。きっとこの先も何度も「楽しい」を忘れそうになる瞬間が訪れるのかもしれませんが、そのたびにメンバーみんなで思い出して、乗り越えていこうと気合十分です。スッゲー楽しかったわぁ!と締めくくれるその日まで、どうぞ見守っていただければと思います。
公演情報
日時:
2022年
12月2日(金)20:00〜
12月3日(土)16:30〜 / 19:30〜
12月4日(日)16:30〜 / 19:30〜
※開場・受付は開演の30分前
※短編5作品の上演で各回約70分程度の上演を予定しています
(上演作品は各回とも同じです)
会場:
Café MURIWUI(カフェ ムリウイ)
世田谷区祖師谷4-1-22-3F
HP:https://www.ne.jp/asahi/cafe/muriwui/
※祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩7分
チケット:
チケット+1ドリンク別(500円〜)
ふたりごと割:5,000円/2人
U25割:2,500円
一般:3,000円
※U25割は、ご年齢を確認できる証明書をご持参ください
[ご予約フォーム]
https://www.quartet-online.net/ticket/futarigoto-tokyo
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