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年次総会(通称ダボス会議)2022 -- Day4

年次総会2022が最終日を迎え、閉幕しました。複数の危機に複合的に直面している現在を「歴史の転換点」と位置付けたこの会合には、国家首脳50人、政府関係者300人を含め、世界から2,500人のリーダーや専門家が集い、8つのテーマをもとに構成された450を超えるセッションなどを通じて、世界の安定とインパクトのための協調を促進する重要な機会となりました。

本日は最終日の4日目に開催されたセッションから2つをご紹介します。

The Biggest Trade Deal in the World

2022年1月にRCEP(地域的な包括的経済連携協定)が施行されて約5ヶ月がたちました。RCEPは、ASEAN諸国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを対象に、世界人口の30%、世界GDPの30%を占める世界最大の自由貿易圏です。

サントリーの新浪剛史社長は「RCEPの成功は中国次第だ」とし、段階的に関税を下げていくこの貿易協定を歓迎しつつ、中国の出方をまずは注視するという慎重な姿勢を示しました。

そのほか、こうした貿易協定が強靭な域内サプライチェーン構築につながる可能性、経済安保と保護主義、域内での経済力格差、米国とIPEF(インド太平洋経済枠組み)との関係など、白熱した議論が交わされました。特に"Friend or Foe" といった敵味方のラベルを貼る姿勢が、経済や社会の分断を招く危険性に直面している現在、RCEPのもつ戦略的な意義には引き続き注目です。


The Global Jobs Outlook

産業構造の変換が進行するなか、大きな転換期を迎えいる労働市場。パンデミックはこのトランスフォーメーションを劇的に加速させました。

リクルートの出木場 久征社長は、労働市場が直面している挑戦として「高齢化しする労働力」「ワークライフバランスに対する態度の劇的な変化」「移民・難民問題」の3つを掲げました。そして賃金的な報酬よりも「パーパス・ドリブン」という意識の変革を指摘し、これからの若者世代に対しては「自分のパッションとは何かを考えてみてほしい」とのエールを送りました。

このセッションでは、リスキリングとアップスキリングのスピードを大幅に加速させる必要性、グローバルに流動化する人材エコシステムへの対応、古い労働市場の見方に縛られている教育システムの見直し、ヘルスセクターなどへの投資の重要性などが議論されました。

世界経済フォーラムでは同日、教育やヘルスケア領域への人材投資についてのレポートを公表しました。


ご参考

Davos 2022 | History at a Turning Point ハイライト動画(英語)


年次総会2022閉幕のプレスリリース(英語):


Day1の紹介↓

Day2-3の紹介↓

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター
ティルグナー順子(広報)


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