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画像生成AIの話をする前に知っておくべき事

Twitterの画像生成AIに関係する規約や機能がどうたらこうたらで騒ぎになっていますね…

少し反応を見てみましたが、生成AIの仕組み自体や法律、関連する物事をよく理解できていないパターンが多く見られました。

そこで今回は知っておいたら役に立つかもレベルの話をまとめてみました。
長い文章ですが、できるだけ最後まで読んでいただけると非常にありがたいです。

前置き

この記事ではあくまで解説、事実の提示をメインとします。
それだけはよ〜く理解していただけると幸いです。

話題の規約は昔から存在している。

話題となっているブロック機能変更でない方の規約は1年以上前から存在しています。

今回はそれがより分かりやすく表記された形となります。

明らかなミスリードに対し「それは昔から規約にあった」と多くの人間が指摘できていない状況はフェイクに騙される可能性が高いという証明でもあります。

これで本当に大丈夫なのでしょうか…
先日の衆院選もそうですがSNSはフェイクが多いですよ…

画像生成AIの仕組み

実は彼らも人間と同じように「学習」するのです。
これまでのAIとは決定的に違うので信じられない人も多いでしょうが、事実です。
尤も人間とAIでは中身が違うので単純に人間とAIが同じとは言えません。

仕組みはこうです。

例えば私のアイコンの子(以降 夜空葵)を学習した場合。

画像生成AI「共通点は髪が長い・メガネをかけている・目にハートが描かれている・可愛いなどなど…」

画像生成AI「これは夜空葵である。」
こうやって学ばせます。

ユーザー「夜空葵を描いてください」

画像生成AI「ではこれらの特徴をもとに描いていきますね!」

画像生成AI「完成!」

ユーザー「ありがとね!」

こんな流れです。
ですがそれでも完璧な物が出力される訳ではありません。

なお筆者の説明より文化庁の資料の方が分かりやすかったです。悔しい。

出典 令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」講演資料

やっぱり文化庁の方が分かりやすいでしょ?

ちなみに夜空葵は筆者と複数人の作者によるオリジナルキャラクターです。
気に入ったら描いてみてください!

画像生成AIは「盗む」物ではない

前述のように画像生成AIも学習します。

仮に盗む物であれば我々人間の学習も盗む事と同義です。
ですがそうではありません。画像生成AIにも同じ事が言えます。

従来のAIと生成AIの違い

「生成AI」というワードを各所で耳にする事が増えたと思います。
では従来のAIとどう違うのでしょう?

端的に言えば「決められた物を自動化するのが従来のAI、自ら答えを作るのが生成AI」と言った所でしょう。
従来のAIは学習したデータからユーザーの求める答えを導き出すのが主でした。

生成AIとは、さまざまなコンテンツを新たに生み出す人工知能(AI)のことです。生成系AI、ジェネレーティブAI(Generative AI)とも呼ばれます。従来のAIが決められた行いを自動化するのに対し、生成AIはデータから学習したパターンや関係性を活用し、テキスト、画像、動画、音声など多岐にわたるコンテンツを新たに生成できます。

出典 生成AIとは?従来のAIとの違いや企業活用のメリットを解説

SFに登場する人工知能のイメージに大きく近づいたようにも見えます。

ユーザーの問題とサービスの問題を混ぜてはダメ

どのような物であれ、悪質なユーザーが存在するのが常です。
例えば包丁は便利な調理器具ですが、悪質なユーザーの手に渡ると殺傷能力のある武器へと変貌します。

画像生成AIが悪意のあるユーザーによって使用された場合も同様です。
要はユーザーがどうであるかという問題になります。

その点とサービスを提供する側とを意図的かそうでないかは不明ですが混同している例が数多く見られます。

法律系の話

法律系の話をちょっとします。

「絵柄」や「アイデア」は著作権法で保護されない。

仮に絵柄が保護された場合、印象派と言った物が誕生しなくなると言えば話は早いでしょう。
要は芸術の停滞を招く可能性があるのです。

出典 令和6年度著作権セミナー「AIと著作権Ⅱ」講演資料

ちなみに絵柄が保護された場合、真っ先に田中圭一先生がアウトになります。
先生と手塚るみ子氏の訴える訴えないネタが漫才として成り立っているのはそういう事が理由にあります。

画像生成AIで生成した物に著作権はない?

それは違います。

文化庁の資料を参考にすれば、人が思想感情を創作的に表現するための道具としてAIを使用したものと認められれば著作物に該当し、AI利用者が著作者となるとされています。
サービスではなく、ユーザーが著作者です

ちなみに道具として使用されたと判断する基準は創作意図と創作的寄与の有無です。

そして当然ですがにパクり、無断転載は複製権の侵害として著作権法違反となります。
その点は周知しておくべきでしょう。

無断学習という言葉は実は意味の分からないワード

著作権法第30条の4では情報解析等に伴い著作物を利用する場合のような著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為(非享受目的で行われる利用行為)は原則として著作権者の許諾なく行うことが可能とされています。

具体例としてはAIの学習データとして用いるために著作物を収集(複製)する場合等が挙げられます。

ただ、これが適用されないケースもあります。
特定のクリエイターの作品である少量の著作物のみを学習データとしたAI学習には著作権法第30条の4が適用されない場合があると考えられています。

そもそも「無断学習」という言葉自体が意味の分からない物なのです。

例えばChatGPTやDeepLも「無断学習」の成果物です。
仮定の話ですが私が書く駄文も投稿した写真も学習されているかもしれません。
でも、それは何も法には触れず、問題のある行為とは言えません。

そして、人間の学習も無断学習に当てはまります。
人は少なからず他者の影響を受けています。絵柄しかり文体しかり。
そこは忘れない方がいいでしょう。

他にも知っておくべき事

これだけでは終わりません。他にもインターネット上には様々な間違いが出回っています。今回はできる限り色々な物を解説していきます。

法律は生成AIを想定している

著作権法が生成AIについて想定されていないという話が時々流れてきます。
ですがそんな事はありません。
法改正以前の平成28年には「AIによって生み出される創作物の取扱い(討議用)」として資料が作成されており、改正された法律も想定した上で作られています。

Glazeは役に立つ存在とは言い切れない。

Glazeに関しては効果は思ったよりもないと筆者は考えます。
使うか使わないかは当事者次第ですが、効果はそこまでありません。
プラシーボ(偽薬)的なものと捉えた方が適当でしょう。
ただ、効果の割にノイズが非常に目立つ。カピカピの画像のような雰囲気になり、色もあまり良くないです。

オススメはできません。

ウォーターマークの効果は非常に限定的

これはウォーターマークを否定する物ではありません。むしろ人間による無断転載を防ぐために自分のIDなどを書いておくべきでしょう。(見る側としては作者が誰であるか分かりやすいというメリットがあります。)
非常に限定的と述べた理由はこの点にあります。

この辺りの情報が広まっていないため、非常に微妙な内容の主張が飛び交っています。
代わりにサインやロゴにした方が無断転載等の防止に効果を発揮できます。
それに誰の絵であるかの把握は容易であり、

X(旧Twitter)のCEOはイーロン・マスクではない

XのCEOは結構前にリンダ・ヤッカリーノ氏に交代しています。
筆者はXにて「全てイーロンが悪い」と発言していますが当然ながら冗談です。
森羅万象担当大臣ネタみたいな物ですので本気にしてはいけません。
今年カメムシが多いのはイーロンのせい。今日天気が悪いのもイーロンのせい。

ただ、CEOが誰であれ、アイコンを先代の物に変更し、サブスクライブによって使用できる機能は登録時に表示されるようになると非常にありがたいとも思います。

なお、イーロン・マスク氏はXのCTO(最高技術責任者)であり、力を持っていない訳ではありません。

分散型SNSは「完全無欠」の楽園ではない

現在のTwitterへのカウンターとして今回(も)注目されつつある分散型SNSですが、それらをネット上の楽園であるかのように話す人が多いのが気になります。

分散型SNSのデメリットとして「投稿を消せない事」が挙げられます。

たとえば間違えてマイナンバーカードの画像をアップロードしてしまった場合、Xだったら、誰にも気づかれない段階で消したら消えるんです。でも分散型SNSだと、送信して相手のサーバーが受け取ったらすでにファイルは複数の場所にコピーされている。削除のリクエストがコケたりすると、一生消えなくなるんですよ。悪意のあるサーバーは削除のリクエストだけをブロックすることもできますし、削除のリクエストが飛んできたデータだけを保持するサーバーも理論上作ることが出来ます。

出典 目指すのは「オタク向けmixi」「平成のインターネット」……? ユーザー爆増の純日本産SNS『Misskey』開発・運営インタビュー

この点に関しては中央集権型SNS(XやFacebookなど)より厄介でしょう。

パブリック・コメントは国営怪文書作成大会ではない

どういう事か分からない人のために説明します。
文化庁が「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関するパブリックコメントを募集したのですが…
筆者が確認したところ結構な割合で怪文書が含まれていたという話です。

本当に怪文書としか言えない物が結構な割合で見つかるのです。
事実や法をしっかり認識できていない物から悪口まで多種多様な怪文書です。

国語の記述問題と同じで、こういう文章は誰かに読んでもらう事を前提として書くべきでしょう。

例えばこれはNG。法律に対する無理解に加え、人種差別的要素も含まれている。

このような法律に対する無理解が分かる物や暴言、差別的発言とも取れる内容の物が数多く見られるのは非常に残念です。

二次創作は合法とは言えない

二次創作は合法でもグレーでもなく違法です。
(著作者の許可を得ている場合、私的使用の場合であれば問題はありません。)

親告罪であるため、原作者が訴えていないという事が多くあり、見逃されている場合もあります。

何が言いたいかは…皆様もお察しの通りです。
AIに対し著作権侵害と言っておきながら自分が著作権侵害をしていましたなんて二重規範以外の何物でもありません。明らかに不誠実です。

筆者の考察

今回の騒動は一時期の流行りであり、急速に拡散された物ではありましたが、1週間と続きませんでした。3日間あったかどうかすら微妙です。

ですがもうすぐ(加筆時2024 11/5~2024 11/15)再燃するかもしれません。
デマや誤情報は基本的にリユースが可能ですからあり得ない話ではないでしょう。

今回の騒動を見る限りでは詐欺や陰謀論が広まる土壌として一定の質がある集団が一部に存在している事の証左になっているのではと感じました。
変な入れ知恵でもすればそこそこの利益が得られるのではとさえも…

要は偏った集団になると自浄作用(決して自分たちと違う意見の者を排除する事ではない)が皆無になるので気をつけましょうという事です。

筆者が伝えたい事

正しい知識なしに物事を理解する事はできない

どんな事柄にも言えますが、正しい知識なしに理解できる物事はありません。
これは筆者の体験からも言える事です。

正確な情報発信と事実確認は怠らず、万が一間違った情報を拡散した場合の対応などについても考えておくべきでしょう。

発言には責任が伴う

また、他人の発言の受け売りであれ、発言には責任が伴う事も忘れてはいけません。
それは再投稿(リポスト、リツイートなど)であっても当然です。

仮に再投稿した内容が誹謗中傷であった場合には刑法233条の信用毀損罪に問われる可能性もあります。
「再投稿するだけ」ではない事には注意すべきでしょう。

自浄作用と排斥を取り違えるな

自浄作用を名目に自分達と違う意見の排除、攻撃が見られる場合があります。
ですがそれは過激化の一歩手前である事を忘れてはいけません。

気持ちではなく論理で動け

気持ちだけで行動したり発言をしてしまうと、昨日の発言と今日の発言が噛み合っていなかったり二重規範となっている事もあります。

そして、気持ちだけで動いてしまうと本来真偽を見分けられるような情報でさえ見分ける事ができなくなる事もあります。
これは過激な主張の人間に共通する特徴です。
気をつけた方が良いでしょう。

レッテル貼りはNG

「自分と少しでも意見が違えば敵」という風潮があります。
この風潮はあまり良い物とは言えません。

要は「白黒思考(ゼロ百思考)は良い結果を生まない。」という事です。
相手を絶対悪として捉える事もやめましょう。

立ち振る舞いも自身の主張の正当性を示す道具になります。
その事は忘れない方が良いでしょう。

最後に

この記事は特定の主張を擁護、非難するものではありません。
あくまで事実の提示、筆者個人の警告、提言の類です。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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鹿島響(あきづき)
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