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ウクライナの病院に向け発射されたミサイルはKh-101でありNASAMSやペトリオットのものではない。

 先日、ウクライナ各地に行われたロシア軍のミサイル攻撃により、これまでに40人以上が命を落とし、その標的には首都キーウ(キエフ)のオーマトディト小児病院も含まれていました。

これに関連した悪質なデマが流れているので今回はこれらのデマを訂正していく事にします。

デマの内容

今回流れているデマは「これはロシア製のKh-101ではなく、アメリカ製のNASAMS防空システムで使用されるAIM-120やペトリオットである。」という内容のものです。
では、様々な角度から真偽を確かめてみましょう。

動画に映っていたミサイル。この形をよく覚えてください、。

形状を比較してみよう。

ミサイルと一言で言っても全て同じ形という訳ではなく、様々な形のものがあります。
今回はデマの検証のためにKh-101とAIM-120を映像のものと比較する事にします。

形状を比較してみよう。Kh-101編

まずはKh-101と比較してみましょう。

Kh-101の最大の特徴は外部にあるエンジンポッドです。
動画の物でも同様の特徴が確認でき、これでKh-101確定だと言えます。
Kh-555も似たような形ですがこちらはずんぐりむっくりで動画の物とは少し異なっています。
「大きな翼が見えない!だから嘘!」と言っている人もいますが…
作りを見れば分かるように角度によっては見えにくいです。
動画の物はしっかり映ったパターンでした。

形状を比較してみよう。AIM-120編

AIM-120の形状を見てみましょう。

これはダミーのAIM-120。

このように翼が4方向に広がっており、どの角度から見てもしっかり翼が見えます。
動画のものではそのようには映っていません。

形状を比較してみよう。ペトリオット編

もう一つのデマにペトリオットの誤射であるという物があります。

出典 航空自衛隊公式ホームページ

航空自衛隊公式ホームページにペトリオットの形状が把握できる画像がありましたのでそれを参考にしましょう。

上記の画像を切り抜き、角度を調整した物。

比べてみましょう。かなり違います。
動画の物にある翼もエンジンポッドも確認できません。
これでペトリオット説は潰れました。

速度を考えてみよう。

Kh-101は亜音速で飛行する巡航ミサイルです。
デマで挙げられている様々な地対空ミサイルは超音速で飛行するため、そもそも目視が困難です。

爆発の程度を考えてみよう。

そもそも地対空ミサイルの炸薬量は巡航ミサイルと比較して少なく、あのような爆発を引き起こす事は困難です。

おまけ

このようなデマはそこまで軍事という分野に興味のない人を狙って流されます。
興味のない分野に関するセンセーショナルな内容の物には気をつけましょう。

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