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「これを初動でやっておけばよかった。」は正しいのか?

令和六年能登半島地震から1年以上が経過した今でもデマなどは消える事なく、今でも一部政党支持層を中心に広まり続けています。

今回は筆者が見つけた「斬新な発想」をいくつか紹介したいと思います。
と言ってもバカにするのではありません。
「何故それをやらないのか?」に対する回答をするものです。


人を乗せたまま重機を吊り下げ輸送!

このような意見がありましたがオペレーターを搭乗させての空輸は非常に危険であり、自衛隊も民間もそのような事は基本行いません。

仮にそのような状態で吊り下げた荷物が落下した場合、オペレーターの命に関わるからです。
そして着陸時に荷物が倒れたりしない訳ではないからです。

アメリカ軍では乗員が搭乗した状態の舟艇をMH-47G特殊作戦用ヘリコプターで運ぶ事がありますが、それは特例中の特例です。
それもずっと乗っているわけではないとか…

とにかく、普通はしません。

重機が空輸できると言ってもサイズは限られる

余談ですが、陸上自衛隊のCH-47J/JA輸送ヘリコプター、航空自衛隊のCH-47J(LR)輸送ヘリコプターで吊り下げ輸送可能な重量は約11~12トン。

コマツの油圧ショベルを例にするとPC120型というシリーズの輸送は難しいかもしれないというレベルです。

PC120型油圧ショベル 出典 コマツ

PC200型というシリーズになると分解しての輸送なら可能と言ったところです。

PC200型油圧ショベル 出典 コマツ

分解して持っていく事はできるが…

国土交通省が保有する分解組立型遠隔操縦式バックホウがPC200と同規模であり、空輸も可能ですが…
それでもまだ課題は残ります。
分解して空輸するまでの時間が休憩を抜いて17時間程度必要となるほか、組み立てには小型のクローラークレーン2台を必要とし、それらを先に現地へ空輸する必要があるのです。

また、組立てにも時間がかかるため、そう容易ではありません。

結論

可能ではあるが大変危険であり実質不可能。
また油圧ショベルの空輸は可能だが大型の物は不可能。

分解での空輸ができる物は分解から組立てまでに時間を要するため、初動対応としての重機の空輸はそこまで現実的とも言えず、空輸以外の面でもどこまで有効な物であるか疑問が残る以上、「初動としてこれをやれ。」というのは正しいとは言えないと考えられます。


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鹿島響(あきづき)
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