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#5 斜めの雨上がり

あら、いらっしゃい。よく来てくれたわね。マゼンダよ。

実は、私はね。自分の事が嫌いだったのよ。

突然何?って話よね笑

けど、これから私の大切な思い出を話すから良かったら聞いてちょうだい。

私の初恋は、きっと3歳の時で相手は同級生のお兄ちゃんだったわ。

3歳児から見た、5歳児って、それだけで頼もしいお兄さんで、優しそうな見た目のその人に憧れたのかも知れない。
そして、行事か何かで年長さんが新入園児と手を繋いで歩く事があって、そのお兄ちゃんと手を繋いだの。その時に小さいながら嬉しいと思った事を今でも覚えてるわ。

だから、きっとあれは初恋だって、今なら言えるのよ。

前置きが長かったわね。
ここからが本題よ。

それから少し時が経って、思春期になった時、もしかしたら私は殿方が好きなのかも知れないと思ったの。
それは高校生になって、確信に変わったわ。

先輩や同級生の殿方を見ては、胸が苦しくなるそんな青春時代を過ごしてた。

けれども、そんなこと誰にも言えずに心の奥にずっとしまっていたわ。

だって、そうでしょ。男は女の人を好きになって、女の人は殿方を好きになるって教わるんですもの。

だから、自分は正しくない存在なんだ。
殿方に想いを寄せるだなんておかしい事なんだ。

そうして、知らず知らずに自分を戒めていたわ。

殿方を好きな自分が許せなくて、大嫌いだったの。

そんな私でも、矛盾してると思いつつ、殿方とお付き合いしたりする事はあったわ。そして、身体を重ねる度に思うの。

この繋がりは所詮、性欲。それが無ければ、こうして2人でいる事も無い。

気付けば、そんな偏った考えになってたわ。

本当に苦しかったと思う。私のことながら。
誰にも話す事ができず、鬱々とした日々を送ってた。

そんな私でも、自分を受け入れられる日が訪れるの。
それはね、初めて海外に行って、クィアの集まる通りを訪れた時、目にした光景だったわ。

ロマンスグレーのダンディな殿方2人が手を繋いで、堂々と通りを歩いていた。
そして、その2人はとても幸せそうで、お互いを信頼している様に私の目には映ったわ。

そして、思ったの。

「あぁ、人を愛することに性別は関係ないんだ。」

それは素敵な素敵なカルチャーショックね。
神様がいるのならきっと私に見せる為に用意してくれた、ロマンティックな瞬間だったわ。

それから、少しずつ勇気を出して、周りの人に自分のセクシュアリティを打ち明けたり、ゲイの友達を作ったりしていって、気付けばこうして、クラブマゼンダのママをしているわ。

もしも、私のこのnoteを読んでくれている方が居て、もしも、自分のセクシュアリティで苦しんでいるのなら、伝えたいわ。

貴方は貴方のままで良いのよ。

今の貴方の世界は狭いかも知れないけれど、外にはもっと広い世界が広がっていて、沢山の愛の形を見る事ができるわ。

だから、少しだけ勇気を出して、先ずは貴方自身のことを好きになってみて。

今、日本は本当に窮屈だわ。けど、そんな窮屈な日本を変えようと今この時も頑張ってる人が居る。

だから、大丈夫。そんな勇敢な人達が居れば、未来は明るいものになるわ。

そう、雨上がりに眩しく見えるあの虹の様に🌈

じゃあ、今日はそろそろ閉店するわ。
良かったらまた来てちょうだい。
私は貴方が大好きよ。

じゃあまたね。

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