疑問:生産性が上がると賃金は上がるのか??
生産性の謎
生産性が上がると賃金が上がる?
まとめ
そもそも生産性というのが不思議な概念だなと学部時代から思い続けていたところ、Youtubeの日経テレ東大学という番組で取り上げられていたので疑問をメモに残します。学部時代に、(今振り返ると恥ずかしいですが)「生産性と賃金とコーポレート・ガバナンス」という論文(正確には紙ゴミ)を書いたこともあります。
日本の実質賃金のデータをちょこっと。横ばいですね。
宮川努先生の「生産性とは何か」によると、
「生産性とは、労働、資本、中間投入といった生産要素を投入してどれだけの算出物や付加価値が生み出されるかを測る指標である」とあります。
ざっくりいうと、生産性というのは、持っているヒト・モノでどれだけの売上(または利益)が上げられているかを測るものさしであると言えるのではないのでしょうか。式で表すと、生産性=売上/ 生産要素(ヒト・モノ)という感じですかね。
従って、生産性を上げるには、①売上を伸ばすか、②生産要素(ヒト・モノ)を減らすか、③投入する生産要素以上に売上を伸ばすか、この3つですね。さて、次に疑問です。
・疑問①
生産性は全体的な景気の良さ、GDPに左右されるモノではないか。よって、今のGDP横ばいの日本では生産性は上がりようがないのではないかという疑問。
・疑問②
ヒトの業務を代替するような機械の導入は生産性の上昇にはつながらないのではないか。例えば、スーパーのレジ業務を、ヒトから自動精算機にした場合。ここでは、ヒトから自動精算機に変えたことで業務量、すなわち売上が変わるのであれば生産性は上がりますが、人件費を機械導入費用で立て替えただけで生産性は変わらないのではないかという疑問です。去年よく言われていたDXは、コスト削減ではなく戦略面での変革であると経産省のレポートで言われていたのを見て、なるほどなあと思った次第です。
○生産性が上がると賃金が上がる?
企業名は伏せますが、以前就活の企業説明会で「生産性が上がると賃金は上がる!」と声高にいっていた人事の方がいらっしゃいました。私は、その概念は本当にそうなのかと思いオウム返しで「生産性が上がると賃金が上がるのでしょうか?」と聞いたところ、「そうです」と2秒で解答が終了しました。本当にそうでしょうか?
「生産性が上がると賃金が上がる」というロジックは、もうワンクッション入れて考えるべきだと思います(おそらく労働生産性ですが)。具体的には、「生産性が上がって、労働分配率が上がって、賃金が上がる」、このロジックだと思います。
まず、「生産性が上がる」ということは、投入したものに対して得られた売上が大きくなることです。利益が増えるということで合ってるかと思います。次に、その利益をどう分配するのかを見る必要があるのではないでしょうか。
よって次は、「労働分配率が上がる」、すなわち利益が労働者、すなわち賃金に分けられる割合が増えることが必要だと思います。実際の数値は、全体的に横ばい、大企業が低下傾向なのが見えます。物価も考慮に入れないといけませんが、実質賃金が横ばいな理由も伺えます。学部時代の私は、「労働分配率が上がらないのは、株主が強くて配当に回せとうるさいからだと考えていた」のですが、よくわかりませんでした。
参考までに、大企業の財務動向をみると、設備投資も人件費もバブル崩壊後とほぼ同じ水準なのはなぜか気になりますね。
・参考
新しい資本主義実現本部事務局「賃金・人的資本に関するデータ集」https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai3/shiryou1.pdf
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