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さるぶつ道場 円運動1解答

鉛直面内の振り子の円運動

 問題はこちらです.

 張力は小球に仕事をしないので,円周上を運動する小球の力学的エネルギーは保存されます.ただし,剛体棒はたわむことがないので,(1)では力学的エネルギー保存則だけを考えればよいのですが,(2)では糸の張力 $${T\geq 0}$$ を条件にする必要があります.そのためには,点Bでの運動方程式を考えなければなりません.(3)では糸がたわむときに,張力は0になることに注目しましょう.(4)糸がたわんだ後の小球の運動は,斜方投射です.三角比の扱いに注意しながら解き進めましょう.

(1) 点Bでの小球の速さを $${v_B}$$ とすると,剛体棒に取り付けられた小球が点Bを通過するための条件は,$${v_B>0}$$ である.
 力学的エネルギー保存則より,

$$
\begin{array}{}
\frac{1}{2}mv_0^2&=&\frac{1}{2}mv_B^2+2mgl\\
\frac{1}{2}mv_B^2&=&\frac{1}{2}mv_0^2-2mgl>0\\
\frac{1}{2}mv_0^2&>&2mgl\\
v_B&>&2\sqrt{gl}
\end{array}
$$

(2) 力学的エネルギー保存則より,点Bを通過するときの速さ $${v_B}$$ は,

$$
\begin{array}{}
\frac{1}{2}mv_1^2&=&\frac{1}{2}mv_B^2+2mgl\\
\frac{1}{2}mv_B^2&=&\frac{1}{2}mv_1^2-2mgl>0\\
v_B&=&\sqrt{v_1^2-4gl}
\end{array}
$$

 糸の張力を $${T}$$ とすると,点Bで円周上を運動するとき $${T\geq 0}$$ である.点Bでの運動方程式より,

$$
\begin{array}{}
m\frac{v_B^2}{l}&=&T+mg\\
T&=&m\frac{v_B^2}{l}-mg\geq 0\\
v_B^2 &\geq & gl\\
v_1^2-4 gl &\geq &gl\\
v_1 &\geq &\sqrt {5gl}\\
\end{array}
$$

(3) 点Cでの小球の速さ $${v_C}$$ は,力学的エネルギー保存則より,

$$
\begin{array}{}
\frac{1}{2}mv_0^2&=&\frac{1}{2}mv_c^2+m gl(1-\cos \theta)\\
v_C^2&=&v_0^2-2 gl(1-\cos \theta)\\
v_C&=&\sqrt{v_0^2-2gl(1-\cos \theta)}
\end{array}
$$

 $${v_0=2\sqrt{ gl}}$$ を代入して,

$$
\begin{array}{}
v_C&=&\sqrt{4gl-2 gl(1-\cos \theta)}\\
     &=&\sqrt{2gl(1+\cos \theta)}
\end{array}
$$

図2

 点Cで物体にはたらく重力 $${w}$$ の半径に沿った成分(動径成分) $${w_r}$$ は,図2より,

$$
\begin{array}{}
w_r&=&mg\sin\left(\theta -\frac{\pi}{2}\right)\\
&=&-mg\cos \theta
\end{array}
$$

 三角関数の変換公式を利用します.公式を覚えていなくても,単位円を書いて考えると簡単に導出できます.
$${\sin\left( \theta -\frac{\pi}{2}\right)=-\cos \theta}$$ , $${\cos\left( \theta -\frac{\pi}{2}\right)=\sin \theta}$$

 点Cでの運動方程式より糸の張力 $${T}$$ は,

$$
\begin{array}{}
m\frac{v_C^2}{l}&=&T-mg\cos\theta\\
T&=&m\frac{v_C^2}{l}+mg\cos\theta\\
&=&m\frac{2gl(1+\cos \theta)}{l}+m g\cos\theta\\
&=&m g(2+3\cos\theta)\\
\end{array}
$$

 糸がたるみはじめるとき,$${T=0}$$ なので,

$$
\begin{array}{}
2+3\cos\theta&=&0\\
\cos \theta &=&-\frac{2}{3}\\
\end{array}
$$

(4)

 $${\sin \theta}$$ の値を求めるときは,$${\sin^2\theta+\cos^2\theta=1}$$ を用いてもよいが,$${\cos\theta=-\frac{2}{3}}$$ より,図3のような直角三角形を書いた方が簡単に求められます..

図3

 点Cでの速度の鉛直成分は,図2より,

$${v_C\cos\left(\theta -\frac{\pi}{2}\right)=v_C\sin \theta}$$

 $${\cos \theta =-\frac{2}{3}}$$ より,$${v_C=\sqrt{\frac{2}{3} gl}}$$ である.また,図3より,\$${sin \theta =\frac{\sqrt 5}{3}}$$ なので,$${v^2-v_0^2=2ax}$$ より点Cから最高点までの高さ $${h}$$ は,

$$
\begin{array}{}
0^2-\left(\sqrt{\frac{2}{3}gl}\cdot \frac{\sqrt 5}{3}\right)^2&=&-2gh\\
h&=&\frac{5}{27}l\\
\end{array}
$$

 したがって,点Aから最高点までの高さ $${H}$$ は,

$$
\begin{array}{}
H&=&l\left\{1-\left(-\frac{2}{3}\right)\right\}+h\\
&=&\frac{5}{3}l+\frac{5}{27}l\\
&=&\frac{50}{27}l\\
\end{array}
$$


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