1994年のベースボール
1. 良く晴れた春の日の午後、大谷少年が近所の原っぱへ行くと、いつものように二つのグループがいた。一方はひたすら木の棒をぶんぶんと振っていた。そしてもう一方は球を握って、ひたすら遠くへ向かってそれを投げていた。棒を振っていたグループと、球を投げていたグループがほぼ同時に、大谷少年の存在に気づいた。
「やあ大谷少年。今日こそ俺たちと一緒に棒を振る気になってくれたかい? 君なら、他の誰よりも重い棒をぶんぶんと振ることが出来るだろう」と棒のグループが言った。
「いやいや、大谷少年。