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苦しかった思い出

新入社員として入った会社は、希望に満ちていた。
でも、病気は私の体を蝕んでいく。

会社員として働いていた頃、病名や症状を細かく聞かれることがストレスだった。病名を聞いても分からないだろうに、知ろうとしてくれるのはありがたいのに、気合いで治るよとか、いつか元気になるよとか。全部が、「今はあなたは普通じゃない」って言われてるようでつらかった。

辞める理由のひとつに、私の病気のひとつ。解離性同一性障害がある。解離性同一性障害は、自分でどうにかできるものではないって思ってる。だって、仕事中に、急に代わって、その場で早退した日もあった。メモが増えていたり、字が若干違う気がしたり、知らない社員さんなのに仲良くなっていたり。
私自身限界だった。そんな時だ。

「私たちは、あなたを採用したんだ。別の人なんて採用していない」

ーそんなの知ってるー

「あなたの力が必要なんだ。コントロールはできないのかね?」

ーできたら苦労しないー

泣きたかった。泣けるならその場で泣いて、無理なのだと言いたかった。でも、私は言えなくて、結局頑張りますと言うのが精一杯だった。情けなくて、ほかの人たち(交代人格たち)は何も悪くないのに、ここで働こうと決めたのは私なのに、急に代わってしまうからどうしようもないのに。なんで怒られているんだろう?

交代人格がしたことも、私のせい。
功績は、私の功績。でも、信用はしてもらえない。

「この功績は?だれのですか?」

私が聞きたいよ。実績をあげても、資料を作り終えても、何をしてもあなたは本人ですか?と問われる毎日。

いつからか、笑えなくなっていた。
最初のうちは、知ろうとしてくれているんだと嬉しかったのに、いつの間にか疲れてしまっていたのだろう。

私は学校も、会社も、近所づきあいも怖い。
もし、私の知らないうちに、「初めまして」ではなかったら?私はどうしたらいいの?不安でしかたなかった。誰かに共有することも、こわくて、自分が信じられなくて、つらい。

会社を辞めると決めた時、話を聞いてくれた先輩や、辞めちゃうの?と泣いてくれた人もいた。嬉しかったし、今でも悔しい。もっともっとできたのではないかって思う自分もいる。

でも、私はこの子(交代人格)たちと生きることを決めたから、辞めなくてはいけなかった。うつ病になって、私自身に向き合って、思い出せないところも多々あるけれど、私は私であることに後悔がない。

過去の失敗も、今の生き方も、悔しい気持ちはあれど、アレでよかったとイマなら思う。

昔務めていた会社は、ブラックなどではない。ただ私との相性が悪かったのだと今なら思うし、もっと自分の体に向き合おうと思えたきっかけをありがとうございましたとイマなら思える。

まだ仕事に就くのは、変わらずこわい。
でも、働いてみたいなと思えるようになった。

1000年生きるとしたら、今はたった数年生きただけのガキな私も、いつか誰かを導く人になるのだとしたら、失敗も嫌なことも、忘れずに残しておこう。
どうやって乗り越えたのか、それはその時の私なら知っているはず。

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