OMC225 参加記

こんばんは。
本記事では2024/7/26に開催されたOMC225の感想などを書いていきます。
予定があり、参加ができない見込みだったのですが、前倒しに進んだ結果参加できることになったので(その代わり少し微妙な体調ではありましたが)急遽参加することにしました。
問題ページは以下です。


参加時の動き

配点は1-4-4-4-5-5で制限時間は100分
偏った配点。出ていなかったですが、前回のOMCBでもB問題から難しい出題になっていて、人口が多い層が簡単な問題の早解きで決まってしまう懸念がありましたが果たして…

F

OMC225 F問題

少ない項の間の漸化式に落とせるはずで実際階差をみれば
$${a_{2n+2}=a_{2n+1}+2a_{2n}}$$
$${a_{2n+3}=a_{2n+2}+a_{2n+1}}$$
となる。手作業で数項書いてみて、4項差のときの性質を見る(実は共通で書ける)。素数を取ってきて、$${\pmod{p}}$$で$${a_n=0}$$とすると$${a_{n+4}=8a_{n-1}}$$、$${a_{n+4}=4a_{n-1}}$$ (nの偶奇で分かれる)となることから、$${p}$$ を奇素数とすると$${p|\mathrm{gcd}(a_{n},a_{n+4}) }$$なら,隣り合う項が $${p}$$で割れてしまい、初項まで下ろせば矛盾する。$${p}$$は$${2}$$のみがあり得る。$${\mathrm{gcd}}$$ は2冪のみがあり得る。
実際に $${v_2}$$のみ追いかけてみると、$${(1,4,2,2,2,4,3,3)}$$という塊に1ずつ増やした数列が並ぶ。(実際には二項目は4以上だが,gcdの時にはminを見るので考えなくてよい)4項差のgcdはmod8で1の時にそれまでの最大値が登場する。
具体的に計算すると $${\mathrm{gcd}(a_{8m+1},a_{8m+1+4})=2^{2m+2}}$$ であり、これが$${10^{15}}$$ 以上になるのは $${m=24}$$のとき。

2のオーダーを追うのみでよいという所や、$${v_2}$$による周期性を見る部分はかなりスムーズに遂行できた。

E問題を少し考えるもうまい変形や係数移動を思いつかなかったので前半へ

A

OMC225 A問題

$${r=\lfloor r\rfloor+\lbrace r\rbraceで、t=\dfrac{\lfloor r\rfloor}{\lbrace r\rbrace} }$$ とおけば $${t+1/t = 17/4}$$ と式変形でき、$${t=4}$$ を得る.あとは $${\lfloor r\rfloor = 4\lbrace r \rbrace}$$ より整数部分としてあり得るものが $${1,2,3}$$ のみなのでそれぞれ対応するものを足す。
作業気味とはいえ100点にしてはステップ数多めに感じた。

B

OMC225 B問題

内角の一つが45°の三角形はOMCE004Eでも問われていて、結構設定として好んでいる?
直角二等辺三角形がたくさん現れるので、具体計算が容易。
うまく二か所パラメーター設定してやれば等式が立つ。

C

OMC225 C問題

上手い数え方があるのかもと思ったが、シンプルに変数を固定して数える。
最初$${|100-(4x-2y)|}$$ に誤読して$${4x-2y}$$ を固定しようとして計算していたが途中で気づく。愚直に$${y=c}$$を固定してみる。(これが悪手で、偶奇の場合分けを生んでしまっている)
$${|100-4x-2c|\gt z}$$ は $${(x,z)=(25-c/2,0)}$$ で折り返した直線の上側
$${100-|4x-2c|\gt z}$$ は $${(x,z)=(c/2,100)}$$ で折り返した直線の下側
となり、平行四辺形の領域になる。あとはcの偶奇を分けて、それぞれを足す。苦行だった。

D

OMC225 D問題

最後の図の左上から右下までの最短経路の個数を聞いている問題。
わざわざ操作の様子をすべて書いているのは一応フラクタルっぽく計算できるというヒントということ?
左下から右上に引いた対角線上で通る点は5か所あり、このうちどこを通るかで場合分けして数える。対称性より実質3種類。

左上

左上の部分をピックアップするとフラクタルと思えて左上にxを書き込んだ時に右下にx^2+2通り書き込む形になる。(小さいので手で確かめたほうが良いかも)2*2のグリッドだと6通りなので
6→6^2+2=38→38^2+2=1446→1446^2+2=2090918
と計算できる。対角線の交点をGとしてBG,DGの中点をE,Fとする。
B(orD)を通るとき・・・1^2通り
E(orF)を通るとき・・・1448^2通り
Gを通るとき・・・2090918^2通り
を足しあわせればOK
サイズが小さい分数字を書き込んで解いた人も多そう。

E

OMC225 E問題

まず、$${X=1}$$のみいろいろと例外なのでこれを省く。
$${\sum_{j=0}^{100} 1=101}$$ で、方程式は $${X^{100}+\cdots + X^{50} + 2025(X^{49}+\cdots +1) = 0}$$ と書き換えられる.$${\sum_{j=0}^{100} (\alpha)^j=\dfrac{\alpha^{101}-1}{\alpha - 1} = 2024\dfrac{1-\alpha^{50}}{\alpha - 1}}$$ なので、$${101 \cdot 2024^{100} \prod \dfrac{\alpha^{50}-1}{\alpha -1}}$$ となる.雰囲気的に後ろのよくわからない積が
イマイチ整理ができなかったので、$${X^{2m+1} + nX^m -1-n = 0}$$ と一般化して,$${m}$$ を小さくして実験してみる。$${\prod \dfrac{\alpha^{m}-1}{\alpha -1}}$$ の計算が本質。$${f(X) = X^{2m}+\cdots +X^m + (n+1)(X^{m-1}+\cdots +1) }$$ とおく.
$${m=2}$$ のとき: $${\prod ({\alpha +1})=f(-1) = 1}$$となる
$${m=3}$$ のとき: $${f(\alpha)=0}$$ ならば $${f(\alpha^3)=0}$$ となることを計算で確かめて、$${\prod \dfrac{\alpha^{3}-1}{\alpha -1}=\dfrac{f(1)}{f(1)} = 1}$$となる.
$${f(\alpha^m)}$$ のところはおそらく $${m}$$ によらず0になりそうというのを見たところで$${101 \cdot 2024^{100}}$$の約数の数を出したら通ってしまった。エスパー…
確認していることはかなりいい筋まで行っていて、円分多項式の解に基づいて式を確認していくと一般の $${m}$$でも積の部分が1になることが確かめられる。

感想と反省

6問正解83分22秒で1位でした!前回の出場がOMC224だったので、初の公式コンテスト二連覇ということになりました!結果は素直に嬉しいですが、今回はE問題をちょっと実験してエスパーで通してしまったので、手放しで喜びづらい結果でした。
セット全体としては、計算作業が重めながらも考察が楽しいタイプの問題が並んでいました。AとBの差は点数通り大きかったですが、B~Dまでが400点妥当な設定で、Aが100点にしてはステップが多くある程度順当に実力が出る系ではあったので、219のような感じにはなっていなかったかなと思います。
個別の問題ではE,Fが面白いと思いました。
A問題はお手頃ながらも考えることがいくつかあって、いい問題と思いました。B問題は同作問者で似た設定を見た分既視感がありました。C問題は面倒以外の感想があまりないです。D問題はプロセスの提示し方から察するに本当はもっと大きい盤面で問いたかったのかなと思いました。力技で何とかなる問題は正答数増えますね。よくわからなかったら手を動かすというのは点数を取るという意味では鉄則ではあるのでいい傾向だと思います。
E問題はエスパーで通してしまいましたが、面白い問題だと思いました。n乗根をうまく隠す引き出しを得ました。F問題は思考ステップも作業量もそこそこ多く、フィボナッチ数列での経験が少し活かせながらも典型からは外れている良問と思いました。(既出らしい?)

雑多なトピックス

7/14 にポロロッカでコンテストを開いたので、その振り返りと非常に雑な解説を書いておこうと思います。前後編に分けます。

A問題

座王という番組から設定を取って出題した問題です。実際の番組もこんな感じで1vs1を繰り返すのですが、対戦カードの決定は「椅子取りゲームであぶれた人が一人指名する」という要領なので、ランダムではないです。
選ばれない人がいるパターンについて丁寧に立式するだけで解けます。立式しなくても行けるみたいな話を見ましたがよくわからず。(うまい解釈をすればできそうではありますが)

B問題

$${(a-b)^{a^{a+b}}+(a+b)^{a^{a-b}} }$$  のorderについて問う問題を最初に作っていたのですが、あまりいい感じに問題を作れなかったので、これを簡易化して出題しました。LTEの証明を部分的に適用する感じで、$${729^n}$$ を洗い出してみましょう。

C問題

いわゆる「難角」ジャンルです。有名図形を組み合わせてから切り取って見切りづらくするという常套手段で作りました。計算だと解きづらくなるように有理数角でいい感じの設定を考えた結果こういう問題になりました。


途中まで具体的に計算できて、その後図形を当てはめる、という想定解です。具体的な計算で分母に $${7}$$ がくる角が見えるので、ある程度背景を予想しやすいかもな、という予想込みで300点としていましたが、実際には相当難しい(というか天下り解以外が厳しい)問題のようです。初等幾何の難易度判定は本当に難しい。
この手のものをさらに複雑にすれば、正n角形周りの角度の問題は非人間的な解法のものが量産できてしまいそうですが、個人的にはそこまで好きではないです。(そもそも「難角」ジャンル自体があまり好きではないかも。)

D

実は典型題材ではあるのですが、正答率は低かったです。
$${x=y=z=\dfrac{1}{3}}$$ で最大とならないという所がまあミソなのですが(というかそのケースで最大なら求値として出さないですが)指数を大きくしなくてもよかったかも?
この聞き方にすることで
・有理数の冪の計算っぽい(細かい分数の計算を要求していない)
・5000,5001自体に意味はなく、他の数でも似た議論になる(何か変数でおいて議論してよい)
といった効果を目論んでいましたがあまり意味はなかったようです。(なんなら、x=y=zではないことを明記したほうがよかったかもしれません)
対称なのでx=y=zに注目するのはよいですが、それ以外にも端点に相当する部分を追いかけるのも重要です。「変数を減らせるケースがある」という認識でいいと思います。
もともとはOMC不採用問題です。

E

もともと「$${a}$$ の倍数のうち桁和が $${b}$$ で最小になるもの」という題材で模索していたのですが、手ごろな難易度になりにくいので放置していました。
今回は単純作業に相当しそうな $${10^k \pmod{n}}$$を与えてしまって、少し倍数の議論を行いつつ下の桁から9を配置していく、という問題構成にしました。
10進数での桁和なので、2,5の倍数については別途考える必要があります。今回であれば2024=8*253なので8の倍数という制約が下3桁に付与されます。
一般に「$${a}$$ の倍数のうち桁和が $${b}$$ で最小になるもの」を探索する作業はしらみつぶし気味にやるしかなく、10進数なら「とりあえず $${9}$$ をたくさん並べてみて $${a}$$ の倍数になるかを見て、ズレていたら適宜調整」というタイプの作業を繰り返す形なので、今回の問題のように最上位の桁を一回調整するだけで終わるという保証は全くなく、そういう意味でも参加者が敬遠する一因になったかもしれません。(自分が解く側だったらたまたまそういう例なだけだろ、と思っていたかも)もうちょっといい出題方法があったかもな~と思いつつ、いい方法が浮かばない問題です。
個人的にはそこそこ好きな題材ではあるのですが、参加者からだいぶ敬遠されてしまったので、コンテスト向きではなかったかもしれません。

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