OMC188 参加記

本記事では 2023/11/8 に開催された OMC188 の感想などを書いていきます。
初のrateが付かない無印回になります!
個人的な都合で睡眠時間が非常に短い中での参加になるため、考察力の低下やコンテスト中眠気に負けてしまうことなどが心配でしたが、結論から言うとそこはあまり結果に作用しませんでした。expert回では絶対こうならないように予定の管理をしないといけませんね。
チーム戦は前回かなりいい調子だったので、今回も引き続きいいパフォーマンスを出したいです。
問題は以下です。

参加時の動き

コンテスト直前に100分から80分に変更されたので、おそらくスピード勝負ということで、そこに自信がない自分はとにかく正確に解ききることを意識した作戦にしました。
全問解くとなると、後半は結局触ることになるので、D,E,Fをうっすら題意把握することに。
F:

OMC188 F問題

あまり得意ではない組み合わせの問題だが、対称の探索空間が小さいので、愚直な数え上げが行けそう。あと、Dがぱっと見全く分からなかったのと、Eが泥沼にはまりそうな幾何ということを合わせて、この問題から着手することに。
微妙に対称性をにおわせる要素が多く存在するので多少考察したほうがいいかなと思うものの、184Fでの失敗からこの大きさだったら一旦愚直に数え上げたほうが良いと判断。
距離5というのがそこまで探索範囲が広がらない設定になっているので、該当座標のx軸やy軸の値に注意してパターンを分類する。
被覆する最小の長方形でタイプ分けして、列挙した。やり方はいろいろとあると思ったけど、意外と解説と近い方法でやっていた。
最初選ぶ順番を考慮してわざわざ答えを6倍してしまい誤答…反省
ただし、この手の問題で184Fの反省を生かして解ききれたのはgood
Dを少し考察するも何もわからず、Eは幾何なので泥沼にはまりうる、ここでCを見るとこちらも幾何。ただし、設定的にはCの方が具体性が高そうなので、まずCから着手した。
C:

OMC188 C問題

正方形、長さが大量、出てくる角度も90°のみ、ということでとにかくうまく計算するだけと思って着手するも、角を変数にして式を立てようとしてもなかなかいい方程式にならない。
そこでA,P,Qが90°で折れ線になっているので、ここを軸に平行になるように座標を取って計算してみる。A(0,0) P(10,0)、CQ=xとしてBの座標がわかる(Aを中心にCを90°回転させたものとの中点)ので、BQ=9から方程式が立つ。「正方形」という情報の処理は比較的楽。
二次方程式になるため解が二つ出るが、片方は内部という条件に反する。
角度を設定のもがきは必要経費だったかもしれないとはいえ、時間を食いすぎた。
解いた人数を見るとDもEもやや少ない。Eの幾何から危険なオーラを感じたので、Dから着手

D:

OMC188 D問題

Snを具体的に計算しようと思うも、よくわからない(実は解説によるとここが別解釈可能で計算できるようです。面白い。)
x,y,zの素因数分解、指数を考察して、個数に帰着しようとするも、ガウス記号がそういう数論的な考察を阻む。
ここで、Snを求める必要はなく、偶奇さえわかればいいことに注目する。
Snの計上の際に、x,y,z が異なる際には同じ値が6通り計上されることから偶数となるため、ここは計算に関係がない。x,x,y のケースは3通り分になるが、x,y,yも同様の値になるため、結局この分は偶数になる。よって、S_nの偶奇は floor(n/lcm(x,x,x))の和に依存する。(ここに至るまで結構もがいた)
floor(n/x)の和については、n+1との差を逐一見て考察すると(2n-1)^2<=m<(2n)^2 で奇数となることがわかる。これを(2^10)^2分までカウントすればよい。
(今回も後でXで知ったのですが、Σ floor(n/x) はy=n/xの 格子点の数に相当するが、x=yでの対称性に着目してx>yなる解とy>xの解の数は一致するのでx=y,xy<=nなる解の数の偶奇と一致することがわかり、これは前述の範囲と一致)
Eは解いている人が少なかったので、解けない可能性を考慮して、一旦AとBを埋め、最低限の成績を確保することに。
A:

OMC188 A問題

それぞれの人の年齢の和に関して方程式が立つ。Eさんが92歳となって普通に解を投げたけど、「高齢すぎる」と怪しんだ人も多かったらしい。
B:

OMC188 B問題

最悪展開すればいいけど、後ろ4項分がx^2の多項式になることと、それに1次、0次のものをかけているため互いに干渉しないことから
・まず後半4項にx^2=1を代入して係数和が120とわかる
・前半分は1倍と2倍が計算されるため、係数和は3倍になる
以上から展開せずともわかる。
面白いですが、もうちょっと項数増やしたり次数を調整したり負の項を混ぜた方が問題としてはいいと思いました。
E:

OMC188 E問題

ここ最近のOMCで1問解けずに終わることが多かったので、たくさん時間を使ってもよいので、とにかく強引にでも解くことを意識。
図を書いてみると、B,C,D,Eは同一円周上であることが直ぐわかり、BF=4,CF=7から、方べきの定理よりEF:DF=4:7で、それぞれ4t,7tとおくと、AE=CE,AB=BD,∠ADF=∠AEFから、余弦定理により等式が立つ。これを解くことでtが求まり(最高次が消えるため、立式段階のイメージよりはきれいな式になる)、各種長さ(BE、CD、cos∠BAC、DEなど)が求まる。あとは余弦定理でもトレミーの定理でもなんでもよい。


感想と反省
6問正解51分12秒1ペナで6位でした!レートが付かなくなってから上振れを引くのはちょっと皮肉ですが、かなり良くできたと思います。
全部解いていた人がそもそも13人しかいなかったので、その13人に入れたのがよかったです。眠気は多少はありましたが、あまり結果への影響はなかったと思います。3回連続一桁順位、7回連続20位以内とかなり安定感を出せているのはいいことですね。しかし取り組み最中はどうしてもOMC177のような泥沼にはまることを思い出すので、油断はできません。
反省点としては、C,Dでちょっと寄り道が多かったところでしょうか。
Cについては必要経費っぽい寄り道ではありますが、Dは虚無な考察をしている時間が少し長かったのでそこは反省です。
Xでも指摘がありましたが、最近D,E,F(たまにCでも本質的にはD以降ぐらいの難易度)に幾何が配置されすぎている、というような印象は確かにありますね。
ストックに中難易度の幾何がたくさんあること、初等幾何という分野の特異性からコンスタントに解ける人が少ないため難易度が高めに出てしまうこと、お手軽に解を難しい数字にできること、などなどありますけど、実際IMOなんかでは幾何が多く出やすい印象があるので、まあその偏り自体はそんなに悪いことはないのかと思います。ただ、自分の場合は基本的に計算で解いているだけなので若干罪悪感があるのは事実です。作問で貢献したいところです。
あと、このコンテストは果たして100分から80分に縮める必要はあったのでしょうかね…? 自分だけでなく運営側であっても難易度評価は難しいのだなと感じました。

いいなと思ったら応援しよう!