OMC196(エリジオン杯) 参加記

こんばんは。
本記事では 2023/12/18 に開催された OMC196(エリジオン杯)の感想などを書いていきます。
無印での賞金付き回になります!expertでない賞金回は普段いない強い人がわんさか参加して、ちゃんとした自分の実力がわかる良い機会なので、毎回楽しみにしています。
エリジオンさんは申し訳ありませんが、存じ上げておりませんでした。ただ、次回のexpertも賞金付きでのエリジオン杯ということで、相当気合が入っているなと思います。数学クイズの方も面白い内容です。
チーム戦も佳境ですね。今回はチーム参加時にちょっと行動を間違えたなと思っているので、次回は自分からチームを作る方の動きを取ってみたいなと思います。
午前中体調が悪く、参加自体危ぶまれましたが、チョコレートを食べたらなぜか解決しました。どうなっているんだ自分の体。
問題ページは以下です。
https://onlinemathcontest.com/contests/omc196

参加時の動き

配点がA,B,Cまで易しめでD,E,Fから本気というような形だったので、D,E,Fから相性の良いものをまず解くことに。開いてみて分野的に即Eから着手
E:

OMC196 E問題

フェルマーの小定理で剰余を絞っていくようにしか見えない問題。
ただ、150以下というのと500点という高配点なのが気になる
p<=q<=r とする。4^(qr)≡-1 (mod p)で,4^a≡-1(modp)なる最小の正整数aをとると、a|(p-1)かつa|qr で、大小関係からa=1とならざるを得ない。したがって、p=5
あとは(1024)^r≡-1 mod q, (1024)^q≡-1 mod r なる素数を探すことになるが、先ほどと似た議論で位数を取ると、1025≡0 mod qから5,41と絞れる。それぞれ条件を満たす。
あとはここからrを探す作業となる.条件としては
4^25+1≡0 mod r もしくは 4^205+1≡0 mod r
を考えればよい.modrで4^c=-1なる最小の正整数cをとって、
q=5
2c|r-1,c|25
c=5,25のどちらかで、rの候補が10n+1型素数 これらを調べる。
4^5=1024より1025の約数かどうかでc=5のときは解決して、c=25のときは101のみ調べればよく、これは4^25=1024^5=14^5=(-6)^2*14=-1が確かめられる(電卓でも検算)
q=41
2c|r-1,c|205
大小関係から、c=5,41のどちらかで、c=5ならr=41のみ、
c=41のとき,82|r-1となるのでrとしてありうるのは83のみ。4^205+1 mod83を調べることとなるが、4^205 = (2^82)^5=1 より不適。
コンテスト中は記述しない分かなりスキップ気味にこなした。記述問題ならちょうどいい気がする。
すべてのp,q,rの組に対するpqrの和を出してしまい、誤答1 この手の間違いをやらかしすぎなので注意しなくてはいけない…

Dを解いた人がおらず、Fは幾何だったので、Dの題意を把握した後A,B,Cを解いた。

A:

OMC196 A問題

構成しようと思って頭がこんがらがりかけたが、総和が37で補集合の和が4,9とわかっているので、x=28,y=33が得られる。
B:

OMC196 B問題

正二十面体を勘違いしかけて泥沼にはまりかけたが、結局は30本から8本選んで選んだ辺のみで構成される面の期待値を求めることと同じ。
面の個数で場合分けしようとしてしまったが、一つの面に着目して計算すればよい。発想的には最近自分がポロロッカにて出題したものと同じ、期待値の線形性に基づくものなので、すぐに思いつかなければいけないけども、少しだけ苦戦。
20*27C5/30C8 の計算にも少し苦戦

C:

OMC196 C問題

対角の条件が与えられているので、比になっている角はすべて値がわかる。あとは中心角を求めて、それらが360/n*mで表せるようなnの最小値を求めるだけ。
もうちょっと速く解けたと思う。あと、Bと違ってテキトーでも正答できそう。その辺の嗅覚はあるので、B>Cという難易度判定は自分もできていたと思う。

Dを考察するものの、うまい言いかえや変換を思いつかないので、仕方なく幾何の図示を行う。
F:

OMC196 F問題

ややラフに図を書いて角度の情報を追うと、∠PBQ=∠PBX=180-2∠ACB=180-2∠APBなので、BXP=APBとなり、BX=BP、CY=CPが得られ、これに注意して図示してみると、あてはまる円は中心が定点を通ってそうで、それが垂心に相当しそうということがわかる。これをAngle Chaseで確かめて、半径の条件より、該当するX,YはHを中心とする半径10の円上にあることを確かめる。
また該当するX,Yは角度の大小から二種類と見積もって、大きく図を紙に書く。P,Q,X,YとP',Q',X’,Y'として図示すると、BX'=BQということが予測できる。(実際、長さ計算をちまちまやると示せる)この辺りでもう方べきが見えてもよさそうだけど、いろいろ三角関数で長さ計算ができてしまったので、強引に二種の長さを計算。また、適当に相似拡大して長さを測って正しそうなことを確かめて投げてCA。

D:


OMC196 D問題

上手な整理/言いかえを問う、賢さが要求されるタイプの組み合わせ問題なので、苦手意識が強いですが、最後に残った問題であることと、後ろ二つを解いているからそれらよりは簡単と評価される要素が何かあるというメタなことを念頭に置いて着手
fの像、gの像を縦に並べて、f(i),g(i+1)のペア、g(i),f(i+1)のペアを考え、その絶対値の和がa(i+1)-a(i)と一致しており、これらを三つ分足すと絶対値の中身の和=中身の和の絶対値 というような等式が成立するので、それぞれのペアの符号が一致することが確かめられる。
この整理自体は即座にできていたが、これをf,gのペアをカウントできるような情報に還元できず、迷走。
偶奇で情報が変わるのが面倒で、本質になっているのはf(奇)-g(偶),f(偶)-g(奇)なので、fの奇数の情報とgの偶数の情報/fの偶数の情報とgの奇数の情報 と独立して考えればきれいに整理できそうと気づく。実際、F(x)=f(x)(x奇),g(x)(x:偶),G(x)=g(x)(x奇),f(x)(x:偶) とおくと、問題の条件(および、先ほどのペアの符号が一致、という条件)が広義単調性に言い換えられる。
逆にF,Gを構成すればf,gは一意に構成できるので、F,Gを数える。それぞれ広義単調性があることが必要十分であるので、(広義単調なもの)^2が答え。
広義単調増加なものは、8項で各項が 0~7 なので、15C7通りある。広義単調減少なものも同数あり、定数関数がダブルカウントされるので、(2*15C7-8)^2が答え。定数関数を一種類と思ってしまい、誤答1。この誤答は回避したいところだけど実力不足。

感想と反省

6問正解55分54秒 2ペナで3位でした!D問題で苦戦したり、Eでしょうもないペナルティを出したり、A~Cの計算でややもたついたりしましたが、Fが自分でもびっくりするほどストレートに解けたので、相当手ごたえもよく、感触通りの好順位でした。この順位になるとやはり1位を取れたのではないかと皮算用してみたくなりますが、今回は1位の方は40分で全問解いており、根本的な実力の差があると思うので無理かなあと思いました。1位の道は険しいです。
D問題は組み合わせが苦手なので難しく感じたのかなと思いましたが、全体の成績を見ても難しい位置だったようです。また、B問題は大分難しい問題だったようで、ポロロッカに期待値(スコア合計)の問題を簡単な難易度設定にして出していた(→

https://pororocca.com/problem/1345/

)のは実はあまり正しくない感覚だったらしいです。結構典型問題だと思いますが、難易度評価難しいですね。
逆にE問題は作業量や比較的癖のある考察を含む割に、正答者が結構多くてびっくりしました。考察対象がそんなに多くないので全探査しやすかったり、例外ケースがあまりないから部分的に誤った考察をしていても通りやすいということでしょうか。
次のexpertもエリジオン杯とのことで、頑張りたいです。

個人的に面白さ評価(10段階)

4,4,3,7,6,6

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