OMCE004 参加記

こんばんは。
本記事では 2024/6/13 に開催された OMCE004の感想などを書いていきます。
前回からスパン短めのexpert回になります!おそらく一回無くなった分を考慮しての開催なのかなと想像。
writerはnatsunekoさん単独で、無印でも単独セットを複数回出しており骨のある問題を作る印象なので、楽しみでした。
問題ページは以下です。


https://onlinemathcontest.com/contests/omce004

参加時の動き

配点は 3-5-5-6-7-7 で時間は135分。135分制限にしてはかなり点数高めなので忙しくなることがうかがえる。
いつも中盤のどこかで時間を浪費して後ろに手が出ない、となる印象があるので、後ろ側の問題をできるだけ考察できるような動きを心がける。泥沼はまりそうだったら5を飛ばすなどなど
wirter的に提出前にひっかけに気を遣うことも忘れずに。
コンテストが始まってとりあえず前半4問を見るとゲーム、期待値、幾何、方程式の解 という構成。見た目的に期待値の問題へ。

B

OMCE004 B問題

積の期待値に相当。R*B*Wをスコアと思って、スコア合計を求める問題となる。ボールに1~2024の番号を振る。
ある配色を固定したとき、RBWがどういう値かを考えると、右隣りが同じ色になるような番号3つの組の数と一致する。(この言いかえはこういう積の時典型でOMCで何度も出ている)
あとは特定の番号の組が数え上げられる回数を計算すればそれがスコアとなる。
(a,b,c) 番号aが赤、番号bが青、番号cが白のとき、何回数えられるか
この三つの番号が隣り合わないようなものに対して、残りの色は自由なので3^(2024-6)通り存在する。
三つの番号が隣り合わないような番号の組を数える。
赤の選び方→2024通り
赤を固定した後の青の選び方→2021通り
赤、青を固定した後の白の選び方→赤と青に指定した以外のボールは2020通りあるが、この組が隣り合っているときだけ例外
赤赤青青(青青赤赤):パターンは2通りあって白の選び方は2018通り
それ以外:2018通りで白の選び方は2019通り
合わせて4078380通りなので4078380*2024*3^-6
小さい方で検算したのに一度間違えてしまった。また、結構時間がかかってしまった。

A問題の求められている和の計算がそもそもちょっと大変そうというのと考察が大変そうだなというのを想像して時間があるうちは500以上の問題に着手することを決意

C

OMCE004 C問題

角度を計算していくと∠XDA=∠XCA=∠XECで、∠CXD=∠BXEにもなっていることがわかる。∠BXCの二等分線とBCの交点をFとするとXFは∠EXDの二等分線にもなっている。図のように長さを設定すると二等分線の性質などから

EF=3b/(b+c),  FD=3c/(b+c),BF=9a/(a+d),FC=9d/(a+d)
x = d/a,y=c/bとすると
4=BE=9a/(a+d)-3b/(b+c)=9/(1+x)-3/(1+y)
xy=2/4
となり、x=sqrt(5/14),y=sqrt(7/10)で、AX^2=d^2*7/10
あとはdを無理やり計算する。BE,ED,DCの長さがわかっていて、EX:XD=sqrt(10):sqrt(7)がわかっている(→Xの候補はアポロニウスの円上にのる。式を立てられる)状態で、d/aがsqrt(5/14)となるようなものを求めてdを計算する感じ。
最初なぜかEをAXとBCの交点としてしまい誤答。

D

OMCE004 D問題

まずなぜかかけられている定数を消して∑(x^2/2024)^k=0と書き換えられて、これはy=x^2/2024とおけばy=exp(kπi/1013)となり、解は
sqrt(2024)exp(kπi/1013) (k=1~1012,1014~2025) とかける。
よって、数えるべきはk=1~1012,1014~2025 の部分集合で元の数が偶数個、和が1013の倍数となるものの数(ただし空集合は除く)
ここまではかなりすんなり考察できたが、この数え上げで想像以上に大苦戦。1013は素数なのでmod pで一般化して考える。
まず kとk+1013を区別せずに数えて1ペナ
そこから少し悩んで小さいpでいろいろ数えてみる中で多項式で数えればよいと気づき、mod pで0とそれ以外、偶数個と奇数個選択での数を数え上げる。ここから30分ほど計算が合わず時間が消えてしまった。(符号のミス由来だった)
割と聞いていることは典型なのに時間がかかってしまったのが悔やまれる中、E,Fをチェック。Eが幾何でFが組み合わせっぽい(ところでそれまでの問題も組み合わせと幾何しかなかったような)

E

OMCE004 E問題

図を(ACBの角度を変えて)三パターン書いて一般的な性質から考察
XからAB,ACへ下ろした垂線の足をM,Nとして(問題で与えられているMと一致する)Xを中心に二倍の相似拡大をするとMNがYXに一致するため、H_BH_CとAHの交点LとしてXLの中点をTとすればTがMN上にある。これに注意してXとして適する点を探すと、AXが垂線の等角共役線になってそうなことに気づく。(実際角度を追うと示せる)
さらに、Yが円AML上に存在することがここからわかる。YPと外接円の交点をWとすると、APW=90°なのでAWは直径。AXは垂線の等角共役線なのでAXWは同一直線上。
以上から∠XAM=45°(AXYは直角二等辺三角形) → ∠APM=45°
あとは長さを確定させていけばよい。
(AM=√(5^2+2-2*5√2*cos45°)=√17、AX=√34, △AYP~△WYA 3:5:√34の直角三角形→AW=5√34/3→半径 5√34/6 →AB=√2* 5√34/6  = 5√17/3
→MB=AM-AB=2√17/3→XB = √MX^2+MB^2= √221/3
BX*XC=AX*XW=34*2/3 からBCを求める)
性質に気づければそこからは比較的するする解くことができた。Cと同様割と初等幾何で解けた。

通したのが二秒前かつ直前に違う答えを入れてしまったので非常に慌てていた。

感想と反省

4問正解134分58秒4ペナで4位でした!最後の最後に滑り込みでEを通したことで順位を上げることができました。結果的にdifficulty338の問題を解けなかった感じになりましたが、時間内で多くの点数を取るという面では成功したかなと思います。反省点としてはD問題に時間をかけ過ぎたという所で、数え上げに帰着するまで5分程度だったのに、その後の数え上げに60分ほど使ってしまいました。expertなのである程度時間がある分多少時間を使ってもよいのですが、今回は問題の難易度に対して時間が少ないタイプだったので結構痛手になりました。結果Eを通せたので良い結果になりましたが、少しリスキーな感じになってしまいました。
全体として、組み合わせと幾何の問題が多かったイメージです。A,Dは分類上整数、代数となっていますが中身は組み合わせかなと思いました。とはいえ、全体的にクオリティが高く面白かったです。
個別の問題としては、D,Fが面白かったです。
Aは問い方から解が少ないとメタることができたかもなあと思います。「消費しきったら後手の勝ち」というのがやや特殊です。面白いです。
Dは組み合わせに帰着するまでの問題構成は結構上手かなと思いました。(2024^1012が少し余計ですが)
Fは150分コンテストだったらEを通した後におそらく着手していた問題でした。構築ゲーなので人によってはかなりやりやすかったかも?

本番中着手できなかった問題

A

OMCE004 A問題

①ゲームの問題
②統一的な見解が得られなさそう(たくさん書く作業になりそう)
③「降順での総和」というのがそもそもちょっと面倒そう。
④唯一の300点
という理由で後回しにしてました。
結論から言うと、Aが必勝になるのが2通りしかないので、②はAが勝つ場合が特殊、③面倒ではない、というような形です。
すぐわかることとして1,5,7/2,4,8/3/6という4種類があって、6がとても大事
B側に必勝(すべてのカードが出し切れる)にならないのが2ケースのみで、これを足す。

F

OMCE004 F問題

まずnがいくつかを考える。点数の和は0なので、-1,2,-1を並べることができれば、人数は1/3にはできそう。(それ以上は逆に無理)
これを使うと3^5 < 1200/4 < 3^6 なので、nは6っぽい?ただそういう理想的な並べ方が本当にあるのかどうか。
じゃんけんの手をa,b,cで書くと(a:グー,b:チョキで解釈)
abc <- aabbcc <- accabbaabbcbbc ….
操作を逆順にして人を増やすようにして見ると
異なる手の間に増やせる手は一つ 
同じ手の間に増やせる手は二つ
ということがわかる。もう少し詳しく書くと、隣り合う手が異なるものがx個、同じものがy個のとき、一個逆順に戻すと
隣り合う手が同じもの x~x+2y
隣り合う手が異なるもの y~x+y
ということが得られる。表にして漸化式を立てると、
3,0 → 3,3 → 9,6 →  21,15 →  51,36 →  123,87 →   297,210 → 717,507
→合わせると、3,6,15,36,87,210,507,1224(a(n+1)=2a(n)+a(n-1))
となり、1200以上になるには7回必要。よってn=7
ここで、±2点取る人について考察すると
-2点 両隣に負けている。抜けることになるが、抜けた後は両隣が同じ手。逆順の操作では同じ手から一つだけ増やす。したがって、1224になるパターンにおいて、同じ手の間から増やす分を24個減らした時に最大値24を取る。
2点 両隣に勝っている。(例を書いて実証できるが)逆順1つ前の同じ手の分存在する。したがって、最大で210となる。

割と考察はしやすく、構築する上でイレギュラーなケースもないので(上から抑えた数のままの例が構築できる)見た目よりは易しい印象。


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