OMC224 参加記

こんばんは。
本記事では2024/7/17に開催されたOMC224の感想などを書いていきます。
4bに参加していないくせに執筆が滞っていてすいません。
前回からIMOが開催されたり、ポロロッカでコンテストを開いたりと参加記のネタがいくつか出てきています。(だいぶ遅いですがPILAME予選なんかもトピックとしてはありました)
問題ページは以下です。


参加時の動き

配点は2-2-3-4-4-5 時間は80分
特に何にも参加していないので、後ろの方から解きたいものをチェックする感じで。

E

OMC224 E問題

Fを少し考えて小さい数で実験したもののイマイチとっかかりがつかめなかったのでEへ。
約数のうち大きい方から〇番目、みたいなものは一度見たことがあった題材で、$${n}$$ とのズレをカウントする感じ。$${\displaystyle\prod_{k=2}^{800}k =800! }$$ が $${3}$$ で割り切れる最大の回数からどれくらいズレるかというのを丁寧にカウント。$${f}$$ の定義から $${v_3(n)-v_3(f(n)) \leq 2}$$ 
・1になるケース
$${n}$$ は $${3}$$ の倍数。上から3番目に大きいものが$${\dfrac{n}{3}}$$ を割り切る。大小を考えると、$${\dfrac{n}{6}}$$ と丁度一致する。逆に$${n}$$は$${6}$$の倍数のときそのようになる。
・2になるケース
上から3番目に大きいものが$${\dfrac{n}{9}}$$ になる。上から順に $${n,\dfrac{n}{3},\dfrac{n}{9}}$$ となるため、$${2,5,7}$$ では割り切れない。

以上を数える。
Fで少し考察時間を削っていたのもあるけど、思ったよりも計算に手間取ってしまった。数字が小さく、割と手を動かせば解けるので400点ではないと思った。

D

OMC224 D問題

(シムソン線なので)R,P,Qが共線
RQD∽BCDである。DからRQへの垂線の足をSとする
$${RD=25x,QD=29x,DS=h}$$とおくとDP/DSが相似比になっていて、中線定理から $${RD^2+DQ^2=2(RP^2+DP^2)}$$ で、相似比と合わせて以下の二式が成立
$${\sqrt{625x^2-h^2}+\sqrt{841x^2-h^2}=40}$$
$${\dfrac{733x^2-400}{h^2}=\dfrac{1}{x^2}}$$
$${h^2=733x^4-400x^2}$$ を消去して
$${\sqrt{1025x^2-733x^4}+\sqrt{1241x^2-733x^4}=40}$$
これを解いて$${x^2=\dfrac{100}{181},\dfrac{400}{409}}$$
鋭角三角形なので$${x^2=\dfrac{400}{409}}$$で、$${BC}$$が求まる。
一方で $${BE-CE=\dfrac{AB\cdot BC}{AB+AC}-\dfrac{AC\cdot BC}{AB+AC}}$$で、$${ABCD}$$は調和四角形なので$${AB:AC=25:29}$$ 
となりあとは代入するだけ。

C

OMC224 C問題

$${A_i}$$個石があると言い換える。後手次郎は石が0でなければ必ず操作できる。
一方で先手太郎君は石の個数がすべて一個以下というだけで負ける。後手がそうなるように操作さえできれば終了。先手に相当分が悪いゲームで、逆に先手が勝つ条件を調べるようなイメージ。
山が一つのケースがmod3で判定できるところからアイデアをもらい、後手側はmod3での値が不変量になるように調整可能であることをふまえると、戦略が立てられる。(先手が勝つ⇔後手にすべて0で渡す)
$${\pmod{3}}$$で$${(2,0,\ldots,0)}$$という列が当てはまる

B

OMC224 B問題

操作を二回やると二個シフトする操作になる。(円上に並べたときに奇数回操作だと逆回り、偶数回操作だと元の順序という所からも最小性がわかる)よって、
Nが偶数→N
Nが奇数→2N
となるが、N=2のときのみ1になる点に注意

A

OMC224 A問題

3種類混ぜるので、濃度が高い順に混ぜるのが最適とは限らない
候補をしらみつぶしで探索。
「100xを」という所で100分率の四捨五入と思ってしまったが、xがすでに100分率表記になっていて、それを100倍した上での四捨五入だった。100xじゃなければ気づけたと思う…
分数で聞かないのは整数になる組があるから?あまり好きではない聞き方

F

OMC224 F問題

$${a_k}$$ は小さい方から順次決まっていくが、イマイチ実態がつかめない
階差を取ってみると
$${n\equiv 0 \pmod{3}}$$ のとき
$${0=\displaystyle\sum_{k=1}^{\infty} a_k\bigg(\bigg\lfloor\dfrac{n+1}{k} \bigg\rfloor - \bigg\lfloor\dfrac{n}{k} \bigg\rfloor \bigg)}$$
カッコの中身は$${n+1}$$の約数に対してのみ1になることから、$m+1$ の約数に対して足し合わせたものとなる。
$${n\not\equiv 0 \pmod{3}}$$ のとき
先ほどの式の左辺が1になる。左辺を$${n}$$の関数としてみたものを $${g}$$とする。
このように、nの約数に対する総和の形で値がえられる。
約数ごとの総和の式はいわゆるメビウス変換と類似した処理を施せる。反転公式を使えば、メビウス関数 $${\mu}$$ として
$${-\sum_{d|n} \mu(n/d)(1-g(n+1))}$$ となり、これに素因数分解したものを代入する。値が生き残るのは平方因子がなく、素因数が3で割って2余るとき。これをまとめて計算をしていくと$${2^{3で割って2余る素因数の種類数-1}(-1)^{素因数の数-1}}$$となる。
$${10^8}$$まででとりうる値は基本的に±1*2冪という値を取り、3で割って2余る素因数をそのままかけていくことで確認できる。
大小確認が雑で、
$${2\cdot 5\cdot 11\cdot 17\cdot 23\cdot 41 \lt 10^8 \lt 2^2\cdot 5\cdot 11\cdot 17\cdot 23\cdot 41 }$$ 
であることを確認せず-64も取りうるとして1ペナ。
個人的には面白い問題と思った。

感想と反省

6問正解71分8秒2ペナで1位でした!!
まさかの唯一の全完で、スピードが反省点だったなと思っていたのですが、そんなことはなかったようです。
セットとしてはDの幾何が難しかったようで、E<<<F<Dという難易度になっていたようです。実際Eは400点もないかなと思いました。一方でDはdifficultyほど難しいとは思わなかったです。Fはもっとdifficulty高くてもいいんじゃないかなと思いましたが、おそらくエスパー気味に解いた人も多そうです。
個別の問題を見ると、C,Fが面白いと思いました。
Aは前述の通り、ペナルティ狙いなのはあまり好きじゃないです。濃度高い方三つを混ぜるのが最適とは限らない、というネタは面白いと思います。
B,Cは軽めながらもちょうどいい組み合わせの問題で、作問の参考にしたい出題です。Fは個人的には好きな問題です。特定の素数のみ取り出すというのがこういう方向性で出来るというのが改めて思考を整理できた感覚になりました。

雑多なトピックス

IMOが開催されましたね。
初等幾何が1番級のみで非常に意外でした。IMOは初等幾何を重視する傾向があると思っていたので。
また、5番はあまり数学っぽくない問題で、$${n\times (n+1)}$$でそれっぽい $${n}$$の関数になるかと思いきや、とにかく構成を行うパズルで、強い国の選手が割と解けていないのが印象的でした。
日本の選手はOMCアカウントと一致している(私が認識している)方が5人もいらっしゃったので、応援にも熱が入りました。
選手じゃない人たちは答えや答えに関連する情報をシャットアウトして取り組むことがほぼ難しいため、SNSなんかで○○問解いた、みたいなのはあまりアテにしなくていいと思ってます。



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