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のんべんだらりのビジネスモデル

「早く」「効率的に」「スピーディーに」。
現代のビジネスでは、そんな価値観が当たり前のように語られます。
しかし、本当にそれだけが正解なのでしょうか。
今回は、ビジネスモデル鑑定士の古賀さんと、元SEで独立を目指す早坂さんの会話から、意外なビジネスの可能性を探ってみましょう。
せっかちな性格の早坂さんが、思いもよらない「のんべんだらり」という選択肢に出会うとき…。




早坂さん「古賀さん、待たせてごめんなさい。電車が5分遅れて…イライラしちゃって」

古賀さん「いえいえ、定刻ピッタリですよ。早坂さんらしいですね」

早坂さん「はい、待つのが本当に苦手で。前回相談した独立の件なんですが、早速動き始めました!」

古賀さん「おや、社労士との面談はもう?」

早坂さん「昨日済ませてきました。手続きの準備も全部終わってます。来週にも開業できそうです」

古賀さん「随分と早いペースですね…」

早坂さん「でも、プランを立てれば立てるほど不安で。大手プログラミングスクールは、3ヶ月で即戦力を育てるカリキュラムがあって、効率的な学習プログラムが整ってて…私もそれくらいのスピード感を出さないと太刀打ちできないんじゃないかって」

古賀さん「なるほど。でも、そもそも大手と同じ土俵で戦う必要はないんじゃないの」

早坂さん「え?スピードは絶対条件だと思ってました。私、SEの時も『はやい』って評価されてたんです。タスクは常に前倒しだったし」

古賀さん「それとは違う戦い方があるんです。たとえば…のんべんだらりとやる」

早坂さん「のんべん…ですって!?そんな悠長なことしてたら、絶対お客様離れちゃいますよ!」

古賀さん「いえいえ。世の中には『ゆっくり』にこそ価値を見出す人もいますよ」

早坂さん「そんな…逆ならわかります。待てない人の気持ちなら、よくわかります。電車が1分遅れただけでもイライラする私には、ゆっくりなんて」

古賀さん「ちょっと例を挙げましょうか。1日1組しか受け入れない宿があるんです」

早坂さん「予約、いつまで待つんですか?」

古賀さん「半年くらいでしょうか」

早坂さん「半年も!?そんな悠長な…でもなんで人気なんですか?」

古賀さん「丁寧なおもてなしができるからです。あとは、週3日だけ開店するカフェとか」

早坂さん「3日!?それこそ非効率の極みじゃないですか!」

古賀さん「でも、開店日が限られているから『行ける日に行きたい』という固定客がついて。看板メニューは1日10個限定で」

早坂さん「ちょっと待ってください。頭がクラクラしてきました…」

古賀さん「あ、すみません。つい教えたがりが出てしまって。押しつけがましかったでしょうか」

早坂さん「いえ…なんというか、世界が180度回転したみたいな。でも、不思議と聞いてみたい気持ちが」

古賀さん「早坂さんの場合、たとえば月に3人だけ。でもその3人には徹底的に寄り添う。プログラミングの楽しさを、ゆっくり伝える、みたいなのはどうですか」

早坂さん「3人…私、待つの苦手なのに、そんなゆっくりできるかな…でも、SEやってた時、常に追い立てられるように仕事してて。正直、息切れしそうで」

古賀さん「だからこそ、違うペースがいいのかもしれません」

早坂さん「確かに…私がせっかちだからこそ、意識的にゆっくりする。それも差別化になりますよね?」

古賀さん「そうなんです。大手にはできない『待つ』という価値が作れるかもしれない」

早坂さん「あ!もう時間ですね。次の約束があるので…でも、すごく考えさせられました」

古賀さん「来月もいつもの日時でよろしいですか?」

早坂さん「はい!あ、すみません、急ぐので細かいことはメールで」

古賀さん「じゃあね…どんだけせっかちやねん」




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