町内会のビジネスモデル
地域社会を支える「町内会」。
その存在意義は、住民同士の交流や防犯活動、イベントの運営など多岐にわたりますが、近年では高齢化や若者の参加率低下といった課題に直面しています。
時代の流れに取り残されず、町内会がより活気ある組織として生まれ変わるには、どのような工夫が必要なのでしょうか？
今回は、「ビジネスモデル鑑定士」として活躍する高野クルミさんと、町内会の会長を務める北村誠司さんが、この問題について対話を交わします。
高野さんは才気あふれる女性で、クライアントの課題に斬新なアイデアを提案するのが得意。
一方の北村さんは地域のまとめ役で、長年の経験をもとに町内会を支えてきた頼れる存在です。
2人の知恵がどのように融合し、新しい「町内会のビジネスモデル」を作り上げていくのか。
その模様を会話形式でお届けします。
北村さん「コーヒーは飲むか？」
高野さん「ありがとうございます。いただきます。でも、わたしが遅れた理由、気になりますよね。相談が多くて、どこ行っても捕まっちゃうんです」
北村さん「それはお忙しいことで。名刺に書かれていた、『ビジネスモデル鑑定士』って何だね？」
高野さん「あ、これ。ちょっと前に資格を取ったんですけどね。名前が気に入っているから載せてるんです」
北村さん「そうかい。で、君に相談したいって言った理由だけどね、実は町内会のことで困ってて…」
高野さん「これ、仕事になる前提の話ですよね。じゃないと、帰りますけど」
北村さん「大丈夫、大丈夫。仕事が前提」
高野さん「そうですか。ところで町内会って高齢者の独壇場みたいなイメージだけど。どういう風に困ってるんですか？」
北村さん「そのイメージ、半分正解。ほら、町内会の運営ってのは結局、年配者に頼ることが多いだろう？昔ながらのやり方で回してたんだけど、最近じゃ若い人がほとんど参加しなくなっちゃってね。イベントも減るし、手伝いも集まらん」
高野さん「若い人たちにとって、町内会って退屈でメリットがないんでしょうね。でも、そういう古い組織こそアイデアで変え甲斐があるかもしれませんね」
北村さん「だから君を呼んだんだよ。頭のいい君なら、何か良い案を出してくれるんじゃないかって期待してる」
高野さん「おだてても何も出ませんよ。けど、興味深い課題ではあるわね。北村さん、今どんな風に町内会を動かしてるんですか？」
北村さん「今かい？まぁ、年に数回のお祭りとか防犯パトロール。それと、広報の回覧板を回したり…。若い人には地味すぎるかもしれん」
高野さん「ふーん。じゃあ、例えば参加する人に少しでも利益があるようにしたらどうです？会員向けの地域割引クーポンとか」
北村さん「おお、面白いな。でも、そんなことできるのか？」
高野さん「できますよ。例えば、地元の飲食店やお店と提携してクーポンを発行するんです。使ってもらえれば店側にも利益が出るし、町内会の存在意義も増す。デジタルで管理すれば手間も減るわ」
北村さん「デジタルか…。そこが難しいところだな。わしらには少し敷居が高いかも」
高野さん「北村さん、デジタルは怖いものじゃありませんよ。例えば、スマホアプリで簡単に回覧板やイベント情報を配信するシステムもあります。操作はわたしがサポートしますから」
北村さん「君がサポートしてくれるなら心強いな。でも、若い連中がそれで参加するのかね？」
高野さん「若い人が何を求めているかをちゃんと理解すれば、参加しますよ。彼らは地域への貢献とか、つながりには興味があるんです。ただ、それを魅力的に見せる方法を考えないと。彼らから見てですよ」
北村さん「なるほど、彼らに響くような企画が必要ということか」
高野さん「そうです。例えば、スキルシェアのイベントなんてどうです？料理教室やDIY講座、ゲーム大会。若い人にとって役立つ学びや楽しみがあれば、自然と集まります」
北村さん「わしらの世代とは違う視点が必要だな。そうか、スキルシェアか」
高野さん「資金面での安定化を図るためにスポンサーを募るのも良い手です。地元の企業やお店に広告枠を用意して、協力を仰ぐ。地域全体で支える仕組みを作れば、持続可能になります」
北村さん「そう聞くと町内会も進化できそうだ」
高野さん「じゃあ、これをベースに次のステップを考えましょう。明日までに提案書をまとめます。さっさと具現化しましょう」
北村さん「頼むよ。若者たちが参加したくなる町内会を作って、活気を取り戻したいからな。今日はありがとう。若いのに、頼りになるな」
高野さん「年齢なんて関係ないですよね。でもいちおう、わたし、年上を敬う気持ちもあるんですよ。こう見えて」
北村さん（苦笑）
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