バクシンと走った200勝~新潟リーディング獲得への道~
昨今社会現象になっているスマホゲームアプリ「ウマ娘プリティーダービー」にとある称号がある。それは「新潟リーディング」。新潟レース場で200勝を上げることが条件であるこの称号に、サクラバクシンオーとともに挑んだ記録をここに残す。
称号「新潟リーディング」
筆者は最近ウマ娘にはまっており、毎日の通勤時間はほぼすべてこのゲームに費やし、アニメは1期、2期ともに完走、シンデレラグレイも現在発売中の3巻までそろえ、アンソロジーも購入している。現在はリアル競馬の方にも手を伸ばし、週末はラジオNIKKEIの競馬中継を垂れ流し、youtubeのおすすめには過去の競馬実況の動画があふれかえっている。新潟出身である筆者は、父が競馬好きであったということもあり、1回だけ新潟競馬場に行ったことがあるが、あの時は馬が芝を走っている程度の認識でしかなかった。当時の自分からすれば信じられない光景である。
自己紹介はこの辺にして、新潟リーディングである。ウマ娘プリティーダービーではプレイヤーが名乗れる称号という機能があり、各々が条件を満たして獲得した称号を飾っている。その中に「○○リーディング」という称号があり、特定のレース場で200勝を上げると獲得できる。これが全レース場に用意されており、新潟リーディングはそのうちの一つ、新潟レース場200勝の称号ということになる。
新潟出身としては何としても欲しいこの称号であるが、周りを見るとなぜかこれを掲げているトレーナーがほとんどいないのである。それはなぜか。「そもそも掲げるほどのものでもない」という意見は魚沼産コシヒカリの米俵で押しつぶすわけだが、それ以前にこの称号が本気で能動的に取りにいかないと取れないものだからである。その原因は2つある。
1.目標レースで新潟レース場を走るウマ娘が少ない
ウマ娘の育成では各ウマ娘に設けられた目標レースを超えなければならない。それゆえにウマ娘の育成さえしていれば大体のレース場の勝ち数は増える。しかし2021年5月現在、目標に新潟レース場のレースが設定されているウマ娘はシンボリルドルフとライスシャワーの2人だけなのである。しかも両方とも新馬戦のみ。ちなみに新馬戦以外で目標に設定されているレースがないレース場は新潟と福島だけである。東北の扱い……。なお、サポカ勢ではメジロパーマーが新潟大賞典を取っているので、是非ともメジロパーマーの実装をお願いしたい。
2.最高グレードがGIII
育成中、目標の間隔が空くタイミングで適当なGIレースに出してスキルポイントを獲得することが結構あると思う。ここで新潟レース場で設定されているレースを見てみよう。
ものの見事にGIIIとオープン戦のみなのである。
ただこれはウマ娘というより原作がそもそもそうなってしまっているので仕方ないのだが、スキルポイント集めという観点からも新潟レース場を走るという選択肢は上がりにくい。
こういう事情があり、ほかのリーディング称号と比較しても新潟リーディングは取りにくいのである。現に新潟県人会的な大きめのサークルを覗いてもだれもこの称号をつけてなかったということもあった。こうした状況の中でも新潟リーディングを取る……それは新潟出身ゆえの使命のようなものであった。
誰で行くか
さて、新潟リーディングを取るにあたって、誰で周回するのが一番効率的なのか。誰を「新潟の盟主」にすればいいのか。改めて新潟で行われるレースのうちマイル以下の距離のレースを赤で塗ってみた。
なんと新潟記念と新潟大賞典以外はすべて短距離・マイルなのである。原作でも2021年現在新潟で施行されているのは2400 mまでらしい。一応3200 mまではできるらしいが……天皇賞春とかやりませんか、新潟で。
それはともかくこの圧倒的短距離・マイルを事故なく走り抜いてくれる子とかいないものか……
いるじゃないか!
というわけでちょうどアイビスサマーダッシュを走っていたサクラバクシンオーで周回することにした。サクラバクシンオーは短距離適性がAなのはもちろんのこと、実はマイル適性もBなので、マイル因子が1つでもあれば適性Aで走らせることができるのである。そして逃げ適性もAなので作戦逃げで事故なく勝利することができる。まさに新潟リーディングを取るために生まれてきたといっても過言ではないくらい優秀な性能である。
バクシン「新潟で走らないか、ですか?わかりました、走りましょう!なんたって私は学級委員長ですから!ハッハッハッハッハッ」
こうしてバクシンと新潟リーディングを目指す旅が始まった。
3年で新潟12勝
さて、バクシンを育成するにあたって、準備を進めることにした。とりあえず3年のスケジュールを組んだ。
それがこれである。目標レースは桜色、新潟のレースを白で表している。注目すべきはシニア期で、5月前半の谷川岳ステークスから11月後半のマイルチャンピオンシップまで連続ないし中1ターンでレース10戦をこなす日程になっている。イクノディクタスかな?
次に実際のデッキ構築である。目的は新潟でのレース勝利なのであまり難しいところはなく、正直なんでもいいのだが、ここでは周回の終盤で使用していたデッキを紹介する。まず因子は次の通り。
自分のところからスピード☆3、パワー☆5(うち☆3は自前)のゴルシを選択し、フレンドからスタミナ☆4、パワー☆3(自前)、マイル因子もちのマルゼンを拝借した。選出の理由は2つ。1つ目はバクシンのマイル適性がBなのでそれをマルゼンのマイル因子で補うため。2つ目はまぁまぁな量の周回をするので、道中で青因子☆9を狙うためである。
次にデッキは次の通り。
スピ3、パワー2、たづなさんという構成。バクシンは基本的にスピード全振りで問題ないのだが、正直キタサンブラックが友情トレーニングでスピードを上げまくってカンストさせちゃうので、スピード枠を一部パワーに変えている。あとパワートレでスタミナもあげられるんでこれでマイル用のスタミナを回収する。個々の選出理由は、エイシンは末脚ヒント、ターボが逃げスキルヒント、チケゾーが全身全霊ヒント、あとはトレーニングサポート用といった感じ。
これらを引っ提げて、ついにバクシンが新潟の地へ躍り出る!
英雄は遅れてやってくる~ジュニア級~
デビュー前はこれといって特別なことはやらないので省く。1年目の新潟でのレースは8月前半のダリア賞と8月後半の新潟ジュニアステークスだ。連戦なので脳死周回してると新潟ジュニアステークスに行きそびれることがあるので注意。かく言う筆者も3回に1回は出そびれてる。
さて、次に出す新潟レースであるが、なんと約1年後の7月後半アイビスサマーダッシュである。これは育成の都合とかじゃなく、そもそも新潟ジュニアステークスからアイビスサマーダッシュまでの間新潟でのレースが全く設定されてないのである。まぁこの時期の2歳オープンとかはみんな主要4場でやっちゃうからね。仕方ないね。
というわけでこの1年特に出るレースもないので、ファン稼ぎのためにGIマイル戦に出ることにする。まずジュニアでは朝日杯フューチュリティステークス。マイル因子もきっちり引き継がせたのでこの距離でも難なく勝てる。
バクシン「マイルも行けるならもちろん2000mだって行けますよ!なんたって学級委員長ですから!」
......。
それはやめた方がよさそうだ。
こうしてジュニアでの1年はダリア賞→新潟JS→京王杯JS→朝日杯FSと今後マイル路線での活躍を大いに期待できる戦績を収めた。(主戦は短距離だけど)
新潟の夏、バクシンの夏~クラシック級~
2年目である。まずは今回の趣旨とはあまり関係ないがストーリーでスプリングSに出る。史実ではこのレースでサクラバクシンオーとミホノブルボン、そしてライスシャワーが一堂に会している。
このレースで勝利したのがミホノブルボン。彼(女)はその走りのまま皐月賞、日本ダービーの2冠を達成する。また、好走を見せるも短い距離ゆえにスピードに乗り切れなかったライスシャワーは、その後持ち前のスタミナでもって菊花賞でミホノブルボンの3冠を阻止する。一方スタミナ不足で12着と全く歯が立たなかったサクラバクシンオーはその後一発にかける脚で短距離路線をバクシンしていくことになる。その年代で、それぞれの舞台で活躍した馬たちの今後を占ったレースとなったわけだ。ともすれば今回のレースもやはり......。
勝った。
ブルボン「?」
ライス「?」
まぁこのバクシンはマイルAだしね、仕方ないね。
とりあえずマイルは余裕で走れるので桜花賞(芝1600m)に出る。さっき朝日杯に出たのに牝馬クラシックに出るんですか?ご安心を。ウマ娘にそういった性の区別はないのである。ついでに言うとトレーナーもその日の気分で男だったり女だったりする。どういうこと?
春のマイル戦線においてバクシンの勢いは止まらず、NHKマイルカップと安田記念も取った。秋に向けて夏はしっかり休......まないのが今回のバクシンである。
バクシン「トレーナーさん!いよいよ夏合宿ですね!ビーチでのトレーニング……九十九里浜ですか!?それとも湘南!?」
トレーナー「いや、俺らは角田浜※だ」
バクシン「どこですかそれは!?」※角田浜:新潟で有名な海水浴場
ついに夏本番、1年ぶりの新潟の地に彼女が立つ。
クラシックの夏の新潟開催は3連戦を行う。特筆したいのは初戦、新潟が誇る芝“直千”競走の最高峰、アイビスサマーダッシュである。コーナーなし、ウマ娘たちがゴール板目掛けて一直線で駆け込んでくる様は一見の価値ありだ。リアル競馬でのレースも見てほしい。ちょうど東スポさんが3日前にアイビスサマーダッシュについての記事を書いてくださっていた。これも読んでおくといいだろう。
さて、そんな新潟の名物レースに揃った14頭が出走。ウマ娘たちは内ラチに寄りながら走っていく。この場面、ウマ娘では内ラチだが、リアル競馬ではなんと外ラチに寄って走っていく。これは他のレースにより馬場が荒れがちになる内ラチを避けて、状態のいい外ラチに逃げようとするためにおこる、直線コースならではの試合運びなのだ。なので競馬場でみると観客席から非常に近い位置で馬が競り合う大迫力の光景が見られる。この辺ウマ娘でも再現してくれませんかね、サイゲさん。
そうこうしてるうちにレースはゴール前。バクシンは得意の逃げで悠々と後ろとの差を開いていきそのままゴールイン!
拳を晴天の空に掲げたバクシンが見事新潟の“直千”番長に輝いた。
つづいて中二週で迎えるは1600m戦、関屋記念。こちらもGIIIで、現在行われている新潟でのレースのうち2番目に長い歴史を持つレースである(1番は新潟記念)。ちなみにこの関屋というのは旧新潟競馬場があった地名に由来する。この伝統の1戦ももちろん先頭で駆け抜けた。
そのままの勢いで次週の1400 m戦朱鷺ステークスも勝ち、新潟の夏は3連勝で幕を閉じた。
ここで史実のバクシンの話を少しする。バクシンは短距離(1400m以下)で12戦11勝と圧倒的な成績を収めたが、唯一敗北を喫したのが1992年のスプリンターズステークス。そしてその時の勝者こそが、ストーリーでも出てくるニシノフラワーなのである。
しかし今回は違う。新潟の夏を乗り越え、ひと回り大きく成長したバクシンは秋初戦の短距離GIスプリンターズステークスでこの宿敵ニシノフラワーを下し、見事短距離最強の栄誉を手に入れた。
ちなみにガッツリ逃げ周回してても時々負けることがあるんでここのニシノフラワーはやっぱり強い。さすがライバル。
短距離GIを制した喜びも束の間、2週間後のバクシンはまたしても新潟のターフにいた。そう、秋開催である。ウマ娘に実装されてるレースは1400mの信越ステークスと、秋の1000mオープンのルミエールオータムダッシュの2つ。もちろん短距離王者のバクシンにオープンの短距離戦なぞ向かうところ敵なし。2連勝で駆け抜けた。
これでバクシンのクラシック級は幕を閉じた。
どうしてバクシンが走っているんですか~シニア級~
3年目の初戦は春の短距離GI、高松宮記念である。バクシンが実際に走っていた頃、高松宮記念(高松宮杯)は当時GIIで、距離も2000mだった。それが、バクシンやニシノフラワーなど短距離勢の活躍の結果、引退の1年半後の1996年に1200mへの距離改定とGI昇格が行われて今の高松宮記念になったのである。ちなみに2000m時代にはあのナイスネイチャやマチカネタンホイザもこのレースに勝利している。
この場にはライバルであるニシノフラワーもいた。自分たちが築き上げた舞台に今、彼女たち自身が立ったのである。
結果はもちろんバクシンの勝利。史実ではどうやっても取れなかった“春秋スプリント連覇”の称号を手に入れた。
5月。ここまでバクシンは朝日杯FSから始まり、桜花賞、NHKマイルカップ、安田記念とスプリンターでありながらマイルAであることをいいことにマイルGIを制覇してきた。そして、バクシンの目標の最後にマイルチャンピオンシップもある。ここまで来たのなら、もはやあのマイルレースに出す以外に選択肢はない。それは……
バクシン「ヴィクトリアマイルですね!」
いや、谷川岳ステークスだ。
GIを退けてリステッド競走に出る。本来ならメディアにぶっ叩かれてもおかしくはないが、今回の主目的は新潟リーディングの獲得。そのためには鋼の意思をもって突き進まなければならないのだ。
あ、桐生院さんそのトレーナー白書はしまってください。
谷川岳ステークスはもちろん勝利し、そのままの勢いで春の1000mオープン、韋駄天ステークスも勝利した。なお、実装されている3つの1000m競走(アイビスサマーダッシュ、ルミエールオータムダッシュ、韋駄天ステークス)に勝利すると二つ名「直線番長」が手に入るのでほしい人は要チェックだ。
夏。ストーリーでも、シニアの夏競馬でどうしても長距離を走りたがるバクシンに対し、函館スプリント、CBC賞、セントウルの1200+1200+1200をもって3600mとするウルトラCをやってのけている。それならこっちはさらに関屋記念と朱鷺ステークスも追加して6600mだ。ここまで来るとグランドナショナル※を走る日も近いかもしれない。
※グランドナショナル:イギリスで行われる約6900 mの障害競走。イギリスで最も人気のあるレース。
ちなみに関屋記念→朱鷺S→セントウルS→スプリンターズSで4連戦になるのだが、後半2レースが目標レースなのでやる気下げイベントは起こらないのである。連戦育成では大事なテクニックなので覚えておこう。
そして秋、ついに新潟レース場での最後のレース、ルミエールオータムダッシュがやってきた。ここまで3年で11戦。開催中はほぼ毎レース出場し、観客からは「どうしてバクシンが走ってるんですか?」「ああまたバクシンが新潟で走ってる!!!!」「バクシンは黙って走るだけ」という熱い声援を受けたが、それもこれで最後。惜しまれつつもこの新潟のターフを去る時が来た。もちろん最高でのGIIIのレースしかないとはいえどれも絶対に負けられないレースなので、トレーニングはしっかりこなしてきた。これが最後の愛のムチである。
天候は雨。10月後半と秋も深まり肌寒さも感じられる新潟レース場に直線自慢の16頭が集まった。1番人気はもちろん我らが春秋スプリント王、サクラバクシンオーである。
序盤、逃げ馬らしく早速ハナを切っていくサクラバクシンオー。
いつもは学級委員長らしく笑顔を忘れないバクシンだが、レース中は本気の勝負師の顔を見せる。これも彼女の魅力の一つだ。
残り200を切っても先頭を保ったままのバクシン。さすがは春秋スプリント王、その者を差し切ることは誰にもできないのだった。
勝利を決定づけるゴールイン。12戦12勝。圧倒的な強さで新潟レース場に君臨したサクラバクシンオーは新潟ラストランで有終の美を飾った。
その後ストーリーではマイルチャンピオンシップ、URAファイナルズも勝利して終了になる。
このルートだと全勝で戦績は29勝、ファン稼ぎでマイルGIを狙わないなら25勝である。
目指せ新潟の委員長
ここまでバクシンと目指す新潟リーディング育成の紹介をしたが、これはバクシンとの新潟リーディングへの道の第1歩に過ぎない。この道はまだまだ続く。
時に連戦が続き母親の桜餅が恋しくなる時もある。だがご安心を。米どころ新潟のもち米で作った桜餅ならバクシンもご機嫌だ。
ついに新潟レース場を完全に理解したバクシン。新潟レース場◎を手に入れた。このスキルは2021年7月現在入手方法が新潟のレースを走る以外にないのでかなり珍しい。
そして気が付けばピースも集まり、周回中に勝負服を用意することもできた。笑顔がまぶしい。
そして周回20数回目の最終戦ルミエールオータムダッシュ。ついにその瞬間が訪れる。
新潟レース場200勝達成!
さらに新潟リーディングも獲得!
どうしても取りたかったこの称号を勝ち取り、バクシンとともに走り抜けた筆者の挑戦は幕を閉じたのである。
完走した感想
最初、目標レースに選ばれない上にメインレースが合宿中の夏となにかと不遇な新潟で200勝上げたいという一心でこれを始めたわけだが、実際に走らせてみるとなかなか面白いレース場だった。特に直線1000 mを始めとした最後の直線勝負はほかのレース場でも類を見ない熱さだった。今回は走らせなかったが、中距離戦の新潟記念や新潟大賞典も2コーナーのみの2000m競走という珍しいレースになっている。それぞれ9月前半と5月前半という夏合宿と被らない日程なので1回は走らせてみるといいだろう。
また今回入手難度の低さからパートナーとしてサクラバクシンオーを連れて行ったが、狙い通り非常に新潟向きのウマ娘であると感じた。マイル因子1つで大体のレースに対応できるのはやはり便利である。あと猪突猛進委員長かわいい。なお、入手難度を問わないのであればタイキシャトルも新潟リーディング攻略に向いていると思う。素で短距離マイル適性がAの上、因子継承次第では中距離も狙えるので、芝全レース出場も可能である。
皆さんもこの記事を読んで新潟リーディングを目指してほしい。そして、これを公開当日の2021年7月24日から新潟競馬の夏開催が始まった。そして翌日はアイビスサマーダッシュの開催もある。いつかは実際の新潟競馬場に足を運び、目の前を疾走する優駿の雄姿を目に焼き付けてもらいたい。