消防士が休日に救命講習をする理由🚑
救急救命士の陽平です🚑
今回は、なぜ消防士をしながら休日に全国各地で救命知識の普及活動をしているのかについて書きたいと思います!
【 消防士になる前の出来事 】
一番始めのきっかけは15年前、消防士になる前の学生時代の後悔からでした。
電車通学をしていて、その日もいつも通り学校が終わり帰宅するため駅に向かっていました。駅の構内に入ると、近くを歩いていた中年男性が急にうずくまりその場で倒れるのを目撃しました。
一番近くにいたのは自分。
一瞬何が起こったのかわからず「大丈夫か?」と思いながらも近づくこともできず、ただ様子をみているだけでした。
少しすると、通行人のかたが駆け寄ってきて倒れた男性に声をかけましたが、応答もなく、その通行人のかたはすぐに救急車を呼んでいました。その後、他の通行人も駆け寄ってきて、その場は騒然となっていました。
そんな中、通行人のかたは男性に対して胸骨圧迫を行っていました。
しばらくすると、このことを聞きつけた駅員さんがAEDを持って走ってきました。
その間も自分はただ見ているだけ。「あれがAEDとかいう機械か?」と思ったほど、当時の自分には知識もありませんでした。通行人の方々が胸骨圧迫を、駅員さんがAEDを使用し、救急隊が到着するまで懸命に救命処置が行われていました。
5分もしないうちに救急隊が到着し、倒れた男性は搬送されていきました。
その5分はとてつもなく長く感じたことを今でも覚えています。
男性が搬送された後、何もしなかった自分に、もの凄く後悔の念が苛まれました。「一番近くにいた自分が何もしなかった時間が、その男性に悪影響を与えたに違いない。なんで勇気を出して声をかけなかったんだ」と。
ただ、それと同時に「自分は何もしなかったというより何をしたらいいのかわからなかった。知識さえあればきっともっと違った行動がとれたはず。」ということも感じました。
その後悔がきっかけの1つとなり消防士を目指しました。
【 救急現場を経験して 】
消防士になってからは2年間消防隊として勤務し、3年目からは11年間救急隊として働いてきました。救急救命士の資格も取得し、時には救急隊長として仕事をさせていただくポジションにもなり、責任とやりがいを感じながら仕事をしてきました。
しかし昨今の救急情勢は、救急件数の増加、それに伴う救急車の到着時間の延伸が問題視され、救急搬送する約6割が軽症。本当に一刻も争う患者さんのもとに駆けつけるまで時間がかかってしまっているケースも中に出てきてしまっています。
最重症の「心肺停止事案」。これまで数十件どころではなく、沢山経験してきました。
その中で、心肺停止に陥ってしまった方が、もとの生活まで復帰した事案はわずか2件しか経験したことがありません。
救急救命士ができる処置を施して心臓の動きが再開したといった事案は多々経験がありますが、そのほとんどが「脳死状態」。心臓は動いているが意識はずっとなく意思疎通が全くとれない、、という状態です。
その脳死状態を回避するには、心臓が止まってしまった場合でも、脳への血流を保ち続けなければなりません。
救急車の到着時間は全国平均約10分。
救急車が到着してからの処置では、心肺停止に陥った人をもとの生活に戻すことはまずできません。
その場に居合わせた人が胸骨圧迫を行い、脳血流を保ち続けることがとても重要となってきます。
本当の意味での人命救助をするには
『救急車が到着する前の処置』が何よりも大切だということを、自分の救急隊としての経験から実感しました。
過去のふがいない自分への後悔。
そして、「救えた命」「救えなかった命」
この両方を目の当たりにしてきたこと。
それが、この活動を始めた理由です。
活動法人名のBYSTANDER(バイスタンダー)は救急関連用語で「その場に居合わせた人」を指します。
全国のどこで誰が倒れたとしても
その場に居合わせた人が正しい行動が
とれる世の中にしたい!という思いから
その名前にしました。
これからもその思いを強く持ち、一人でも多くの方に「倒れてしまった人に居合わせてしまった場合の知識」を普及していきます!!
一般社団法人BYSTANDERは、
全国どこでも駆けつけます!
また、救急関連の発信をInstagramでおこなっていますので、ぜひフォローをお願いいたします!(アカウント名:bystander.1104)
お気軽に質問や救命講習のことなど、どんなことでもメッセージいただけたら嬉しいです!
長々と書いてしまい、まとまりのない文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます🙇
これからどうぞ宜しくお願いいたします!!