台本シリーズ『サプライズプロポーズ』
台本シリーズ3本目でございます。
このネタは芸歴4年目ぐらいの頃に、キングオブコント準々決勝進出の原動力となったネタです。
いやー、改めて見ると色々詰め込んでますね。
ネタよもやま話
ネタの経緯
このネタを思いつくきっかけになったのは、とある芸人さんのとあるネタです。
まぁ、もう時効なんで言ってもいいでしょう。
このネタは、や団さんの「ジャーマンスープレックス」のネタから発想して作りました。
「ジャーマンスープレックス」がどういうネタかはネタバレになるので言えませんが「や団 ジャーマンスープレックス」で検索したら出てくると思うので見てみてください。
ただただくだらなくて、とっても面白いですから。
どちらのネタも見たことある人からしたら「何にも関係ねーじゃねぇか!」と思うでしょうが、まぁ少し聞いてくださいな。少しくらいいいじゃないですか。ねぇ。
その頃はまだピカピカの若手だったので、や団さんとライブが一緒になっても楽屋で話しかけることができずにモジモジしてたんですが「ジャーマンスープレックス」に限らず、ネタ面白いなぁと思ってました。
それで確か後輩と一緒にネタ作ってるときだったと思うんですが、そのネタの話になって「変な死因を推理するコントをやったあとに、どうやって死んだかを見せるコントを2本立てで出来たら面白いよねー」と言ったのが、発想の大元です。
なので元々は、「事件現場にお玉が落ちている謎の殺人事件を捜査するコント」をやったあとに「なぜ事件現場にお玉が落ちていたのかわかるコント」をやる予定でした。
謎のアイテムのお玉を提案してくれたのは空閑さんだったはず。
というわけで、このネタは単独かなにかで出来たらいいなーと思っていた2本立てコントの2本目だけをシングルカットしたネタなのです。
あー、言えてスッキリした。
いやー、意外なとこから発想って出るもんですね。
驚き桃の木山椒の木!
ん?山椒の木って何だ。見たことない。
というか若い人はこの言葉すら聞いたことないですね。
聞いたこともない言葉に出てくる見たことないものって、謎は深まるばかりだ。
すみません、脱線しました。
それで新ネタ4本やる「コントロイド」というライブで「設定出し粘りすぎてネタ作り間に合わねぇ!どうしよう」ってなって無理矢理このネタだけやったはずです。
そしたら思いの外反響をいただきまして、とくに女芸人から褒められることの多い不思議なネタとなりました。
ネタこぼれ話
このネタができた頃は、まだキングオブコントに再エントリーという仕組みがありまして、早めに受けた人たちはもう一回チャレンジできることになってました。
それでなんのネタだったかは忘れましたが、他のネタをやって一回落ちてるんですよこの年。
確かこのネタを2分にまとめるのが難しいとかなんとか言ってゴネてた気がします。
ほんでもって「再エントリーどうするかなー、なんのネタやるかなー」と悩んでるときに、同期の吉住が「なんでこのネタやんないの?」と言ってくれて、このネタやったら準々決勝まで行けたので非常に感謝しております。
その後の5分バージョンにするときのネタ出しも手伝ってくれましたねー。ありがたやー。
というわけで、以下台本でございます。
「サプライズプロポーズ」台本
松元:紺色シャツに黒いパンツ、靴は履かない
空閑:落ち着いたイメージの女性の格好、白いシャツの上から赤色のカーディガン、ふんわりしたロングスカート、靴は履かない
(1人板付き、舞台中央に椅子2脚、下手の椅子の上に薄手のクッション)
(明転)
(松元、下手側の椅子に座って、緊張しながらプロポーズのシミュレーションをしている)
松「彼女帰ってくる。プロポーズ期待させてしょぼいプレゼント。からの指輪。結婚しよう。いける!緊張するなー。」
(空閑、上手から入ってくる)
空「ただいまー。」
(松元、準備していたものを慌てて隠す)
松「おかえりー。」
空「ごめんね、おそくなっちゃって。すぐ料理作るね。」
松「あのさ、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
空「なに?」
(空閑、上手側の椅子に座る)
松「俺たち付き合って3年になるじゃん。で、いつも料理つくってくれて、美味しいからありがとうって思ってて。」
空「こっちこそ、ありがとう。」
松「だから、これからもずっと俺のために味噌汁を作ってほしい。」
空「え?」
(空閑、驚きつつ喜んでいる表情)
松「だから、はい、これ。」
(松元、クッションの下に隠していたお玉を渡す)
空閑、お玉を受け取り、呆然とした表情)
松元、笑いをこらえつつ指輪をポケットから出そうとする)
松「でも、実は…」
(空閑、全力で喜んで舞台上を駆け回る)
空「…やったー!やった!やった!やった!やった!おたまだー!」
松「え?いや、それだけじゃないんだけど。」
(空閑、喜び過ぎて松元の声が聞こえていない)
空「やったやったー。幸せー!!」
松「…そんなにー?」
空「こんなことしてもらうの初めてだから!」
(松元、ポケットの中の指輪を見つつ)
松「あぁ、出しづれー。」
(空閑、喜び過ぎて苦しみだす)
空「あー!あ!あ!くっ!あ!」
松「こんなのあげたら死んじゃうよ。大丈夫?」
空「うん。あー、でも凄い嬉しいー!あー!」
(空閑、お玉を掲げながら上手に走って出ていく)
松「どこ行くのー?ええ?いや、でも、指輪渡さないと。」
(空閑、上手から息を切らしながら走って帰ってくる)
松「どこ行ってたの?」
空「分かんないけど、周り一周しちゃった。」
松「それ持って?」
(空閑、えずく)
空「オエっ」
松「大丈夫?」
空「嬉しゲロ。」
松「なにそれー?」
空「あー、もう人生で一番嬉しい。こんな嬉しいこと一生無いよー。」
松「いや、意外とすぐもっと嬉しいことあるかもよ。」
(空閑、首を横に振りつつ)
空「そんなの死んじゃう。」
松「死んじゃうかー、やっぱ死んじゃうかー。でもほら、例えばここに指輪があったりとかして、パカッーとかなったら?」
(松元、指輪の箱を出して開けるマイムをする
空閑、急に倒れる)
松「えーー!ちょっと、起きて起きて。」
(松元、気を失った空閑を揺さぶる。
空閑、目を覚まして泣き出す。)
空閑「えーん。」
松「なに?どうしたの?」
空「おばあちゃんが、まだこっち来ちゃダメだって。」
松「ほんとにちょっと死んでる!」
(空閑、お玉を探す)
空「あぁ、お玉、よかった。あった。幸せー!」
松「うん。」
(空閑、舞台正面に向かって窓を開けるマイムをして叫ぶ)
空「幸せー!」
松「うん、外はやめようか。」
空「そうだよね、外はダメだよね。うん!あー!
あー!」
(空閑、喜びを抑えきれず跳ね出す
松元、落ち着けようとする)
空「あー!もう一周してくるー!」
(空閑、お玉を掲げながらもう一回上手に走って出ていく
松元、指輪をポケットから取り出して困った様子)
松「えー、どうしよう。でもまだ、プロポーズ出来てないしなー。」
(空閑、上手から息を切らしながら戻って来て下手側まで行く
松元、慌ててクッションの下に指輪を隠す)
空「はぁはぁ。」
松「どうだった?」
空「3周いった。」
松「そんなにー。」
(空閑、お玉を上に掲げて、指輪を見るように見つめる)
空「...きれい。」
松「そういうのじゃないんだけど。ちょっと落ち着こうか。」
(松元、空閑を下手の椅子に座らせる。)
空「うん。え?あれ?」
(空閑、クッションの下に何かがあることに気づく)
(松元、誤魔化すように笑いながらクッションの下から指輪の入った箱を出す。)
松「あ、実はー。」
(空閑、お玉を松元に突きつける)
空「来ないでー!」
(松元、両手を上げる
空閑、泣きながら)
空「幸せに!殺されるー!私まだ死にたくない。」
松「俺だってー!こんなことしたくないけどー!」
(松元、泣きながら言い淀む)
松「…だから。」
空「え?」
松「記念日だからー!」
(空閑、大声で泣きながら)
空「あぁー!」
(松元、指輪の箱を空閑に向けて、辛そうな息を漏らす)
松「はぁっ…!」
(空閑、胸を押さえて苦しむ)
空「あぁ…!」
(松元、指輪の箱を開ける
空閑、もっと苦しそうになる)
空「あー!」
(松元、空閑に少し近づこうとする
空閑、もっと苦しそう叫ぶ)
空「あぁー!」
松「…結婚しよう!」
(空閑、嬉しそうな表情を一瞬浮かべて倒れる)
松「死んじゃったー!!」何でこんなことに!」
(松元、下手を指差しながら)
松「なんで...!ハーゲンダッツも...!あったのに...!」
(空閑、パッと生き返る)
空「はっ!それは死んでる場合じゃない。」
(松元、下手に振り返りながら大きくガッツポーズ)
松「よかったー!!」
(暗転)
とまぁ、こんな感じでえっさほいさと台本をあげていきたいなと思います。
次ぐらいから台本部分だけ有料公開にする予定でいるので、何卒よろしくお願いいたします。
紹介するネタは基本的にYouTubeにあがってるので気になった方は見てやってください。
因みに、このネタはこちら。
それでは、また。
バイオニの松元でした。
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