過労死等防止対策白書
2024年版の過労死等防止対策白書が発表されました。その中で、医療従事者(医師・看護師)における労災支給決定事案の分析がされてます。
医師は、平成22年度から平成27年度の6年間の総数が10件であったのに比べ、平成28年度から和2年度までの5年間の総数は21件であり、近年増加傾向です。
看護師は、平成22年度以降、10件前後から 20件前後で推移していましたが、令和2年度は42件と前年度から26件増加しました。
精神障害の発症に関わる出来事をみると、医師は「仕事の内容・仕事量に大きな変化を生じさせる出来事」が多く、看護師は「悲惨な事故や災害の体験、目撃」が多いです。
看護師の件数が急増していることについては、新型コロナウイルスの感染拡大の時期に重なっているので、何らかの関係があるかもしれません。
各医療機関で働き方改革が進められていると思いますが、過度な労働時間やハラスメント対策は喫緊の課題でしょう。
また、同白書では製品・サービスの価格転嫁についても言及されています。時間外労働の短縮に向けて、人材の確保や生産性の向上等を図るためには、そのための原資が必要となります。
経費や人件費等の負担の増加分を価格に転嫁できているかについて、全体では「転嫁できている」及び「一部は転嫁できている」を合わせた割合はおおむね50%を超えているものの、「医療、福祉」は38.8%に留まっています。診療報酬で価格が決められない制度上の問題が背景にあるでしょう。
参考
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/karoushi/24/index.html
過去の医療経営コラム
※本コラムは保健・医療・福祉サービス研究会の「HMSメールマガジン」をリライトしたものです。