記録

八年くらい続けていた読了記録を、つけなくなって3ヶ月近く経った。
意識して始めたものではなかった。たまたま手元にスマホがなかったとか、そんなことがきっかけだったと思う。
かといって読書自体は相変わらず続いている。
記録をしなくてもいいと思うと、読了への意欲も薄れ、気ままに渡り歩くように読むようになった。

小説もすっかり縁遠くなった。これは二年ほどの間に進んでいたもので、始まった当初の危機感もすっかり薄れている。
とか書きつつ、『街とその不確かな壁』はしっかり買った。
読めなくなったわけではない。急いで読む気がないだけだ。
冒頭に軽く踏み入れて、鞄に戻してしばらく運転していたら、感想を書いて広めたいという野暮な自我も沈下してくれた。

今はSNSからも離れている。
Twitterのアカウント自体は生きていて、このエッセイを共有してくれているが、操作自体はnoteの連携ボタンを押すだけで、Twitterのタイムラインは見ていない。
どのみちあのアプリは、余計な通知があまりにも多くなって、インフルエンサー以外のツイートはまともに追うことができなくなった。
もちろん知り合いを狙って過去のツイートを見返すことはできるが、目的地まで最短距離を移動する旅程がつまらないのと同様に、意識的に人のつぶやきを探り当てることへのやる気が起きない。
僕の行動は記録に残らなくなった。
しかし僕本人は依然としてここにいて、記録に残らない日々を送っている。

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