ポケモン剣 2.5次元レポート #1
(ネタバレありなのでお気をつけて)
僕の名前は「ばしょう」という。
ウールーの鳴き声がのどかに響き渡る町。それが僕の暮らすハロンタウンだ。
郊外と呼ばれる町のそのまた外れ。大きな建物はないけれど、その代わり危険なこともない。穏やかな雰囲気に包まれた牧草地だ。
そんな平和な日々は、突然リビングに入り込んできたお隣さんの呼び声で一旦打ち切られることになった。
お隣さんの名前はホップという。なんだかテンションが上がりそうな名前に相違ない、賑やかな少年だ。
うっかり話を聞き流してしまったけど、どうやら隣町の駅にホップの兄が来るようで、そのお迎えへのお誘いだったらしい。
なんだか長い旅になりそうだったので、僕は名残惜しく部屋を眺めた。出力のありそうな暖炉+オイルヒーター×2という寒さ対策万全なリビングも、やりすぎだろってくらい家を侵食しているガーデニングともしばらくお別れ、そんな予感があった。
ホップの兄はダンテといい、チャンピオンとして有名を馳せている。テンションの高さはホップに負けず劣らず。実績が伴っているのでぐうの音も出ない。
相変わらず聞き流してしまったのだけど、どういうわけかホップの実家でダンテからポケモンを授かることになった。
最初のポケモンということで、僕は即断で水のポケモンを選んだ。静かな夜に池に飛び込ませたいという直感があった。名前は「そら」にした。これもまた、直感だった。
僕が水のポケモンを選んだのち、ホップは炎のポケモンを選んだ。
わざわざ不得意なタイプを選ぶのはどういうことなんだろうな。
隣町へ行くときにはポケモンを持っていない僕が草むらに入らないよう何度も呼びかけてくれたし(距離が離れるとその分届くように叫んでもくれた)、初戦闘では弱点をついたことをびっくりするくらい褒めてくれた。
他にも、僕はうっかり鳴き声ばかり命じてしまって危うくなったのだけど、黄色ゲージを超えたあたりからなぜか鳴き声しか命じなくなっていた。
勝ったときは素直に嬉しかったけれど、振り返ってみればあれもホップの手のひらの上だった気がする。なんなんだあの子。なんか目をつけられている気がするけど、そういうのは苦手だ。なるべく目立たないようにしたいな……
隣町のポケモン研究所で博士の助手のソニアさんと出会い、スマホロトムを預かる。
僕は最近のポケモンには疎いけれど、このロトムというポケモンは、昔、どこかの森の洋館の家電に取り憑いていたゴーストポケモンだったと聞いたことがある。
採集されたそのポケモンを養殖、品種改良を重ねて現代社会に不可欠なガジェットに活用した、というところだろうか。知らんけど。
それからさらに隣の町の、博士本人に会いに行くところで疲れたのでこのレポートを認める。
道中で出会ったポケモンのことは追々このレポートに書いていきたい。
次がいつになるかはわからないけど。