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肉と魚を考える
今日は肉ってより魚の気分だな。
親にくっついて地方特有のクソデカスーパーマーケットに行っていた幼少期、必ず気になっていたことがある。
なぜ魚の可食部も「肉」ではあるのに、食材の大きな分類として「肉」「魚」といった呼び方がなされているのか、ということだ。
漁で捕れる海産物と、養豚鶏牛場で飼育される畜産物といった違いか。
地理的要因や肉食を忌避する仏教由来の食習慣から、魚をさかんに食べる日本だからこそ生じた区別なのか。
機内食の 「fish or chicken」なら、まだわかる。
「fish or meat」はなんか、等位接続詞で結んでいいものか、不安にならないか?
英語得意じゃないけど、抽象度に差がありすぎる気がしてしまう。
meat
1-a (鳥肉 (poultry,fowl), 魚肉 (fish) と区別して食用とする動物の)肉 《★【比較】 食用を問わないで一般的に動物の肉をさす時は flesh》
1-b (魚肉以外の種々の種類の)肉
2 (カニ・エビ・貝・卵・殻のある木の実などの)食用部分,果肉,身(み).
英語の「meat」は日本語の「肉」のように食材の可食部を指すこともあるが、異なるのは1-a、鶏肉を含まない場合があるということだ。
なにを肉料理としてまとめるかはその土地の食文化による、それが日常的な言葉の使い方に反映されているということか?
・・・
と、いったことは誰もが一度は不思議に思うだろうが、そんな屁理屈を食事のたびにこねていては、美味しいものもおいしくなくなる。
いつの間にかこの違和感にも慣れて、最近肉ばっかで魚食ってねえなーとか自分でも言うようになっていた。
今になってこのことを思い出したのは、その「違和感への慣れ」ごと揺るがされる体験があったため。
ちょっと変わったジビエ料理からゲテモノの領域に足を突っ込んだものまでいただける居酒屋に行ったときのことだ。
ワニやらカエルやらオタマジャクシやら、ありとあらゆる生き物が食欲をそそる姿になって卓上に並んでいた。
思い出せる限りで味の感想を書いておく。
カエル:よく言われてる(?)とおり、臭みのない鶏肉。かなり淡白
オタマジャクシ:アヒージョになっていたせいかもしれないが、かなり雑魚。しらすみたいな食感。
ワニ:ちょっとはごたえのある白身魚のような感じ。ちゃんと旨味やジューシーさがある。
この命たちは、とくにワニの肉なんかは、従来の肉/魚の分類では到底回収できないものであった。
でも、誰も困らない。
ワニやカエルは普段食べないしスーパーにもほぼ売ってない。
そもそも分類が必要な場面がないのである。
・・・
ここまで書いたものの、なにも「肉」「魚」はやめて「畜肉」「魚肉」にしましょう!とか、いやいや「畜産物」「海産物」のほうがいい!とか言いたいのではない。
そういった、あるにはあるが日常的には使わない言葉では代わりが効かないのが「肉」「魚」なのだろう。
あえてまとめようとするならば、(「野菜」に関しても同様のことが言えるかもしれないが)食材の分類には食文化や流通ルートなんかも絡み合っていて、生物学上の分類だけでは済まされない複雑さがあるよね~という話であった。