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つるかめ算の鶴と亀、いつまでもそうしていられると思うなよ
◉序論:つるかめ算とは
つるかめ算とは、主に受験算数において登場する特殊算の一種である。
例題
つるとかめが合わせて100匹います。
足の数が合わせて274本のとき、つるとかめはそれぞれ何匹いるでしょう。
解き方は複数あるが、ここではそのうちの一つを紹介するにとどめておく。
もちろんよく知っている方は読み飛ばしてもらって構わない。
それは「全部つる作戦」とも呼ばれるものである。
100匹すべてがつるであったと仮定しよう。
すると足の本数は、足2(本)×つる100(匹)=200(本)となる。
これでは「足の数が合わせて274本のとき」という問題の条件に合わない。
足の数を274本にするには、あと74本足りないのだ。
そこで、100匹の中にかめがどれだけ混ざっているのか考えていく必要がある。一匹ずつ、つるをかめに変えていくとしよう。
足の数は一匹入れ替えるごとに2本から4本に、2本ずつ増えていく。
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つまり、足りない74本を補うには、74÷2=37 匹分かめに変えればよい。
これで答えは つる 63匹、かめ 37匹 であると求めることができた。
総個体数のうち全てが一方であると仮定し、あとから提示された条件との差を埋めていくこの考え方は「全部かめ作戦」であっても成立する。
慣れたら面積図で得意げに解いたっていい。
中学校に入ったら、連立方程式を使えばいい。
大事なのはそこじゃない。
私が言いたいのは、
鶴と亀のほかにもっといい代表例があるんじゃないか?ということだ。
◉本論:なにも鶴と亀じゃなくていい
つるかめ算の歴史は中国の南北朝時代に遡る。
『孫氏算経』に記された「雉兎同籠(ちとどうろう)」は、キジとウサギを同じ籠に入れ、それぞれの頭の数と足の数から個体数を求めるというものであった。
その後元代にはニワトリとウサギに変わり、江戸時代の日本で初めて鶴と亀に置き換えられ、今に至る。
もし今後、よりわかりやすくキャッチーな代替案が登場すれば、鶴と亀の立場を脅かすことも可能であるというわけだ。
「次世代の教材に載るのはこの俺だ!ポスト『つるかめ算』選手権」を開催しようではないか。
エントリーNo.1 いかたこ算
いかとたこが合わせて100匹います。
足の数が合わせて942本のとき、いかとたこはそれぞれ何匹いるでしょう。
【考え方】
すべてたこだった場合、
足の数は8本×100=800本
942-800=142本ぶん足りないので、いかに変えて調整する。
一匹いかに変えるごとに10-8=2本ずつ増えていくので、
142÷2=71匹いかにすればよい。
こたえ いか:71匹 たこ:29匹
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エントリーNo.2 スフィンクス算
人間が合わせて100人います。
足の数は合わせて250本で、老人の数は赤ちゃんの数の3倍です。
赤ちゃん、成人、老人の人数はそれぞれ何人ですか。
【考え方】
全員が成人だった場合、
足の数は2本×100人=200本
250-200=50本足りないので、取り換えて減らしていく。
老人の数は赤ちゃんの数の3倍なので、老人を3人増やすごとに赤ちゃんは1人増える。
老人3人、赤ちゃん1人をセットで考え、これを成人4人と入れ換えていくと、1セット換えるごとに足の本数は
3本×3人+4本×1人-2本×4人=5本増えることになる。
よって50÷5=10セット分、老人30人と赤ちゃん10人で足の本数が合う。
こたえ 赤ちゃん:10人 成人:60人 老人:30人
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エントリーNo.3 ねこみみ算
メイドさんが合わせて30人います。
耳の数が合わせて84個のとき、ねこみみのメイドさんは何人いますか。
【考え方】
全員がねこみみメイドさんだった場合、
耳の数は4個×30人=120個
120-84=36個多いので、ねこみみを外して調整する。
一人ねこみみを外すごとに4-2=2個耳の数が減るので、
36÷2=18人ねこみみを外せばよい。
こたえ ねこみみ:12人 notねこみみ:18人
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◉結論:なんでもいい
いかがだったでしょうか。
足の数が異なる鶴と亀のように、2つの異なる条件を持つ対象があり、頭数と足の数のようにその関係が明らかであれば、つるかめ算のような問題は成立する。
今回はあくまでポストつるかめ算の器を目指すことを重視したが、速さのつるかめ算など応用編を参考にすれば、より広いシチュエーションに対応可能であろう。
何か他によい案があれば教えてください。