「今、ここ」に意識を。泣いてもいい、大事なのは行動と止めないことだ
■感情を否定せず、受け入れる
安倍晋三元首相の訃報で、思った以上に多くの人がショックを受けているようで、僕もその一人です。
今回の件に限らず、ショックな出来事が起こったとき、時間が止まったように感じたり、言いようのない喪失感を感じたり、何もやる気がしなくなってしまったりと、様々な症状が出ます。
そんなとき、人によっては、前を向かなきゃ、負けちゃダメだと、無理に頑張ろうとしてしまうことがあります。
たとえば、夫を亡くした妻が、子供のためにも頑張らなきゃと気を張ってしまう……それは当然の心の動きだと思います。泣いてばかりいられないのも事実でしょう。
しかし、それは一時的には良くても、後で反動がきます。
メンタルを壊してしまうほどの反動が。
ではどうすればいいのか?
それは、悲しみを否定しないことです。
生まれてくる感情は、抑えることはできません。否定しても、前向きに変換しようとしても、消えません。だから、悲しみを受け入れ、そのまま思いきり泣く。
年齢性別問わず、悲しいとき、辛いときに泣くのは、恥ではありません。
今は泣けないという状況はあると思いますが、一人になったら、もしくは大切な人の前では、思いっきり泣けばいい。大切な人なら、あなたのその感情を否定しないはずです。
私も以前、絶望的な気持ちに飲まれそうになったとき、逆らわずに感情を受け入れました。そのときは確かに辛いです。でも底に着くと、そのうち自然と気持ちが落ち着いてきます。
人間には、恒常性(ホメオスタシス)という、正常な状態に戻ろうとする機能が備わっているので、深く沈んでいても、やがて浮上してくるのです。
■音楽を利用する
そうはいっても、悲しみの中に沈んでいるのは辛いものです。
そんなときは、音楽の力を借りるのも一つです。
このときの注意点は、気持ちを持ち上げるような曲を選ばないこと。
以前カウンセリングの勉強をしていたとき知ったことですが、悲しいときに無理に気持ちを上げようとして、テンションが上がる曲を聞いても、しんどいだけです。そうではなく、悲しいときは悲しい曲を聞く。つまり、自分の今の気持ちに合った雰囲気の曲を聞く。
そうすると、滝のように涙が出るかもしれませんが、それでOKです。
枯れるまで泣いて出し切る。
そうすると、徐々に落ち着いてきます。
手軽にできるメンタルケアです。
■「今ここ」に意識を向ける
そうやって心が落ち着いても、翌日にはまた同じ感情が出てくることもあります。それはしかたがないことで、出てくるものは放っておくしかありません。なぜなら、感情はコントロールできないから。
コントロールできるのは、行動だけです。
「今、ここ」の行動だけ。
どれだけ自分にとって不快な感情が浮かんでこようと、行動はできます。
マインドフルネスのように、感情と距離を置き、目の前の「今、ここ」に集中する。そうすれば、感情は浮かんでは消えていきます。飲まれることなく、行動できます。
簡単ではないですが、感情飲まれたことに気づいたら、そこから戻ってくればいいだけです。絶対に飲まれないようにしようとか考える必要はないし、そんなことはできないので。
気が散っていることに気づいたら、元に戻す。
感情に飲まれたことに気づいたら、元に戻す。
大事なのは、行動を止めないこと。
それが、悲しみを乗り越え、現実を変えるためにできることです。