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2 初めて「嫌い」と言われたとき

初任で勤め始めたとき、生徒との距離感が難しいなと思ったことがあります。24のときなので、生徒とは10歳ほどの差。ええお兄ちゃんです。でも、先生だからそのあたりはうまくやらないといけない。毎日葛藤でした。

ある女子生徒。たぶん自分に少し好意的な印象を持ってくれていたのだろうと思います。

いきなり「先生、嫌いや」と言われたのです。いや、嫌いも何も、ほとんどしゃべったことないやんか…。授業では確かにやりとりはありましたが、何が原因になったのか全く見当がつきません。職員室で悶々としていると「どないしたん、なんかあったんか?」とその子の担任の先生が声をかけてくれました。

「嫌いって、言われて…」
「は? そんなことかいな! 息しているのと同じやから気にせんでええわ!」

百戦錬磨のY先生。当時学年イチの元気者もY先生のクラスにいました。まあ、それがお見事。うまく転がすし、転がされもする。ほどよくわがままも許すし、「これはあんた、わかるやろ?」と大人扱いもするから彼はコロコロ…。なりますよね、そりゃ。

さて、僕の話。息するのと同じって。それからしばらく、ちょっと気まずい感じが続きました。でも授業はいつもどおり。あるときに声をかけたら、つーん。

まだあかん。

またしばらくして、廊下でいきなり「先生、今日は何時間目に授業やっけ?」とその彼女から声をかけられました。ああ、こういうことなのか…、と感慨にふけっていると、うまく返答できませんでした。以降、また元通り。これが教師の日常なんだろうなとひとつ経験を積めたという、なんともありきたりな話でした。

転がすだけではダメやな。たまには転がってやらんとな。

とか言いつつ、いまは毎日転がっています。

スギモト