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キ タ ジ マ キ タ ジ マ病


コンコンコン

医者「次の方、こちらへおかけください。お名前は?」

患者「はい。キタジマです。なんか昨日から体調がすぐれなくて…」

医者「体調が…ですか。お名前、漢字だと北島?北嶋?オリンピック選手の方の北島ですかね?」

患者「そうです『北島』です。あ・・ちなみにウチの兄、北島康介って言うんですよ。なんと同姓同名」

医者「ほー。スゴイ奇遇ですね。お兄さん、金メダリストと同じ名前で鼻高いでしょう?」

患者「そうなんですよ。いいよなぁ。有名人と同じ名前で羨ましい…」

医者「…あ、お兄さんの話関係なかったですね。で、えっとあなたの下の名前は北島…」

患者「三郎です」

医者「はい?」

患者「北島三郎です」

医者「え?北島三郎ですか!?スゴイですね!お兄さんが北島康介で弟さんが北島三郎!?」

患者「はい。よくみんなにビックリされます。なんてったって僕、次男なのに三郎ですから(笑)」

医者「そっち?」

患者「え?他にどういうサプライズが…」

医者「いやいや、三郎!北島三郎!あなたも有名人と同姓同名!」

患者「北島…三郎…僕と同じ名前の有名人がいるんですか?」

医者「知らない!?北島三郎なのにぃ!?北島三郎なのに北島三郎の存在を知らないの!?」

患者「北島三郎ですけど北島三郎のこと知りませんよ。どこの北島三郎ですか?」

医者「演歌歌手!超大物演歌歌手!」

患者「あ~僕、テクノとHipHopしか聴かないからわかんないですよ。演歌」

医者「北島三郎なのに?北島三郎なのにテクノとHiPHoPしか聴かないの!?なんで!?」

患者「いや、なんでって言われても。なに聴こうが勝手じゃないですか」

医者「あだ名は?キミあだ名はなんて呼ばれてるの?」

患者「みんなからはよく『サブちゃん』って呼ばれてます」

医者「まんっっっま!北島三郎からのサブちゃん!まんま!」

患者「まんまでいいじゃないですか!僕は北島三郎なんですから!」

医者「北島三郎でサブちゃん呼ばわりでホントに北島三郎を知らないの!?」

患者「あの、その同姓同名の話もうどうでもいいんで早く診察してくれませんか?家族が迎えで待ってるんですよ」

医者「家族…ファミリー!?北島ファミリーが待ってるの!?」

患者「はい。親父のジョージが車出してくれてて…」

医者「逆!逆!ジョージの親父がサブちゃんだから!北島ファミリーでは!」

患者「いい加減にしてください!!なにをさっきから訳のわからないこと言ってるんですか!!あなた医者でしょ!!早く診て症状を教えてくださいよ!」


医者「落ち着いてください。診察は終了しました。あなたの病名は【キタジマキタジマ病】です」

患者「キタジマ病?何を言っているんですか。そんな病名きいたことないですよ」

医者「キタジマキタジマ病です。キタジマが2回です」

患者「回数は知らん!僕のどこがキタジマキタジマ病なんですか!?」

医者「それでは逆にききましょう。あなたの本名、こちらの保険証ですと『加藤孝一』となってますよね?北島三郎ではないのですよね?」

患者「……え!?」

医者「これがキタジマキタジマ病の症状です。キタジマでないにもかかわらずキタジマぶってしまう。キタジマという人格が自分の意識してない所で形成されている状態が多々見られる。いわゆるキタジマみれ。これが、キタジマキタジマ病です」

患者「う、うそだ!僕に限ってそんな…」

医者「あなたはキタジマキタジマ病の中でも北島三郎がベースなので『C型キタジマキタジマ病』の可能性があるかもしれません」

患者「そんなわけはない!そもそもなんで僕がそんな病気にかからないといけないんだ!」

医者「恐らく自覚がないだけで北島三郎に対しての強い憧れ、または激しい嫉妬などが起因かと思われます。もしかしたら北島三郎の生まれ変わりなのかもしれませんね。まだ死んでないけど」

患者「もう一度ちゃんと調べてください!僕がそんな病気になるわけがない!昨日の晩御飯のあとから少し体調が悪くなっただけなんだ!」

医者「…そこまで言うならわかりました。では、昨日食べた晩御飯はなにか憶えてますか?」

患者「永谷園のすし太郎」

医者「C型キタジマキタジマ病確定!ありがとうございます」

患者「ちょ!ちょっと待ってください!今のはなんか口が滑っただけなんです!きっと胃腸炎かなにかです!胃薬を出してください!先生!先生!」

医者「いい加減にしなさいっ!!!」

患者「……」

医者「いいですか?加藤さん。医者というのは接客業じゃありません。あなたに言われたもの、あなたが欲しいものをはいどうぞで出すわけにはいきません。医者は患者さんからのヒアリングで得た情報を基に医学に関する圧倒的な知識やノウハウによってその症状の原因を突き止め、病気を失くすという目的のために最適なプロセスを提案し解決するのが仕事です。そのために私達は死ぬほど勉強をして最難関の国家試験をパスしてやっとこの白衣に腕を通しているわけです。例え自分自身のお身体でも、所詮あなたは病気の素人です。プロである私たちを信じて言うことを素直に受け止めてくれた方がお身体のためにもそして自分自身のためにもきっといい結果に繋がる。そう思われませんか?」

患者「………なにも言えねぇ」

医者「北島康介はいりましたありがとうございます。C型キタジマキタジマ病feat康介ですね」

患者「ちょ!なんか病状がどんどん悪化してませんか!?」

医者「確かに聞いたことのないスピードで症状が進行してます!緊急入院しましょう!ご家族とは連絡とれますか?」

患者「父の与作は木を切ってます!」

医者「与作も出て来た!?もしかしたら国内初の新型キタジマキタジマ病かもしれません!」

患者「なんかインフルエンザみたいな!?しかも国内初って世界規模ですかこの病気!」

医者「新型キタジマキタジマ病はたしか…空気感染が……ぐはっ…」

患者「!?先生!?どうしたんですか先生!」

医者「あ、どうもキタジマです」

患者「えぇーっ!!先生しっかりしてください!」

医者「はっ!あぶない!危うく私も感染するところでした!」

患者「びっくりした!先生が感染したら大変なことになるんで気をつけてください!」

医者「へいへいほー!」

患者「先生!?」

医者「へいへいほー!」

患者「せんせっ…!」


医者「へいへいほー!」

患者「せっ…」


医者「へいへいほー!」

患者「へいへいほー!」

医者「へいへいほー!」

患者「へいへいほー!」

二人「へいへいほー」

<終>

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