プロレスラーの引退というもの
半年ほど前のこと。近所のラーメン屋で独り飲んでいた。だんだん酔いが回ってきて、誰かと話がしたい気分。スマホに登録してある連絡先を、上から順に眺めてみた。
その中で、ある選手の名前を目にした瞬間、ストッ!とハマる何かがあった。なので、その選手に電話をした。すぐに出てくれた。いま独りでラーメン屋で飲んでいること。話をしたくなったので、ついかけちゃいましたよ!そんなことを、まずは伝えた。
しばらく、とりとめもない会話が続き。特に用事があったわけでもないので、そろそろ切る頃合いかな……そんな雰囲気を勝手に感じ始めたころ。
「ところでタジリさん、まだ絶対に口外しないでもらいたいんですけど、ちょっと真面目な話してもいいですか?」
と、彼の口調とトーンがガラリ変わったのだ。
「え、どうしたんですか?」
「いやあ、実は……」
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