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オリジナル版・プロレス深夜特急……第9回
■猛烈に腹が減っていた。何はさておきメシを食おう。気分が落ち込んだときは無理矢理にでもメシを食い、満たせる部分から満たしてしまうのが最善の方法だと、今回の旅で学んでいた。
街中の飲食店。やけに中華料理屋が多かった。中華料理屋といっても表の看板に書かれたメニューを見る限りほとんどが現地料理で、申しわけ程度にチャーハンや春巻きがある、どこもそんな具合。割と小ぎれいな店に入ってみた。
店員の、いかにもグアテマラ人然としたおばちゃんと目が合った。だが、いらっしゃいませの一言すらない。接客にくる気配もないので、勝手に座り、黙ってメニューに目をとおし、寄ってくるまで待つことにした。しばらくするとナイフとフォークが入ったカゴを手に、不機嫌さ丸出しに近づいてくる。カゴをテーブルに叩きつけるように置くと、客であるオレに、まるでケンカ腰の口調でこう言った。
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