見出し画像

オリジナル版・プロレス深夜特急……第9回

■猛烈に腹が減っていた。何はさておきメシを食おう。気分が落ち込んだときは無理矢理にでもメシを食い、満たせる部分から満たしてしまうのが最善の方法だと、今回の旅で学んでいた。

街中の飲食店。やけに中華料理屋が多かった。中華料理屋といっても表の看板に書かれたメニューを見る限りほとんどが現地料理で、申しわけ程度にチャーハンや春巻きがある、どこもそんな具合。割と小ぎれいな店に入ってみた。

店員の、いかにもグアテマラ人然としたおばちゃんと目が合った。だが、いらっしゃいませの一言すらない。接客にくる気配もないので、勝手に座り、黙ってメニューに目をとおし、寄ってくるまで待つことにした。しばらくするとナイフとフォークが入ったカゴを手に、不機嫌さ丸出しに近づいてくる。カゴをテーブルに叩きつけるように置くと、客であるオレに、まるでケンカ腰の口調でこう言った。

ここから先は

2,256字

多くの方のご要望にお応えし、やっと月額制はじめます。

スタンダードプラン

¥1,500 / 月

特別プラン

¥5,000 / 月

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?