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オリジナル版・プロレス深夜特急……第12回

■「ボウケン」日本人の口からではない、外国人の口から出たその一言は、あまりにも新鮮すぎた。

聞き慣れているはずの「冒険」という単語が、いままでとは別の意味合いを持つ、まるで生まれたてな言葉のように、ピュアにダイレクトにオレの心へと響き渡ってきたのであった。そうだ、オレも冒険しなくては。それこそが、心の違和感に決着をつける最良の方法なのだ。そんな確信を抱いた。

翌日。オレと小川さんは冒険のプランを立てた。ヒッチハイクによる、ほぼ無銭旅行。東京から大阪まで、はたして何日間でいけるのか。所持金、二人合わせて2万円少々。もしも旅が長引いてしまうなら、メシ代すら事欠くこととなってしまう。だが、そんな劣悪な条件で始めなくてはならないのだ。なぜならこれは冒険なのだから。

「じゃ、明日の昼12時に決行しよう」

「最初はどこから始めましょうか?」

「東海道五十三次逆走ということで品川にするか?」

「そうしましょう」

そんな理由から、スタート地点は品川に決まった。しかしのちに判明するところによると、東海道五十三次の最終到着地点はお江戸日本橋なのであった。

オレたちの家がある横浜から品川へは電車で向かった。大阪にいくのだから横浜からスタートした方が効率的なのだが、東海道を逆走すると決めたからには品川からのスタートである。品川駅で降り、車通りの激しい国道に立った。

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