J-REIT振り返り(6/12-6/16)
日本株に遅れてではないのでしょうが、米国株も上がってきました。中銀イベントも波乱なく通過しましたが、J-REITは相変わらず大して動いていません。日本株は34,000-35,000円辺りで一休みだと思っていますが(基本当たらない)、どうなることやら。
今週はケネディクスオフィス(8972)、ケネディクス・レジデンシャルネクスト(3278)、ケネディクス商業(3453)の合併が大きなニュースでしたので、それについても書いています。
東証REIT指数の推移
6/16時点:1,869pt
(前週比-0.4%、始値1,875、高値1,877、安値1,851、終値1,869)
1,850~1,880ptでの揉み合い推移となりました。中銀イベントへの反応も限定的です。
16日(金)の引けにFTSE EPRA NAREIT指数のリバランスがあったため、その影響で引け間際に急変動した銘柄もありました。
騰落率上位
1 ケネディクス商業リート +6.6%
2 ケネディクス・オフィス +4.4%
3 ヘルスケア&メディカル +3.5%
4 コンフォリア・レジデンシャル +2.7%
5 ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト +2.4%
合併比率の関係から、パフォーマンスは商業>オフィス>レジの順になりました。
ケネディクスオフィスにつられてか、他の中堅オフィスもしっかりめでした。ヘルスケア&メディカルはリバランスのせいか金曜日の引け前に急騰しました。
騰落率下位
1 日本プロロジスリート -3.9%
2 平和不動産リート -3.7%
3 星野リゾート・リート -3.3%
4 ジャパン・ホテル・リート -2.7%
5 野村不動産マスターファンド -2.3%
プロロジスがワーストでした。星野は決算を発表しています。
ケネディクスの3リート合併
ケネディクスオフィスの決算発表のタイミングで合併も発表されました。ケネディクスオフィスが存続法人で、ケネレジとケネ商を吸収合併(効力発生日は2023/11/1)します。
名称はKDX不動産投資法人となり、資産規模1兆1,498億円の総合型リートになります。資産規模はビルファンド、都市ファンドに次ぐJ-REIT3番目です。合併時の用途比率はオフィスが38.7%、住宅が27.6%、商業が23.9%、ヘルスケアが7.1%、物流がが1.8%、ホテルが0.8%です。
合併後の24年4月期の予想DPUは3,800円(分割考慮前だと7,600円)で、巡航DPUは4,000円(同8,000円)を目指しています。23年10月期の予想DPUは7,600円(物件売却益を除くと7,000円程度)ですので、減配することがないよう意識していそうです。
6/7時点の投資口価格(305,500円)だと、合併に伴い負ののれんが252.81億円(一口当たり6,100円程度)発生する見込みです。負ののれんが発生すれば、合併前の(37億円程度)を含めた内部留保は潤沢になります。
同じスポンサーのリート同士が合併して総合型リートになることは他のリートでもありました。ケネディクスのリートは3社ともしっかりと運営できていましたし、他と同じことになるのは寂しい気もします。しかし、合併により物件売買はしやすくなったでしょうから、その強みが発揮されることを期待したいです。後は合併発表で投資口価格は5%くらい上がりましたが、それでも16日(金)時点(322,000円)の分配金利回りは4.7%ありますので、もう少し評価されても良いと思います。
物件売買等
ケネディクス・オフィス(8972)
リバーシティのタワマン(2000年竣工、25%持分、92.32億円、鑑定NOI利回り4.2%)、レム六本木ビル(ホテル、20%持分、39.6億円)、昭島配送センターの底地(18.72億円)を取得し、原宿FFビル(38.8億円)とKDX名古屋栄ビル(60.5億円)を売却します。売買相手は全てスポンサー関連です。
ケネディクス商業リート(3453)
ヨークマート東道野辺店(46億円、鑑定NOI利回り4.7%)を取得します。
ケネディクスオフィスの取得と合わせると、計196億円規模の取得(99億円売却)になります。
決算
ケネディクス・オフィス(8972)
23年4月期のDPUは川崎の売却益もあり上振れ着地、期末稼働率は98.4%(前期比+0.6%)と堅調でした。
合併については上記のとおりです。
スターツプロシード(8979)
23年10月期は減配予想ですが、物件売却益の剥落が主因です。稼働率や賃料は安定しています。
昨年久しぶりにPOをし、今後も継続して規模拡大を実現できるか注目です。
いちごオフィスリート(8975)
23年4月期は物件売却益により大幅増配しました。巡航EPUは前期比で小幅減少しましたが、今期と来期はやや回復する想定です。
栄の商業テナントはダウンタイムなしでリテナントしましたが、賃料は減少し、鑑定評価額は10%以上下落しました。
KPIとして、トータルリターン年平均8%以上を掲げました。投資口価格はマーケット次第な側面も大きいですが、リートがどのようにコミットするのでしょうか。目標はあるに越したことはないのでしょうが、従来と大きな変化はないかもしれません。
この銘柄は業績よりも6月23日(金)に開催予定の投資主総会の方が投資家の関心が高そうです。
投資法人みらい(3476)
物件入替に伴う売却益で23年4月期のDPUは1,305円となりました。今期、来期の予想DPUは1,150円で、中期目標である1,300円水準を目指します。「堅守×共攻」を掲げており、今年後半に成長へのアクセルを踏みたそうにしています。
天王洲エリアの東京フロントテラスの稼働率は95.3%にまで回復しました。淀屋橋のシェアオフィスの稼働率は80%程度(23年10月期)から70%程度に落ちていますが、詳細は資料に書いていないです。これまでコンバージョンやらリーシングの進展やらを散々アピールしていたので、悪くなった時も説明してほしいです。
NTT都市開発リート(8956)
1棟貸しテナントが退去した六番町ビルはスポンサーに売却しました。
売却益が剥落する24年4月期のDPUは内部留保を活用して2,680円です。EPUは2,515円と伸び悩む状況が続いています。
当初市場で期待されていたように、スポンサーとの物件入替がもっと活発に行われることを期待したいです。積水ハウスリート(3309)
御殿山SHビルの10期(23年10月期-28年4月期)にわたる分割売却(計700億円)を実施します。
しばらくの間、DPUは増加しますが、巡航EPUは減っていく見通しです。物件売却資金はプライムメゾンシリーズを中心に取得する方針で、中長期的にDPU1,800円、巡航EPS1,500円水準を目指します。
ガーデンシティ品川御殿山のリーシングに目立った進捗はありません。24年7月に更なる大口退去が予定されています。
星野リゾート・リート(3287)
ホテルの運営状況は引き続き堅調ですが、予想DPUは24年4月期で8,600円とコロナ前(13,000円程度)とはやや距離があります。
星野リゾートでも23年初頭から労働力不足が発生しているようです。星野リゾートですら発生しているのですから、他はもっと厳しいのかもしれません。
POの発表はありませんでした。トーセイ・リート(3451)
なんだかんだで稼働率やDPUは安定しています。
第三者割当増資で約4億円をスポンサーから調達しました。
終わりに
今週は日銀の金融政策決定会合がありました。
植田総裁の会見内容は個人的には従来通りといった印象でした。7月の会合で物価見通しが修正されるとは思いますが、それが2%の物価目標の達成や政策修正に繋がるかは分かりません。
政策修正があるかないか分からない(マイナス金利解除はもう少し先との見方が多い)、バリュエーションはNAV倍率1倍割れ、懸念されているオフィスでさえ今もそれなりにキャッシュフローが出ているなら別に買っても大火傷しないとは思うのですが(毎回言っている)。
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