SaaS定点観測マガジン -ZOOM- 株価予想(続編)
愛するフォロワーの皆様からいいねをいただきましたので、ZOOMの株価予想の続編を書くことにしました。前の記事を読まれていない方は先にこちらの記事を御覧ください。
前の記事はお陰様で多くの方に見ていただくことができました。読んで下さった皆様、貴重なお時間をいただきありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。また、42件ものいいねを頂くことが出来ました。内容に需要がある事が確認でき、大変励みになりました。
さて、本題に入ります。
株価は「市場要因」+「個別要因」によって変動します。前の記事では市場要因を無視(固定)し、個別要因について検証しました。今回の記事では市場要因を加味した場合について検証を行います。
市場要因を加味するとは、予想PSRを変更する事を意味します。前の記事では、2020/9/4時点のPSRから算出した予想PSRを用いて5年後、10年後の期待リターン(年利)を予想しました。現在の相場は高騰しているため予想PSR、期待リターンも高い値になりました。
今回の記事では、予想PSRを1年前、過去5年平均のPSRから算出することにより、「5年後、10年後に予想PSRが過去の水準だった場合の期待リターン」を確認してみたい思います。
カバーガールについて
株式は恋人なので、銘柄毎に絵と名前を付けることにしました。この子はZMちゃんと呼んでいます。(そのままw)
髪の毛はZOOMのカラーである青にしています。また、個人的には真面目な会社(特にCEO)のイメージがあるため、優等生風にしてみましたがいかがでしょうか。
誰もお気づきでないと思いますが、記事毎に髪型とかポーズを変えています。髪型を変えたらあまり優等生に見えなくなりましたが、まあこれはこれで可愛いので良しとしましょう(笑)
お付き合いはIPO時からなので、もうすぐ1年半になります。
<目次>
■シミュレーション概要
■シナリオ作成
■予想PSR計算
■期待リターン計算
■まとめ
■シミュレーション概要
シミュレーション概要は前回の記事と同じです。前回の記事を読んで下さった方は飛ばして下さい。
シミュレーションの手順は以下の通りです。
①今後10年間の成長率、フリーキャッシュフロー売上高比率の推移をLOW、MIDDLE、HIGHの3シナリオ用意します。
②類似企業を用いて予想PSRの算出式を算定します。
③予想PSRの算出式を用いて、それぞれのシナリオにおける5年後、10年後の期待リターンを計算します。
株価評価にはDCF法などいくつかの方法があるようですが、こうやって算定してみたらどうだろう、という事で私なりに考えてみました。
■シナリオ作成
シナリオも前回の記事と同じです。前回の記事を読んで下さった方は飛ばして下さい。
今後10年間の売上高成長率、フリーキャッシュフロー売上高比率についてLOW(シナリオ1)、MIDDLE(シナリオ2)、HIGH(シナリオ3)の3シナリオを用意しました。
■予想PSR計算
2015/7から2019/7まで1年毎に予想PSRを計算しました。
▼計算結果
決定係数を見ると、2016/7を除きある程度の信頼度となっています。予想通り、現在の高騰している相場を反映して、2019/7以前と2020/9で予想PSRに大きな差が生じています。
一番下の行は2020/9と過去5年平均の差分です。「売上高成長率+フリーキャッシュフロー売上高比率 = 40」の場合、現時点のPSRは過去と比較して3.6も高くなっていることが分かります。12.1/8.4=1.44で約1.5倍の株価になっていることになります。
また、「売上高成長率+フリーキャッシュフロー売上高比率 = 70」の場合、現時点のPSRは過去と比較して14.3も高くなっています。28.6/14.4=1.99で約2倍の株価になっていることになります。
▼計算方法
2015/7~2019/7の予想PSRは以下で計算しました。
・サンプル企業を「CRM、ADBE、WDAY、NOW」として、「PSR vs 売上高成長率+フリーキャッシュフロー売上高比率」の近似曲線を作成。(上記図の計算式)
・PSRは算出対象の年月の第一営業日の値を使用
・売上高成長率は算出対象の年月から過去1年の値を使用
・フリーキャッシュフロー売上高比率は算出対象の年月が属する期(1年)の終了時点の値(年間で計算)を使用
・上記で求めた近似曲線のXに「売上高成長率+フリーキャッシュフロー売上高比率 」を代入して予想PSRを計算。
※取得可能データの制限により2020/9で用いた指標と若干異なりますが、大きな影響はないと思います。
■期待リターン計算
上記で求めた予想PSRを用いて、5年後、10年後の期待リターン(年利)を計算しました。
直近PSR:直近2020/9/4のPSRで計算した期待リターン(前回記事で計算)
1年前PSR:1年前(2019/7)のPSRで計算した期待リターン
5年平均PSR:過去5年平均のPSRで計算した期待リターン
期待リターンは、直近PSR >> 1年前PSR > 5年平均PSR となりました。今回、市場要因を加味して計算した期待リターン(1年前PSR)と期待リターン(5年平均PSR)はいずれも期待リターン(直近PSR)に対して大きく劣後しました。
それぞれの期待リターンをS&P500、nasdaq100と比較した結果は以下の通り。
S&P500(配当込) :10年+13.8%、20年+6.3%
nasdaq100(QQQ):10年+20.2%、20年+6.2%
・期待リターン(直近PSR)vs S&P500、nasdaq100
・期待リターン(1年前PSR)vs S&P500、nasdaq100
・期待リターン(5年平均PSR)vs S&P500、nasdaq100
今の相場は高騰しているため、将来相場が落ち着き、予想PSRが過去数年間のレベルまで下がった場合、期待リターンが大きく低下するという事がよく分かると思います。5年後や10年後に予想PSRがこのレベルまで低下するのであれば、シナリオ1やシナリオ2を想定している場合はETFや別の銘柄を検討した方が良いでしょう。
■まとめ
今回の記事では、予想PSRを変更する事により、市場要因を加味した期待リターンの検証を行いました。いかがでしたでしょうか?皆様の直感と一致していたでしょうか。
特にご認識していただきたい点は、現時点のPSRは過去と比較して3.6~14.3も高くなっており、すなわち株価が約1.5倍~2倍になっているという事です。現在の加熱した状況が今後も続く可能性はありますし、またここから更に加熱する事もありえるとは思いますが、熱が冷めてしまう事も想定しておく必要があります。
さて、皆様はこの結果を踏まえてどのような戦略で投資をしていきますか?
様々な方法があると思いますが、選択肢の一つとして私の戦略をご紹介したいと思います。
私のポートフォリオは、ETF(S&P500、nasdaq100、MSCI-KOKUSAI等に連動するパッシブのもの)やGAFAM等をメインとしながら、ZOOM等の高成長SaaS銘柄を組み入れています。高成長SaaS銘柄はリスク(ボラティリティ)が高い反面、高成長が長期間続いた場合には非常に大きなリターンを得られるため、リスクを承知でポートフォリオに組み込んでいます。
高成長SaaSの割合をそこまで大きくしていない理由は主に以下の3点です。
①現在のバリュエーション(株価)が高すぎるため、期待リターンがリスク対比でそこまで高くないと考えている。
②自分の銘柄分析に自信が持てない。
③ボラティリティが高くて精神的に耐えられない。(要所で判断を誤る可能性が高いという意味)
高成長SaaS銘柄の方がETF等と比較して期待リターンが大きいかもしれませんが、リターンを最大化する事よりも、超長期の運用を見据えてリスクを抑えにいっています。
資産運用というものは、途中で退場しないようにしながら、なるべく長く市場に居座り続けることで、時間をお金に変えることだと思っていますので、このような方針で運用しています。
人によって許容できるリスク量が異なる(例えば年齢、入金力、精神力等)ため、この方法が正しいというつもりは全くありませんが、選択肢の一つとして参考になれば幸いです。
今回は以上となります。最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後のモチベーションに繋がりますので、少しでも収穫があればリツイートやいいねをお願いします!(笑)
今回はZOOMとETFで期待リターンを比較しましたが、GAFAMとも比較したいと思っています。GAFAMの成長シナリオがこうなったら期待リターンはこうなる。よって、ZOOMへ投資するのとGAFAMに投資するのとではどちらが勝率が高そうに見えるか?といった記事を書きたいのです。
書く時間といいねさえあれば(笑)
引き続き応援よろしくお願いします。
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