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社会保険労務士試験の感想と受験時代の反省点

はじめに

 こんにちは、社会保険労務士の吉川です。私は、令和5年8月に実施された社労士試験に合格しました。点数は選択式試験35点、択一式試験51点でした。

 今回は社労士試験の受験生活の感想とこれから社労士試験の受験を考えている人に向けて私の受験生活の反省点を書きました。受験経験者の人は社労士受験あるあるとして楽しんでいただければ、今後試験を考えている人は受験生活のイメージと同じ失敗をしないための教訓として楽しんでいただければ幸いです。

受験しようと思ったきっかけ

 私が社労士試験を受験しようと思ったのは令和2年の春でした。公認会計士・税理士の資格で主に中小企業の顧問先に税務のアドバイスを行う中で、労務や社会保険に関する知識は必須であり、また、資格を持つことで業務の幅も広がると考えたからです。

 学生時代に公認会計士試験に合格した経験があったため、「よし、社労士でもとるか!」くらいの軽い気持ちでした。(まさかこんなに長丁場になるとは。。。)

 試験まで半年もない中で、とりあえず本屋で適当に選んだ参考書を購入しました。そして、仕事の合間に勉強を・・・しませんでした。

 何度かテキストを開いては、何が書いてあるんだ??状態で結局令和2年の試験は受験すらせずに終わりました。テキストはほとんど新品のまま捨てました。あぁもったいない。。

社労士試験1回目(令和3年)

 令和2年の試験をスルーしたのち、自分を追い込む意味でも予備校に通おうと考えTACに申し込みました。TACを選んだ理由は、別の資格でTACの受講経験があり割引が効くから、程度の理由でした。仕事が忙しく、通学は難しいと考えていたためウェブ講座を選びました。

 さて、予備校に(決して安くはない)お金を払い、しっかり勉強をしたかというとそうはなりませんでした。このころ子供ができ、仕事も忙しく、朝起きてから夜寝るまでの間に勉強時間を確保する余裕が全くありませんでした。

 それでも、休日や夜中に少しでも時間を見つけて直前期には何とか勉強時間を確保しました。実質勉強期間は3~4カ月程度でした。感覚としては、まったく消化できなかった、でした。そんな状況での試験結果は選択式29点(社会保険に関する一般常識2点で足切り)、択一式45点でした。

 なんと、総合では合格ラインを超えたのです!

 しかし、勉強が追い付かなかったのに、合格ラインに手が届いた経験が翌年の失敗につながります。

社労士試験2回目(令和4年)

 さて、合格発表後、改めてTACに申し込みに行きました。講義を受ける時間がないことは分かっていたのでテキストのみを郵送してもらうプランにしました(一番安いという理由もあった)。そして、勉強時間の確保のために朝1時間zoomで勉強する会を開催しました。(参加してくれた人たちありがとう!!)

 前回合格ラインを超えたこと、勉強時間を毎日確保していること、これだけで十分に合格できる気がしていました。

 この年は初めて過去問に手を出し、TAC模試を会場で受験するなどしました。一通りの問題集、過去問5年分、TAC模試を解きました。子供が生まれ、仕事はさらに忙しくなり、勉強時間は非常に少なかったですが、何とか受験までたどり着きました。

 そんな令和4年の試験結果は選択式30点(社会保険に関する一般常識1点)、択一式39点でした。なんと前年よりも下がり、さらに足切りもありました。

 原因は受験前からなんとなくわかっていました。分かっていながら目をそらしていました。1年目はTACから届く問題集などを解ききることはできなかったのですが、そんな中でも基本論点のみを自分なりにノートにまとめてそれだけは何とか暗記して試験に臨みました。

 しかし、2年目はすべての問題、答練、過去問、模試を解いて満足していたのです。すべての問題集を解くことだけが目的になっていたのです。基礎的な論点が穴だらけにもかかわらず、難しい問題の解答を読んで満足して、復習もろくにしていませんでした。

社労士試験3回目(令和5年)

 家庭と仕事が前提にあり、そのうえで勉強を続けることに限界が来ていました。この年ついに心が折れました。社労士試験を撤退することに決めたのです。仕事、家庭、勉強を同時にこなすことがどれほど難しいか思い知らされました。

 一切勉強をやめて数カ月がたっていました。しかし心のどこかで、ここまでやってきたのに諦めるのか?という気持ちがありました。そして、試験申込期限の5月末日、どうしてもあきらめきれず、こっそりと申し込みをしました。

 そして妻に3か月だけ勉強に集中させてほしいと頼み、6月から勉強を再開しました。2回目の試験から5月末まではほとんど勉強はできていませんでした。

 正直、たったの3カ月で合格水準まで行けるという自信はありませんでした。今更予備校のテキストを購入するのも金銭的にも厳しいので、前年のテキストと問題集を使うことにしました。

 たったの3カ月、それも仕事をしながら、家事や育児もある。いざ勉強の計画を建てようとすると、どう考えてもすべての問題集等をこなせません。

 2回目の受験の反省点を生かして、100のあいまいな知識よりも10の確実な知識を身に着けようと考えました。そこで、思い切って勉強する範囲を大幅に絞りました。

やったもの

①TAC問題集基礎論点部分
②TAC基礎答練
③『無敵の社労士』法改正部分
④TAC直前答練1回分
(③④は法改正に対応するために、数回目を通した程度)

やらなかったもの

①TAC問題集応用論点部分
②TAC総合答練
③TAC直前答練2回目
④過去問

 受験経験者であればわかると思いますが、はっきり言って捨てすぎです。それでも3か月の勉強期間で、確実にマスターできるのはこれくらいだったのです。

 最後の最後まで基本論点のみをやり、その他のものには一切手を出しませんでした。結果選択式35点、択一式51点となりました。

本試験中の手ごたえ

〇選択式試験

 労基+安衛、労災、雇用は3点以上確保できた感触がありました。今年も労一、社一でダメかなーなどと思いながら問題を見ると、意外と解ける!!3点以上とれた感触がありました。

 このあたりで緊張してきました。健康保険もOK、いよいよあと年金2科目です。緊張しながら問題のページをめくり、厚生年金の問題を見て絶望しました。問1,2のセット問題がわからなかったのです。確実にわかったのが問3だけでした。

 一度深呼吸して、先に国民年金を解きました。厚生年金に戻り、何とか3点を拾うべく、何度も選択肢を見ながらもがきました。結果的に運もあって、厚生年金は4点得点できました。

〇択一式試験

 試験中の手ごたえは一切なし。体感としては、自信をもって答えを選べた問題は、各科目3問くらいでした。その他は、なんとなくわかる肢はあるものの、必ずわからない肢がある感じでした。消去法で何とか最後まで解ききりました。

 時間の余裕は全くなく、使い切りました。マークミスがないように、最後にすべてのマークをチェックしたところで時間終了でした。前年と同じくらいの点数でダメだったかな、というのが感想でした。

〇解いた順番

 基本的には順番通り解きました。択一式試験の年金を国民年金→厚生年金の順番で解きました。理由は学習した順番が国年→厚生年金だったため、そのほうが自分の中でしっくりくるためです。

 受験テクニックとして、この科目から解け!とか最初の肢は読まない!という話をよく見かけますが、最終的にはすべての問題を解くわけですから、自分が分かりやすい方法であれば順番にこだわる必要はないと思います。

今後社労士試験を目指す人に向けて

 さて、今後試験を考えている人に向けて私の反省点をまとめました。反省点は勉強方法自体とその前提となる受験生活の2つの観点からまとめました。

〇勉強方法

 2回目の受験の反省点です。たくさんの問題に手を出し、直前期の模試の細かい問題に目が行ってしまった。その結果基礎論点が十分にできなかった。

 私は(そしてほとんどの人はそうだと思うが)最低でも5回くらいは同じ問題を解かないと身につきません。間違えた問題をチェックして、また間違えてを5回くらい繰り返したところでやっと定着します。最低でも5回はやる前提で、自分が勉強に使える時間から逆算してテキストや問題集の範囲を決めるべきでした。

 不完全になるくらいなら、初めから手を出さない!確実な知識以外は本試験では役に立ちませんでした。

〇受験生活

 仕事、家庭や育児、試験勉強の3本立ての生活でした。SNSなどを見ると、社労士試験はそのような背景で勉強している人が多いと感じています。

 事前に家族としっかりと話し合い、少なくとも以下の2点は明確にしておくべきでした。

①なぜこの試験を受験するのか?合格すると家庭にどのようなメリットがあるのか。
②いつを勉強する時間とし、いつを家族のための時間にするか。そのためには何をするのか。

〇まとめ

・やることを絞る。自分が思っている以上に少ないほうがいい。
・仕事や家庭がある人は、勉強開始前に話し合いをする。勉強のために、より大切なものを犠牲にしては意味がない。

終わりに

 社労士試験は簡単な試験ではありません。世の中には短期間で一発合格した人の話がたくさんあります。しかし、その裏にはたくさんの挫折した人や、苦労して合格した人がいます。私のように軽い気持ちで参入すると痛い目を見るので気を付けてください。

 一方で、先の見えない試験のようにも感じますが、終わってみれば努力さえすれば私のような凡人でも合格できる試験だとも感じました。受験を決めた方は頑張ってください!


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