なんで生きてるんだろう?という誰もが一度は直面して、多くの人は考えないようにしているであろう永遠の問いへの答えをまだ見つけられていない。ほとんどは思い出せない過去の私の振る舞いを、ほとんど不確かな「記憶」の中から思い出そうと努めてみると、ほとんど間違いだったような気がする。多分20年間ミスっている。というか諦めることに慣れ切ってミスっていることに気付いていないのが最大のミスである。エポケーやなあ。 無感覚的に生きてきた。私はいつもここにいるのにここにいない、という感じだった
『よくばり』 有り余る富を持ちたいし寒さ飢え貧さの中で生を実感したい 不埒で放恣な小娘でありたいし慈悲を湛えた器でありたい 輪郭をなくして世界と溶け合っていたいし世界をこの目で見つめる私でありたい 永遠の煌めきになりたいし美しく儚い瞬きのうちに消えたい 『今際の時』 瞬きの中に永遠がある とろける甘美なひとときに私達は輪郭を失い溶けあう夢を見た 漣と静寂に耳を澄ませる彼の横顔を篝火が照らした 煙草を燻らせ灰を落とした かくも短く燃える生命はあっけなく終わり塵芥を残すのみ 玻
働きたくないな。タイの嗅ぎ薬輸入して一発当てられないかな。 蝉がちらほら鳴き始めると、夏の始まりと同時に夏の終わりを意識して胸がきゅっとなるなって思った。もう夏の盛りを過ぎて月見フェア、さつまいもフレーバーに秋を押し付けられているけど見ないふりをしている。 地元の友達は一流の制作会社から内定が出たらしい。私はずっと地面から5cmくらい浮いたところでくねくねしている。 そういえば来週好きなDJが東京から来るらしい。行こうかな、どうしようかな。金ないんだよな。気付いたら家賃
夜勤は嫌いじゃない。私は境界が曖昧なものが好きだ。輪郭をなくしたものとか溶け合っているものとかを見ると心地よさを感じる。おそらく自分も溶けていきたいという願望がある。溶けているもの、今まさに溶けていくもののなりゆきを眺めたい。二度と元に戻らないで少しずつ形を変えていく。溶けているものは儚さを孕んでいる。夜勤は1日の輪郭を曖昧にする。夜勤明けには昨日と今日が地続きになっているのを確かめる。船から見下ろした白波、焚き火、タバコから立ちのぼる煙。私は終わりのないものを求めている。私
デスクライトをつけて本を読んでいる。夜の音がする。いない人の息遣いが響いている。羽虫が電球にぶつかってばちばちと音を立てた。梅雨前の、光が幾重にも重なる美しい時分だが夜はまだ冷える。肌が粟立ち私は幾分固体らしくなった。私の意識はすっかり行と行の間からはみ出てしまって、仕方なく本を閉じた。月が皓々と瞬いている。私はずっと月に映る私を見ていた。 私はこのままでいいのだろうか。輝きを認めるのがいつも少し遅い。見るだけで触れられない。そういう時はいつも心臓をつねられたみたいに痛くな
課題やりたくなくて絵を描いた
「自分を信じないとダメだよ。そうじゃなきゃ 気がついた時にはどこか遠い見知らぬ場所に流されてしまう。」 そう彼が私に教えてくれた時、私は既に愛着の欠片もないモノに囲まれていた。美味しくないお酒を飲んで煙草を吸って心動かされない音楽を聴いて映画を見た。経験値が低くて無知なことを悟られまいと必死だった。誰に?遠心力に引っ張られてバランスを崩した独楽は元の柔らかで朧な輪郭を失いありふれた個体と化した。 寮の屋上に来た。静かに雨が降っていて、春というよりはもう夏に近い夜の匂いがす
●本 限りなく透明に近いブルー 村上龍 *69 sixty nine 村上龍 *五分後の世界 村上龍 *道ありき 三浦綾子 ひつじヶ丘 三浦綾子 カラフル 森絵都 深い河 遠藤周作 *沈黙 遠藤周作 蛇にピアス 金原ひとみ ベッドタイムアイズ 山田詠美 金閣寺 三島由紀夫 ドグラ・マグラ 夢野久作 *マーク付きは特に好きだったもの 免許合宿中狂った様にブックオフに通った。冒険心と承認欲求と肥大した自我を持て余す、典型的な京大生たる私には69がえらく刺さった。ちょっと危ない橋
2023.11.16 気が狂っていた頃に書いたもの 京都大学の周辺は中華料理屋が多い。それも生粋の中国人店主が振る舞ってくれる本格中華である。部会が終わりお通夜のような雰囲気の中タダ飯を食いについて行った。もう一年生扱いしてもらえないから奢ってくれるかは50:50だ。最近金がないんだよな。爆食することでガス抜きしてるから。放置自転車回収車に怯えながら路駐をして長江辺に入る。店内には私達の他に大柄な黒縁メガネのおっさんと中肉中背うっすら薄毛の童顔おじさんの二人組がいた。おのお
2024.3.10 夜に長野駅から三〇分ほど歩いて善光寺へ詣でた。感動が実体を失いつつあって急いで書き留めたものを載せる。 仁王像は猛々しく太い四肢から生えた指先の反りがなまめかしく、たおやかに揺蕩う裾の辺りの衣擦れが聴こえる。その両目はしかと私の目の奥を見据えた。この指が私の深奥をえぐる夢想をして火照った身体を夜風が冷やした。 門を過ぎると右手に六地蔵が妖しく鎮座している。照らされて青黒く光る肌は、長野の夜の冷え込んだ空気の源ではないかと思うほどの冷たさを周囲に
この曲の人によって違う受け取り方を許す歌詞が好きだ。だから歌詞解釈の押し付けはナンセンスだと思う。せっかく考えたから残したいと思う反面、あまりに具体的で面白みがないから見ないでほしいとも思っている。 私にはこの曲が、「まだ結婚相手を愛しているけれど、もう昔のように相手と心を通わせることができなくなった切なさ」を歌っているように感じた。 「行ったままで決して帰れない 僕らそう一方通行だったんです やり直したくても 留まっていたくても 往々覆水盆に返らず」 ふたりの関係が