トラックに「防災」してますか? 車載用防災セット
防災用品の企画・製造・販売などを手掛けるファシル㈱(静岡市)は、創業から49年以上にわたり様々な防災用品の研究と商品開発を行っている。同社が開発した「防災安心セット」は、2017年に内閣府の防災推進協議会と㈳法人防災安全協会により推奨防災グッズのお墨付きを得ている。
東日本大震災や熊本地震をきっかけに、近年、家庭や会社での食料、水、携帯トイレなどの備蓄が進む一方、豪雪・豪雨による車の立往生、大規模な交通渋滞など、乗車中の被災リスクへの備えは進んでいない。
消防庁が毎年まとめている「消防白書」によると、年間約2万人が事故や立往生などで車に閉じ込められている。
八木法明社長は「10年前の冬、北海道北部でホワイトアウト(猛烈な地吹雪)が発生。軽トラックに乗っていた親子が吹雪の中で立往生し、父親が車内で幼い娘を抱いたまま亡くなるという痛ましい事故が起きた。娘はスキーウェアを着ていたため助かったが、父親は薄手のジャンパーしか着ていなかった。この事故を見て、車にも防災グッズを常備する必要があると強く感じ、商品の開発に取りかかった」と話す。
ファシルの「防災安心セット」はコンパクトなボックスの中に計10点の防災用品が入っている。水・食料品はマイナス20℃~80℃の環境下でも保管可能。アルミブランケット、簡易ライト、防塵マスクなど、身を守るグッズがコンパクトに梱包されている。
「防災安心セット」の価格は4000円。累計15万個以上販売されており、千葉県トラック協会、四国ヤマト運輸労働組合などへの大口納入実績もある。また、ホンダや日野など自動車メーカー6社にも防災備品の純正オプションとして採用されている。(2月19日号)