「週休3日の正社員」実現 つばめタクシー
医療介護分野の受注・AI需要予測システムで実現
つばめタクシーあんしんネットグループ(愛知県名古屋市、 2500名)は昨年10月、週休3日の正社員制度をグループ内の4社10営業所で導入した。同グループは、旅客運送としてのタクシー業をベースに介護事業所の認定や警備事業の認定も受け付加価値をつけたタクシー事業を展開している。
「ケアドライバーが要介護者に自宅から付き添い、病院や介護事業所などへ送迎」「介護保険適用の24時間かけつけ介護」「徘徊者を探す」「病院保有のドクターカーを運行代行」などのサービスで、運転手はベースのタクシー業務と兼務している。
介護職員初任者研修をはじめ業務に必要な資格はすべて自社内で育成できる体制を持ち、社員の17%が介護職員初任者研修資格を取得している。
タクシー勤務は、1日出社して1日休む「隔日勤務」が一般的で、年間休日数は多いが、1日の勤務時間は20時間前後になることが多い。
同グループでは10年以上前、「24時間をひとりで回すのではなく2人で回す」という発想から、1日の拘束時間11時間(休憩含)の昼夜交代制で4週6休の週休2日を採用し、2020年頃には4週8休を実現した。
週休3日制では、1日の拘束時間11時間のまま4勤2休で月10日休、1か月あたりの労働時間は200時間を下回る。現在該当するのは、新入社員120人のうち希望者24人と、65歳以上の10名の契約社員。
同社は、タクシー業界でよくある「夜間がもっとも稼げる」体質ではなく日中も活躍できるため、女性社員の比率は15%、新卒女性社員が毎年20人以上入社している。6年前には事業所内保育所をオープンした。
天野朝之(ともゆき)社長は、「サービス業なので生産性を高めていく必要がある。働き方の選択肢を増やし、生産性を上げるか副業をOKとするか、などの選択肢も提供することで、様々な人々が働けるようにしている」と話す。
導入にあたって、病院や介護施設等との連携で受注が安定していること、現在どこに見込み客が多いか予測できるAI需要予測システムで生産性が約一割改善したこと、昨年12月の名古屋市内タクシー料金一割改定による生産性一割アップが見込めたことなどにより、「勤務日数を減らしても生産性に問題がない」と判断した。
新入社員でも、安定した受注やAI需要予測システムにより売上を上げることができ、月10日休みでも月給30万円以上が可能だという。
天野社長は、「配車と流しが、昔は4対6だったが、タクシーアプリが増えて6対4になった(全時間帯平均)。今年か来年、間違いなく7対3になる。今後は、流しをなくしてすべて配車にすることを目指す。平日午前中は、お応えできないほど多くのニーズがあるが、昼過ぎは少ないので、配置の最適化も行いたい。例えば需要の多い時間帯で6時間ぐらいの短時間社員の導入を検討したい」と話している。(5月15日号)
【写真】日中も活躍できるため女性社員が15%在籍