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【2025共テ物理】熱の出題予想

共通テスト、いよいよ残り数日に迫ってきました。

今回は表題の通り「熱」の分野に的を絞って出題予想してみようと思います。
熱は必ず毎年出題されていますが、小問集合の一部で出題される場合と、大問として出題される場合があります。ここ2年は小問でしか出題されていませんが、大問としての出題可能性も十分にあると思います。

さて、この記事では、直近の共通テスト本試で出たネタはリメイクされる可能性は低いと考えて、根拠を明確にした出題予想をしていきたいと思います。ただし、「追試」に出題された内容がリメイクされる可能性は十分にあります。


まずは下記の表をご覧ください。
共通テスト4年分、2回の試行調査、2020年センター試験における熱の出題一覧です。
※「試行調査」とは、大学入試センターが作った、共通テストの出題サンプルのようなものです。

共通テスト/センター試験 熱 の出題一覧

そして、ざっくりと高校過程の熱のテーマを書きだすと下記のようになります。下記テーマの一覧は、直前のチェックとしても活用していただけたらと思います。

◎物理基礎範囲
・ものの温まり方(Q=mcΔt=CΔt)
・状態変化(Q=mL  L:融解熱/蒸発熱)
・ジュールの実験
・(定性的な)熱力学第一法則
・熱効率

◎物理範囲
・気体分子運動論(立方体/球体)
・二乗平均速度
・ボイル/シャルル/ボイルシャルルの法則
・理想気体の状態方程式
・気体の混合(断熱ではない)
・気体の混合(断熱混合 ➡ 内部E不変の利用)
・熱力学第一法則
・定積モル比熱/定圧モル比熱
・マイヤーの関係式
・P-Vグラフ(定積変化/定圧変化/等温変化/断熱変化)
 ➡仕事、内部エネルギーの変化、加えた熱量、温度変化の読み取り
・ポアソンの法則
・ピストンのつり合い
・特殊変化(ばね付きピストン/水がこぼれるピストン)
・水中で伏せたコップ(液面の作用反作用)
・熱気球

熱はテーマに分けづらい単元ですので、全てのパターンを網羅できているわけではないですが、大半は上記に分類されると思います。この中から、近年の出題と照らし合わせ、2025年の出題を予想したいと思います。

①等温変化と断熱変化のP-Vグラフは、非常に大事なテーマではありますが、2023年本試、2021年本試と出題されているので、出題可能性は高くないと予想します。

➁「二乗平均速度」に関しては、数年前に出題を予想していたのですが、その直後2018年センター試験で出題されました(珍しく?予想が当たった形になります)。今回は予想の中から割愛しておきますが、内容が怪しい人は復習しておいてください。10の-3乗を3乗と間違えるなどのミスが多いです。


他のテーマについては、原子分野や波の出題ほどきれいに絞りにくいのが正直なところです。

参考



上記①、②の予測と、テーマの重要性を加味した時に、熱に関しては次の出題を予想します。熱として独立したテーマよりは、力学的な内容と絡むテーマが出やすいのではないかと考えます。

【出題予想その1】
真空への膨張

「気体の混合」で片方が真空であった時、
気体がする仕事W=0(力が0なので)
熱のやりとりQ=0(一瞬で膨張するので)
ゆえに内部エネルギー変化ΔU=0(熱力学第一法則より)
➡ 温度変化ΔT=0です!!
H30年試行調査で出題されています。


【出題予想その2】
熱気球

力学とも絡むため、考察させる問題として出題しやすいと思います。
空気の密度ρは「圧力に比例」し「温度に反比例」します。この2点を覚えておくと圧倒的に解きやすくなる問題が多いです。


【出題予想その3】
液面の作用・反作用

上記のようなコップを水中で伏せた問題です。二次試験でも頻出のテーマになります。力学と絡んだ内容になるので、これも出題されやすいと考えます。
よく「液面のつりあい」というテーマで紹介されていますが、正確には液面の「作用・反作用」です。
※つり合いのように対象となる物体がありません。

また、下図のように、コップの中の液面が水面よりも上になった場合の、内部圧力も算出できるようにしておきましょう。
水面における力のつりあいを考えてもよいですし、水圧の式ρhgのhに水面より上の分を「-」をつけて計算してもOKです。

【出題予想その4】
ばねつきピストン/水がこぼれるピストン

ばねつきピストン


水がこぼれるピストン

ばねと水の共通点は「ピストンにかかる力の大きさが変位xの一次関数になる」ということです。これを利用して任意の位置におけるシリンダー内の気体の圧力Pと体積Vをxの関数で表し、xを消去すると、PとVの関係も一次関数になります。すなわち、P-Vグラフが下図のように右上がりもしくは右下がりの一直線グラフになることがわかります。


ばねつきピストンのP-Vグラフの例


【出題予想その5】
ジュールの実験

下図のように、力学的なエネルギーと熱エネルギーの関連性を明らかにした実験です。おもりが失った位置エネルギーMgh×2個分と水の得るエネルギーが等しいので、
2Mgh=mcΔt(Q=mcΔtより)から温度変化Δtを求めることができます。
Mの単位はkg、mの単位はgですが、右辺も左辺も単位はJ(ジュール)なので、1000を掛けるなどの換算は必要ありません。

この実験により、1gの温度を1℃上昇させるのに必要だとされていたエネルギー1cal(カロリー)は、力学でいうところの4.2Jに相当することが明らかにされました。
1cal=4.2Jの関係を「熱の仕事当量」ということも覚えておきましょう。

ジュールの実験の模式図

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