【2025共テ物理】原子物理の出題予想
共通テスト、いよいよ残り数日に迫ってきました。
今回は表題の通り「原子物理」に的を絞って出題予想してみようと思います。
現役生は手薄にされる方も多い単元ですが、特殊な現象も多く、直前に学習したか否かで、明暗が大きく分かれる「コスパの良い」単元でもあります。
直近の本試で出たネタはリメイクされる可能性は低いと考えて、根拠を明確にした出題予想をしていきたいと思います。ただし、「追試」に出題された内容は直近にリメイクされる可能性は十分にあります。
さて、まずは下記の表をご覧ください。
共通テスト4年分、2回の試行調査、2020年センター試験における原子物理出題一覧です。
※「試行調査」とは、大学入試センターが作った、共通テストの出題サンプルのようなものです。
そして、ざっくりと高校過程の原子物理のテーマを書きだすと下記のようになります。
・電子の発見
・光電効果
・物質波
・X線の発生
・ブラッグ反射
・ラウエ斑点
・コンプトン効果
・ラザフォード散乱
・水素原子のスペクトル
・水素原子モデル(ボーアモデル)
・ボーアの量子条件
・ボーアの振動数条件
・水素原子のエネルギー準位
・放射性崩壊(α線、β線、γ線)
・半減期
・核反応とエネルギー
・素粒子
この中から、近年の出題と照らし合わせ、2025年の出題を予想したいと思います。
では詳細に見ていきましょう。
①「ボーアモデル」に関する話(量子条件、振動数条件)は近年本試で出ているので、可能性が低い。
➁「半減期」の話も出ているし、コンデンサーの分野でも近年半減期に似た考え方をさせる問題が出題されたので、可能性が低い。
③コンプトン効果は、2021年の水銀原子励起の話と近しいので可能性が低い。
上記①~③の予測と、テーマの重要性を加味した時に、次の出題を予想します。
【出題予想その1】
光電管の「電流」と「阻止電圧」のグラフ
上記のグラフは、高校物理をしっかり学習していれば、誰しも見たことがあると思います。光電効果自体は出題されていますし、「飛び出す電子の運動エネルギーの最大値」と「当てる光の振動数」のグラフは2023年に出題されていますが、上記のグラフは近年出題されておらず、可能性があると感じます。
具体的には、いろいろと条件を変えたとき、阻止電圧(横軸切片)や飽和電流(水平の部分)がどちらにシフトするか、という出題ではないかと予想します。
これらは聞いていることは単純ですが、光電効果の原理をしっかりと理解していないと正解に至りません。
【出題予想その2】
X線の発生
上記X線の発生は、原子物理でも特に重要なトピックになります。なぜなら、医療現場でX線が利用されているからです。実際に、私立医科大の入試ではX線の発生に関する出題が多いです。
共通テストでは、2022年追試で出題されていますが、本試では近年出題されていないため、可能性は十分にあるといえるでしょう。
具体的には、まず「連続X線」「固有(特性)X線」の発生原理を理解しておきましょう。
また、下記グラフが、条件を変えたときにどのように移動するか(ターゲット金属が変わらなければ固有X線の波長は一定!)についても理解しておくべきです。
【出題予想その3】
ブラッグ反射orラウエ斑点(原子物理+波の干渉)
◎ブラッグ反射
「ブラッグ反射」とは、結晶の面でX線が反射して、干渉を起こす現象です。X線自体はもちろん目には見えませんが、視覚化すると干渉している様子が観測できます。原子物理の中では、比較的理解しやすい現象かと思います。
上の図では、2dsinθ が経路差であることを理解すれば、反射による位相の変化などは考えずに明暗の条件を出すことができます(位相の変化を考えなくてよい理由は、上の光も下の光も、同じ原子面に反射しているからです)。
2022年の追試に出題されていますが、リメイクされる可能性は十分にあります。
◎ラウエ斑点
こちらは手薄にしている人も多いと思いますが、「ラウエ斑点」という現象についてもアンテナを貼っておく必要があると思います。本試・追試とも、近年の出題はありません。
光学分野で出てくる「回折格子」は一直線の干渉縞(レーザー光など、点状の光に対しては点になります)をつくります。イメージわかない人は下記の写真みてください。
それに対し、何らかの結晶にレーザー光を入射した際は、結晶の隙間が回折格子の役割をするために、タテ・ヨコ・ナナメ向いた回折格子があるような状態になり、放射状の干渉縞ができます。等間隔に並ぶ隙間は、タテにもヨコにもナナメにもできるからです。もっと正確に言うと、結晶の奥ゆきもあるので、3次元の回折格子のような状況になります。
高度な話ですが、原子物理としての原理だけでなく、波の干渉の要素を含むため重要だと考えます。
共通テストでは「干渉」でできていることと、できる干渉模様の形(=ラウエ斑点)が理解できていればOKでしょう。
以上になります。また共通テスト後に、予想が当たったかどうかの答え合わせをしてみましょう。