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RECREATION

アカは言った。「知ってのとおり、名古屋は規模からいえば日本でも有数の大都会だが、同時に狭い街でもある。人は多く、産業も盛んで、ものは豊富だが、選択肢は意外に少ない。おれたちのような人間が自分に正直に生きていくのは、ここではそう簡単なことじゃない。・・・なあ、こういうのって大いなるパラドックスだとは思わないか。おれたちは人生の過程で真の自分を少しずつ発見していく。そして発見すればするほど、自分を喪失していく」(『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』より)

■ジャーナリング

認知行動療法(CBT: Cognitive Behavioral Therapy)におけるジャーナリングは、患者が自身の思考、感情、行動を記録するための重要なツールとして用いられます。CBTは、個人の考え方や行動パターンを変えることで、感情や行動にポジティブな変化をもたらすことを目的とした治療法であり、ジャーナリングはその過程をサポートする手段の一つです。

電気を消す。パチン、オフ。きみの身の赴くままに。たゆたう。ここは海で、僕はそこで浮かんでいる。退屈している。浮き輪をするりと抜けて、海へと沈むことを考える。海面に差さって揺れる太陽の光を、ただ見つめている。そこは海であり、空であってほしい。沈んだと思ったら、宙に浮かんでいる。浮かんでいると思ったら、深い底にいる。自分がいまどこにいるのか、分からないまま死んでいきたい。分からないまま息をしたい。
生まれてからも何度か、海を感じたことがあった。
きみはどちらがいい?そこでは守られている。けれど狭い。自分の肺を動かすことは、楽しいことかもしれないよ。いつまでもそこにいるわけにはいかないんだ。理不尽だけど、実は「理」がないのが理なんだ。僕はそれを自分に言い聞かせている。そしてなるべく、それとなく、君にも伝えていきたいと思う。


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