40代半ばで渡米した真田広之氏の英語の美しさ。
先日、日本人初のエミー賞の主演男優賞を真田広之さんが受賞された。私は感動に打ち震えた。彼の出演、プロデュースしたドラマ、「SHOGUN」を観るためにDisney+にまで加入した。いや、正しくは私のパートナーの強い希望で入会したのだけれど、私はずっとDisney+の配信コンテンツが気になっていたので、何だかラッキーだわ、くらいに思っていた。
正直時代劇があまり得意でない私は、あまり集中して観ることが出来なかった。何よりドラマは日本語でのセリフがほとんどで、アンナ・サワイさんの美しい英語と日本語のセリフにはうっとりしたけれど、あぁ、時代劇かぁ。。。と、今となってはそれ程までに日本で制作される日本の時代劇のクオリティと遜色ないものだったという事になるのだが、とにかく詳しい内容は今もあまり記憶していない・・・。ごめんなさい。
しかし、私が何よりも魅了されたのは真田広之氏の英語力だ。ドラマでは日本語しか話していなかったけれど、Youtubeでドラマのプロモーションの為に様々な米国のテレビ番組に出演している様子を観た。私の年代だと、彼の代表作は「高校教師」の羽村先生だ。当時でもかなりセンセーショナルなドラマだったけれど、羽村先生は繊細で泣き虫でか弱く、それでも愛する人の為に最後は現実に立ち向かう美しい人だったが、それを演じた真田氏が今はアメリカで堂々と有名司会者やトークショーのホストと英語で話をしているではないか!しかもSHOGUNへの思いや、その制作秘話などを語っていた。
真田氏の英語は、決して流暢でネイティブの様な英語ではないにしても、一つ一つの単語や文章をそれはそれは丁寧に、まさに言葉を紡ぐように落ち着いた口調で話されていた。使う単語も言い回しも美しく、まるで彼の性格が垣間見れるような英語だった。
英語と言う言語を使いだすと、何だか急に身振り手振りが大きくなったり、陽気な口調で話し始めたり、ちょっとアメリカンナイズされた様子で話し出す人も多いのだけれど、彼は違った。
いつもと変わらぬ低い声と、静かな面持ち、そして時に少し恥ずかしそうに話す姿を見て、日本人俳優そのままで存在してくれているのだなぁ、、、と私なりに勝手な解釈をしていた。それほど私の知っている真田広之氏はそのまま、ありのままでアメリカで生きているのだと、心底嬉しく思ったのだ。
彼がアメリカでの挑戦を始めたのは40代半ばの事だったらしい。それまではきっと今のように英語も話せず、コネクションも薄く、それなりに苦労されてここまで来たのだと思うけれど、特に英語を40歳過ぎてからここまで上達させる事の難しさを想像できる私には、もう彼への深い尊敬の念を向けるしかない。
エミー賞の最優秀作品賞を受賞された際、彼は日本語で受賞の喜びを語った。さすが!!!私はこの様にアメリカで功績を認められた日本人が、日本語でスピーチをする時、涙が出るほど歓喜してしまうのだ。
英語をこよなく愛する私だけれど、日本人として、アメリカだけでなく世界中の人に私の国の言葉を聞いてほしい。
この先も、真田氏はアメリカだけでなく世界で活躍されることだろう。私も彼に負けないくらい、丁寧に英語を話せる人になりたいと思う。崩れてちょっとこなれたアメリカ英語もかっこいいけれど、日本人らしく落ち着いて、慌てずに語る英語。これもまた美しいのだ。